太陽光を浴びてビタミンDを増やすことは呼吸器感染症を予防する効果がある

新型コロナウィルスの感染予防に良いとして、特定の食品やサプリメントが良く売れていると聞きます。

たとえば、納豆だったりヨーグルトだったり、ビタミンCやビタミンDのサプリメントであったりするようです。

当たり前ですが、これらは薬ではないので、食品やサプリメントが何々に効くとか、今回の騒ぎのように新型コロナウイルスの予防に効果がある、というのは煽りすぎだと私も思っています。

ただ、私たちの健康の維持には欠かせないものであるのも事実ですが、たくさん取れば良いというものでもないです。
不足であっても過剰であっても、どちらも健康被害のリスクは高まります。

今回ご紹介するのは、

「ビタミンDが呼吸器感染症の予防に効果が有った」

というような内容の記事ですが、研究対象となった国はイギリスの隣のアイルランドです。

アイルランドは北緯53度西経8度に位置し、北海道より更に北にある樺太の北端に近いほど高い緯度にある国です。緯度が高い割には暖かく海流の影響で温帯に属している地域になり、最も寒い時期の平均最高気温は7.5度です。但し、冬の時期の日照時間は非常に短く、1月の平均日照時間は1.8時間とかなり短いです。
参考までに、東京の冬至における日照時間は9.5時間(日の出から日の入りまで)でした。

参考)Wikipedia

 

ビタミンDは骨の健康に無くてはならない栄養素ですが、ビタミンDの生成には太陽光が必要です。また、免疫力とも関係し、つまりビタミンDが不足することで免疫力が落ち、感染症だけでなく様々な病気にもかかりやすくなります。

しかし緯度の高い地域では、この太陽光の浴びる時間が短くなるためビタミンD不足による健康問題があり、このような研究がされているのでしょう。

ビタミンDに関する情報を下記に書いておきます。

ビタミン D の主な作用は、ビタミン D 依存性たんぱく質の働きを介して、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進することである。骨は、コラーゲンを中心としたたんぱく質の枠組みの上に、リン酸カルシウムが沈着(石灰化)して形成され、ビタミン D が欠乏すると、石灰化障害(小児ではくる病、成人では骨軟化症)が惹起される。

欠乏よりは軽度の不足であっても、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症となる。これに伴い二次性副甲状腺機能亢進症が惹起され、骨吸収が亢進し、骨粗鬆症及び骨折のリスクとなる。

方、ビタミン D の過剰摂取により、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などが起こる。

引用 ビタミン(脂溶性ビタミン)P.178

 

参考)
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 (厚生労働省)
ビタミン(脂溶性ビタミン)(PDF:1,370KB)

通常の食事からの摂取であれば、過剰摂取が起きることはほとんどないので心配する必要はありませんが、サプリメントや薬から誤って大量摂取する可能性はありますので注意は必要です。

 

ビタミンDと太陽光に関する記事は過去にも書きました。

カルシウムとビタミンDを同時に摂取すると脳卒中のリスクが17%増加する可能性が有る。また、それどころかほとんどのサプリメントは役に立たない以上に有害である

紫外線は私たちの腸内に住む微生物を豊かにし健康に導く

アイルランドの研究によると、ビタミンDが他の治療法に加えてCOVID-19を撃退するのに役立つ可能性がある

Thailand Medical News (2020/4/7)

ここからです。



ダブリンのトリニティ・カレッジにある「アイルランドの縦断的な高齢化研究(TILDA)」の医学者は、COVID-19の世界的危機に対応した新しい重要な報告書を発表した。

医療レポート:

「アイルランドにおけるビタミンD欠乏症-COVID-19への影響。アイルランドの加齢に関する縦断的な研究(TILDA)結果」

 

によると、ビタミンDが呼吸器感染症の予防、抗生物質の使用量の削減、および感染症に対する免疫系の反応の促進に重要な役割を果たしていることが示された。

50歳未満のアイルランドの成人の約13%がビタミンDが欠乏しており、この報告書では、摂取量を増やすことの重要性が強調されている。

一般的にビタミンDは、1日あたり10~15分の日光に身体を曝すことで皮膚で生成される。アイルランドでは、ビタミンDは3月下旬から9月下旬の間にしか作ることが出来ない。冬には作ることができず、夏で作られる量も、日照量、天候などに左右される。

夏であっても、雲や雨、日照不足などにより、十分な量のビタミンDを摂取することが、難しい場合がある。

ポジティブなニュースは、欠乏は適切な食物摂取とサプリメントによって改善できる。ビタミンDは、卵、レバー、サケやサバなどの脂身の多い魚、シリアルや乳製品などの強化食品に多く含まれている。

TILDAの研究者たちは、アイルランド全体で一日のビタミン摂取量が不十分であることを発見した。彼らの主要な調査結果のいくつかには:

  • 85歳以上の47%は冬に不足している
  • 70歳以上の27%は「家に閉じこもりがち」により不足している
  • 50歳以上の13%は一年を通して欠乏している
  • 男性の4%、女性の15%しかビタミンDのサプリメントを摂取していない

日光を浴びる機会が少ない人や、十分な量の強化食品を食べていない人が最もリスクが高く、特に家に閉じこもっている人または家に閉じ込められている人が最も危険にさらされている。その他、肥満や運動不足の人、喘息や慢性肺疾患のある人もハイリスクに該当する。

食事療法兼栄養補助食品であるビタミンDは、処方箋なしで入手できる。今必要とされているのは、ビタミンDの摂取量を増やすことだ。サプリメントの摂取量は特に全国的に少なく、目立って男性は少ない。

医学者は、50歳以上の成人は冬だけでなく、十分な日光を浴びていない人は一年中サプリメントを摂取することを推奨している。現在「家に閉じこもっている」人も、サプリメントを摂取すべきだろう。

TILDAの教授で主任研究者である、ローズ・アン・ケニー博士(Dr Rose Anne Kenny)は、次のように述べている。

「胸部感染症の予防、特に高齢者はビタミンD摂取量が低レベルにあります。ある研究では、ビタミンDサプリメントを服用した人の胸部感染症のリスクが半分になったという研究報告があります。」

「実際、COVID感染症におけるビタミンDの役割については具体的にはわかっていませんが、免疫反応の改善と骨および筋肉の健康に関する明確な証拠を考えると、家に閉じこもりがちな人たちやその他のリスクの高い集団は、ビタミンDの十分な量を摂取すべきです。このような状況では、筋肉機能の低下が急速に起こりますが、ビタミンDは筋肉の健康と強さを維持するのに役立ちます」

共著者であるイーモン・レアード博士(Dr Eamon Laird)はさらに以下のように付け加えた。

「これらの調査結果は、高齢者の高レベルのビタミンD欠乏を示している感染症への免疫反応に大きな悪影響を与える可能性があります。」

「現在家に閉じこもっている高齢者は、欠乏症のリスクが更に高まります。しかし、ビタミンD欠乏症は避けられないものではなく、脂身の多い魚、卵、ビタミンD強化シリアルや乳製品などの食品を食べ、毎日400IU(10ug)のビタミンDサプリメントを摂取することで、欠乏症を回避できます。」



ここまでです。

テレビなどの健康番組である食材が○○に効く、と聞くとスーパーなどの棚からその食材があっという間に無くなるという現象は、日本人の特徴なのかも知れません。

そういった行動に結びつくのは、それほど日本人の健康に対する感度や関心度が高い、ある意味とても良い事であると思いますが、不安や恐怖感の表れでもあるので、デマやあるいは間違った情報に踊らされやすいのも事実かと思います。

悪意があれば、事実を曲げたり誇張したりして情報を操作することも可能です。

またそんなつもりは無くても、情報を発信する側は、できるだけ「中立」の立場で発信を心がけるように考えていますが、やはりどうしても関心のバイアスがかかってしまいやすいのも事実です。

ですので、ひとり一人の「情報を見極める」能力が試されているのではないかと思うのです。

こちらのサイトも参考にされると良いと思います。

「健康食品」の安全性・有効性情報

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