コロナうつを防ぐ7つの方法

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。みなさんご周知の通り、日本でも7都府県の緊急事態宣言に引き続き、日本全国へ対象地域を拡大しました。

コロナウイルスは、私たちの暮らしや社会を大きく変えてしまいました。

外出自粛要請が出てからすでに1ヵ月近くが経とうとしており、そろそろコロナ疲れが出始めている、のも事実のようです。

コロナ疲れの一番の原因はストレスです。

軽いストレスであればスグに回復しますが、今のような生活が長期に渡るとなれば、それがどれだけ軽くてもボディブローのようにジワジワと効いてきますので、心や身体に様々な影響が出てきます。

人はストレスにさらされると、ストレスホルモンであるコルチゾールが産生されます。
コルチゾールは、身が危険にさらされるような危機になったときに多く分泌され、体を臨戦態勢に持ち込みます。

この時の体は、命の危機にさらされている非常事態ですから、心拍数が上がり、血管を収縮させてケガに備え、血圧を上げることで動くのに必要な筋肉へ血液を送ります。アドレナリンやノルアドレナリンなどを大量に産出し、一触即発、体は興奮状態です(交感神経活性)。

それに対して、体を修復するような緊急性のない機能を低下させます(副交感神経不活性)。

まさに、コロナに対して常に不安や恐怖を感じていたり、外出自粛によるストレスを受けている状態というのは、このような状態がずっと続いていることになります。

副交感神経はリラックス時に優位になりますが、このリラックスしているときに出るのが、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、ドーパミンです。

ストレスを受け続けるとことでこれらのホルモンが産出されにくくなると、次第に枯渇していきます。特に、セロトニンはうつ病との関連が深く、セロトニン不足がうつ病の発症原因なのです。

このセロトニンが枯渇するまでにはタイムラグがあるため、うつ病は長期のストレスを2-3ヵ月ほど受けると発症しやすくなるのです。

なので、5月末頃からうつ病の患者さんはどんどんと増加してくることが予想されます。

うつ病は、気がつかないうちに徐々に進行していきますが、うつの初期状態というのは、以下のような状態になりやすいことが知られています。

精神面:

  •  仕事などに集中できない
  •  自分の好きな趣味に打ち込めない
  •  楽しいこと、嬉しいことが浮かばない
  •  イライラしやすい
  •  急に落ち込む、不安になる

 

身体面:

  •  すぐ疲れるようになり、寝てもとれない
  •  眠れない、寝てもすぐ目が覚める
  •  異常に食欲がある、または食欲が無くなった
  •  頭痛や肩こり、背中の痛みがある
  •  めまいや耳鳴りがある


これらのちょっとしたサインに気がつけば、うつ病を発症しても軽症で済みます。

しかし進行し重症化すると、生きる意欲が湧いてこなくなり、死にたいと考えるようになります。

そうなる前に予防をすることがとても大切です。

「コロナうつ」を防ぐ7つの方法

1.ネガティブな情報を避ける

・不安や恐怖の感情は交感神経を優位にする。

今は、テレビもSNSでも新型コロナウィルスのニュースや、本当かウソかわからない情報にあふれています。毎日の感染者数や死亡者数を知ったとしても、自分ではどうすることも出来ませんし、逆に不安ばかりを煽ってしまいます。

事実を知ってそれに対して自分で出来ること、出来ないことを見分け、出来ないことに一日中思いを巡らせても不健康になるばかりです。

テレビを見ていると一日も何度も同じニュースや映像が流れますが、映像は文字と比べると6倍記憶に残ると言います。

ニュースを見るのは良いですが、一日の出来事をまとめられた番組のみ見れば十分です。
SNSなどのニュースもネガティブ情報にあふれています。ニュースがまとめられたサイトを1つだけ見るとか、友人同士のやりとりだけにした方がよいでしょう。

2.朝散歩をする

・セロトニンが睡眠の質を上げる
・ビタミンDが免疫力を活性化

朝散歩することで、朝の太陽の光をたっぷり浴びることが出来ます。朝陽は夕陽と比べて紫外線量が多く敬遠する方もいるかも知れませんが、紫外線を浴びることで皮膚からビタミンDを作ることができます。ビタミンDは免疫を活発にする働きをします。

また、散歩はリズム運動の一種。リズム運動は睡眠の質を良くするためのセロトニンを活性する働きがあり、夜グッスリ眠ることができるようになります。

セロトニンに関してはこの記事をどうぞ

『幸福物質セロトニン』 ~うつ病と精神疾患の関係~


3.運動をする

・有酸素運動が心肺機能を高め
・筋肉が体温を上げる

散歩も運動にはなりますが負荷が少ないです。心肺機能を高め、筋力を衰えさせないためにも定期的(週2-3回)な中~強度の負荷のかかる運動をおすすめします。それが出来ない場合はできるだけ早歩きで歩きましょう。少し息が上がる程度でも効果はあります。

家で簡単に行える運動としては、階段などを使った踏み台昇降運動やスクワットなどがおすすめです。心肺機能を高めることでより深く呼吸できるようになり、筋肉を強くすることで体温も上がるので、免疫力の強化にもつながります。

※階段などを使う場合は、手すりや壁で体を支えるようにして、踏み外したり、転倒しないように注意してください。

また筋肉が増えることで、自分に対する自信にもつながります。メンタルが強ければ免疫力も強いと言えます。

4.ポジティブ日記を書く

・幸福感は副交感神経を優位に

その日楽しかったこと、嬉しかったことを3つ思い出して、それを夜寝る前に書くとよいです。

日記の効用はいくつかあるのですが、ここで大事なポイントは反省文などネガティブな事は書かないようにすることです。

最初のうちは本当に些細な事、例えば「家族と話す時間が増えた」などでも良いです。それさえも書くことが見つからなければ「今日は天気が良くて気持ち良かった」くらいでも大丈夫です。

毎日続けることで注意力(幸福に対する感度)が働くようになり、本当に些細な事でも、気がつけるようになります。

書いた事を思い出しながら、幸せな気分で眠りに就けば、翌日気持ちの良い目覚めを迎えられるようになるでしょう

5.飲酒はほどほどに

・アルコールは睡眠の質を低下させる

飲酒は人との円滑なコミュニケーションに良い効果を生みますが、アルコールの摂取が多くなると、肝臓に負担をかけ睡眠の質を落とします。寝酒は避け、飲酒は寝る時間の2時間以上前までには終わらせるほうがよいでしょう。

6.人とのつながりを保つ

・コミュニケーションは癒やし

人とのつながりは社会への帰属感を促し個人の価値観を高める。
家族においては、お互いの心理的距離感が大切。この距離を侵すと心理的に不安定となり人によっては攻撃したり、心を閉ざしてしまうこともあるので注意が必要。

ヤマアラシのジレンマという心理用語があります。
ヤマアラシというのは全身ハリに覆われている動物ですね。

寒空にいるヤマアラシが互いに身を寄せ合って暖め合いたいが、針が刺さるので近づけないという、ドイツの哲学者、ショーペンハウアーの寓話に由来します。

ある冬の寒い日、たくさんのヤマアラシたちが暖を求めて群がったが、互いのトゲによって刺されるので、離れざるを得なくなった。しかし再び寒さが彼らを駆り立てて、同じことが起きた。

結局、何度も群れては離れを繰り返し、互いに多少の距離を保つのが最適であるのを発見した。

これと同様に、社会における必要に駆り立てられ、人間というヤマアラシを集まらせるが、多くのトゲや互いに性格の不一致によって不快を感じさせられる。結局、交流において許容できるような最適の距離感を発見し、それがいわゆる礼儀作法やマナーである。

それを逸脱する者は、英語では「to keep their distance」(距離を保て)と乱暴に言われる。この取り決めによって、初めて互いに暖を取る必要が適度に満たされ、互いの針で刺されることも無くなる。とは言え、自らの内に暖かみを持つ人間は、人々の輪の外に居ることを好むであろう。そうすれば互いに針で突いたり突かれたりすることも無いのだから。

引用 Wikipedia

7.「孤独」を避ける

・「孤独」は寿命を縮める

6と共通しますが、人や社会とのつながりが無くなると、自殺リスクが高くなります。
身近にいなくとも、電話などで人とのつながりを持っているとそれが安心感へとつながります。また仮に同居していたとしても、いないような扱いをしていれば、そのように扱われた人は孤独を感じます。


参考図書)
脳内物質仕事術 マガジンハウス刊 樺沢紫苑著

脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法 文響社刊 樺沢紫苑著

私は絶対に大丈夫と自信を持っている人ほどかかりやすいものです。
是非参考にして実行されることを期待しております。

当院への影響も日々大きくなってきていますが、一日でも早く通常の社会に戻れるよう頑張りましょう。

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