新型コロナの重症化は定期的な運動で防げる
「運動は健康に良い」そんな事は言われなくても分かっている。
では「健康にとって良い運動とは?」
この質問に対する答えは、
人それぞれ違っているので、自分で見付けるしかない。
一般に「この運動が良い」というのは確かにありますが、その人にとって一番良いものはその人にしか分からないからです。
ほとんどの人にとって良い事であっても、非常に少ないかも知れませんが、ある人には害になることもある、ということです。
しかし、運動は「適度」であればすべて健康にとって良いと考えています。
ところで、
運動=スポーツ
こういう風に考える人が多いかも知れませんね。
確かにスポーツは運動の範囲には違いないのですが、競技性があり優劣を付けたり、勝負をつけたりする、などゲーム性があるものが普通です。
ですが運動とはもっと広い。
たとえば、今あなたはこの文章を読んでいます。
文章を読むために、眼球が動いているはず。
これは眼球運動ですし、スマホであれば画面をスクロールするために指で画面に触れて、上下に動かしています。
これは指や肘、腕を使わなければできませんね。
広義には、これも運動な訳です。
まぁ。この「運動」が健康に良いとは言えないでしょうが・・・。
何を言いたいかというと、運動嫌いな人は、運動と言えばスポーツ(球技など)だったり、水泳だったり、ジョギングというように何かはっきりとした動きというか、形というか、こういったものを想像してしまうんだと思うんです。
そして、過去の失敗なんかを思い出して、ワー私にはムリ、出来っこないなんていう苦手意識が出てくるんですね。(ってこれ・・・実は私のことです。特に球技は苦手。でも器械体操はそこそこ得意でした。笑)
もっと、「運動」という定義を広く見て欲しいです。
人間の一番基本となる運動とは、歩くこと、走ること、立つこと、座る事(しゃがむこと)、横になること、などが私たちの身体に備わっている基本的な身体能力ですので、これを死ぬまで出来るよう保つ事が、すなわち健康にとって良い運動だと考えます。
そのために身体中の動かせるところをすべて動かす(使うようにする)事、生活の中でこれが万遍なく行えているのであれば、あえて運動する時間を取ってまで行う必要はないでしょう。
とはいえ、今の生活環境の中で身体の機能を万遍なく使うというのは、至難の業というのが正直なところですね。
ましてや、今はコロナにより不要不急の外出を控えるように要請され、最低限、通勤で行われていた歩くような運動さえもほぼ無くなってしまった、なんていう人も多いのではないかと思います。
運動習慣のある人とない人では、免疫力の働きにも差があるのはすでに分かっていることです。
運動は継続することで「健康貯金」が積み上がりますが、1回でも効果はありますので、まずは1回やってみて、効果を感じたらそれを続けてみることですね。
なぜなら週1回のランニングやたった6分の散歩でも効果があることが研究で分かっています。
健康のために行うランニングは週1回だけでも効果あり。それどころか6分歩くだけでもやる気を高める
それには運動することをすべてルーチン(運動前の数ステップをタスクにして)に組み込んでしまえば、努力せずとも続けていける秘訣です。
脳科学的に証明されているやり方がありますが、継続する秘訣については別の機会に書いてみたいと思います。
前書きが長くなりました。
それでは記事をご紹介しましょう。
COVID-19:運動は致命的な合併症を防ぐかもしれない
1回の運動で、EcSODと呼ばれる重要な抗酸化物質の産生が増加させ、COVID-19感染症の影響を軽減するのに役立つ。
・Neuro Science News (2020/4/15)
ここからです。
定期的な運動は、コロナウイルス感染者のARDS(急性呼吸窮迫症候群)の予防または重症化の軽減に役立可能性がある。1回の運動で、EcSOD(酸化還元酵素)と呼ばれる重要な抗酸化物質の産生が増加し、COVID-19感染の影響を軽減するのに役立つ。
定期的な運動は、COVID-19ウイルス感染患者の主要な死因である急性呼吸窮迫症候群のリスクを軽減する可能性があると、運動研究者の第一人者が報告している。
同氏は、彼の知見に基づき、人々に運動するように促しており、治療アプローチの可能性も示唆している。
バージニア大学医学部のイエン・ジェン博士(Zhen Yan、PhD)によるレビューでは、医学研究の結果は、運動がCOVID-19の全患者の3%~17%に影響を与えるARDSの重症度を予防するか、少なくとも減らす事が出来る可能性を「強く支持」していることを示した。
入手可能な情報に基づいて、連邦疾病管理予防センターは、COVID-19で入院した患者の20%~42%がARDSを発症すると推定し、そのうち集中治療を受けた患者は、67%~85%の範囲と推定されている。
パンデミック前に行われた研究では、重度のARDSを発症した患者の約45%が死亡することを分かっている。
「今聞こえているのは、社会的距離を置くか、人工呼吸器に頼るのかのどちらかで、私たちにできることは、感染リスクを避けるか、感染した場合に人工呼吸器に頼って生き残るしかないかのようです。」とイエン氏は語った。
「裏を返せば、COVID-19の確定患者の約80%は、呼吸器サポートを必要としない程度の、軽度の症状があるということです。問題はその理由です。内因性抗酸化酵素に関する私たちの発見は、COVID-19によって引き起こされるARDSの新しい治療法を開発する方法に重要な手がかりを提供したことになります。」
強力な抗酸化物質
イエン博士は、「細胞外スーパーオキシドジスムターゼ」(EcSOD)として知られている抗酸化物質について、自身の研究を含む既存の医学研究の詳細なレビューをまとめた。
この強力な抗酸化物質は有害なフリーラジカルを追い払い、私たちの組織を保護し、病気を予防するのを助ける。私たちの筋肉は自然にEcSODを作り、循環して他の重要な臓器への結合を可能にするが、その生産は有酸素運動によって強化される。
抗酸化物質の減少は、急性肺疾患、虚血性心疾患、腎不全などのいくつかの疾患で見られるとイエン博士のレビューは示している。
マウスを使った研究では、その産生を阻害すると心臓の問題が悪化し、産生を増加させると有益な効果があることが示唆されている。EcSODの減少は、変形性関節症などの慢性疾患にも関連している。
研究によれば、1回の運動でも抗酸化物質の産生が増加し、イエン博士は社会的距離を維持しながら、運動する方法を見つけるよう人々に促している。
「私たちは永遠に孤独の中で生きていくことは出来ません。定期的な運動は、私たちが知っているよりもはるかに多くの健康上の利点があります。この重度の呼吸器疾患に対する保護は、多くの例の1つに過ぎません」
可能な治療
イエン博士のレビューでは、EcSODがARDSおよびその他多くの病態における潜在的な治療法であることも示唆している。
たとえば、遺伝子治療は、抗酸化物質の生産を増やすために使用され、COVID-19と闘う患者の肺での抗酸化物質の保護的存在を強化するかもしれない。
研究では、慢性腎疾患の実験用ラットを、ヒトのEcSODで治療した場合、腎蔵へのダメージが少なかったことも示されている。
抗酸化物質は、すでに糖尿病の合併症である、糖尿病性網膜症の治療薬としてすでに提案されている。
さらに、EcSODは、複数の臓器が機能しなくなる、多臓器機能不全症候群に対しても有益であることを証明するかもしれない。今のところ、一般的な抗酸化物質で治療する事にはは成功していないが、イエン博士はEcSODの働きを理解することで、医師がより的を絞った(そしてうまくいけばより効果的な)方法で使用できるようになる可能性を持っている。
「運動は薬とよく言われます。EcSODは、運動の生物学的アプローチから学ぶことで、医学を進歩させることができるという完璧なお手本を示してくれました。」
「私たちは定期的な運動の優れた点についての謎をもっと知るために努力していますが、すべてが分かるまで待つ必要はありません。」
とイエン博士は述べた。
ここまでです。
悩むより、考えるより、身体を動かそう!
それも出来れば太陽の下で。