強い不安や恐怖感を感じている人は要注意!骨密度が低下し骨粗しょう症を引き起こす

今回は私たちのまさしく骨格を形作る「骨」の病気のひとつ、骨粗しょう症がストレスによっても引き起こされるという記事を紹介したいと思います。

骨粗しょう症の詳細な情報は以前ブログに書きました。

骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後(2020/06/19)

骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後

骨粗しょう症は、高齢者の病気のように思っている方が多いと思いますが、実は若い人でも今骨粗しょう症が増えているのをご存じでしょうか?

若い女性の無理なダイエットなどによっても発症し、最近では新型コロナウイルスの流行によって自宅に閉じこもりがちとなって、子供たちの運動不足によるものと思われる骨折も増加しているため専門家が警鐘を鳴らしています。

鬼ごっこで骨折も…コロナ休校、増える子供のけが(産経新聞2020/08/19)

 新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校以降、子供の体力低下が目立っている。学校では転んだりして骨折する子供が相次ぎ、各地の整形外科医院には、足首や股関節を痛めた子供たちの来院が増えた。専門医は、体力が低下した子供たちが準備不足で激しい運動をすることも危険だと指摘、「安全を第一に考えてほしい」と警鐘を鳴らしている。

 

子供の骨折はそれ以前から問題になってきていたようで、2017年のデータですが学校における骨折は30年前(1987年)に比べ1.5倍に増加しています。さらに、1970年と比べると2.4倍にもなっているのです。

子どもの骨折増加に2つの側面 ニッセイ基礎研究所(2019/11/05)


私も小学6年生の時に自転車で急な坂道にもかかわらず手放し運転をしていたら、前輪が小石に乗り上げてウイリー状態から1回転し、自転車から放り出されて背中を強打、その際に左鎖骨を骨折した経験がありますが、「転んだだけでも骨折する」というのは異常な状態ではないでしょうか。

今の状況のように自粛生活が長引けば長引くほど、高齢者以上に子どもたちにもストレスは重くのしかかっていると思われ、今の子どもたちの将来が心配です。

 

慢性的なストレスはどのようにして骨量減少を引き起こすのか?


How does chronic stress induce bone loss? 
 Medical Xpress(2020/09/11)


ここからです。


臨床研究では、不安症やうつ病の患者の骨密度は一般の人々よりも低いことがわかっている。

 身体の司令官である脳は、外部からの信号を受信して処理し、末梢の骨に指示を送る。しかし、不安はどのようにして骨密度の低下を引き起こすのだろう?

 それに対する答えを中国科学院の深セン先端技術研究所(SIAT)の研究者とその共同研究者が出した。彼らは、前脳から視床下部に至る中枢神経回路が、末梢の交感神経系を介して慢性的なストレスによる骨量減少を媒介していることを発見したのだ。

 彼らの研究は、9月10日の学術誌 ジャーナル・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)に掲載された。

 研究者らは、孤立が不安レベルを大幅に増加させ、その結果、ヒトを対象とした骨量減少を誘発することを発見した

 生化学的分析では、長期の隔離がノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の濃度を上昇させ、血清中の骨形成マーカーを減少させることが示された。これらの変化は、被験者の不安感の高まりと骨形成の低下の観察と一致した。

 慢性的なストレス誘発性の骨量減少の根底にある神経メカニズムを特定するために、研究チームは、予測できない慢性的な軽度のストレスをマウスに与えるモデルを用いた。

 慢性的なストレスを4~8週間与えた後、マウスは重大な不安行動を示すことを発見した。ストレス群のマウスの骨密度は、対照群よりも有意に低かった。

 これらの結果は、ストレス誘発性不安と骨量減少との相関関係を確認し、追跡神経メカニズム分析のための優れた動物モデルとなった。

 研究者らは、広範な実験によって、前脳の分界条床核(BNST)と呼ばれる脳核内のソマトスタチンを発現する抑制性ニューロンの集団を同定した。これらのニューロンは、動物が不安行動を示すときに活性化され、「不安」情報を視床下部腹内側核(VMH)のニューロンへと伝達した。

 「BNST – VMH 神経回路を活性化することで、マウスの不安様行動と骨量減少を同時に誘発することができ、この回路を阻害することで、ストレスによる不安と骨量減少を同時に防ぐことができます。」

 とSIATのヤン・ファン(揚帆)教授は述べている。

 さらに研究者らは、ストレスによる骨量減少を調節するために、グルタミン酸作動性ニューロンが交感神経系と孤束核(NTS)に使用されていることを発見した。

 「この研究は、特殊な環境下での代謝や内分泌機能に対する脳の恒常性の調節メカニズムを系統的に研究するための新たな視点を提供します。」

 と、SIATの脳認知・脳疾病研究所の所長のワン・リ-ピン(Wang Liping)教授は述べている。


原典)How Does Chronic Stress Induce Bone Loss? SIAT(2020/09/11)



ここまでです。

孤独と不安は大きなストレスです。

今の隔離社会が今後も続くことが容易に予想されますので、ますます人々は脆弱になっていくようです。

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