たばこと空気汚染がウイルスの感染範囲を拡大させる
タバコと呼吸器系疾患の関係については、因果関係がはっきりとしています。
私はタバコを吸いませんし、喫煙者の健康被害については自己責任かと思いますが、喫煙者本人以外の問題(社会的問題など)も多分にあるので、仕方が無いなぁと感じる部分もなくはないのです。
理想はタバコのない世界を望んでいますが、なかなか難しいのでしょうね・・・
タバコの煙には人体に有害な物質も多く含み、その物質を喫煙者の体内にすべて吸収され、体外に一切排気されなければ、まさに喫煙者本人だけの問題です。
でも実際には、一部は取り込まれても大部分はまた体外に戻されるわけなので、有害な物質が周囲に撒かれることになります。
また、タバコは慢性肺疾患の一番の大きな原因と考えていましたが、それだけでは無いことも分かった、という記事を以前に書いています。
週に1回漂白剤を使うだけで慢性肺疾患のリスクが30%増加する
だからといって、免罪符を渡されたと言うことは意味しません。
そんなタバコですが、やはりというかウイルス感染経路になるという事が分かったという記事とウイルス感染流行の背景には大気汚染も関与しているのではないか、という2つの記事を今回は紹介したい思います。
たばこの煙はウイルスを最大10メートル(30フィート)離れた場所にまで拡散させる
・Gilmore Health News (2020/4/21)
ここからです。
タバコの煙や電子タバコの煙は、コロナウイルス感染の媒介となり得る。フランス国家禁煙委員会(CNCT)は、Covid-19流行中の受動喫煙に対して警告を発している。
2月末にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された研究によると、喫煙者がCovid-19を発症しやすいばかりでなく、重症化しやすい事がすでに知られている。
喫煙によって呼吸器系が弱くなっているこの集団は、非喫煙者の2倍のコロナウイルスにさらされている。
タバコの煙は感染経路となる
コロナウイルスの流行に関連した喫煙の危険性はそれだけではない。
フランス国家禁煙委員会(CNCT)は、新型コロナウィルスを所持する喫煙者は、タバコの煙を通して感染させる可能性があることを明らかにした。
同委員会のウェブサイトには、
「喫煙によって発生した煙と蒸気は、喫煙者の周囲10メートルまで検出されるのです。この煙には感染の可能性があるため、この安全な距離を保つことが重要となります 」
と書かれている。
電子タバコの煙も同様
「コロナウイルスに感染した人から吐き出された水蒸気中の粒子は、ウイルスの潜在的なキャリアとなり、動的および超受動的に喫煙同様、感染を引き起こす可能性があります」
とCNCTは述べている。
喫煙者は10メートルの距離を保つ必要
「超受動喫煙」と呼ばれるのはいわゆる「第三の煙」、つまり煙の残滓が物体を汚染することによって引き起こされる。
喫煙者がCovid-19に感染すると、ウイルスはタバコの煙の粒子に付着してから、家具、カーペット、衣類などの環境に定着します。これらの粒子は、空気中に放出された後に吸い込まれたり、特に指を舐めるような小さな子供が指を舐めることで飲みこんでしまうのだ。
これらはすべて、喫煙者が禁煙しなければならない正当な理由だろう。自分の健康への配慮に加えて、他の人をCovid-19から守ることができるのだ。
「喫煙者のみなさん、あなたとその周りの人々のために、できるだけ早く禁煙して下さい。どうしても吸いたい場合は、自宅で喫煙したり吸煙したりしないでください。外出するときは、一人で出かけ、人や家から少なくとも10メートル離れた場所で喫煙してください」
とCNCTのトップであるイヴ・マルティネット (Yves Martinet)教授は結論付けている。
ここまでです。
汚染された空気粒子がウイルスを感染させる
・Gilmore Health News (2020/04/27)
ここからです。
イタリアの研究者たちは、空中浮遊粒子に微量のコロナウイルスの痕跡を発見した。彼らは大気汚染によってウイルスがよりよく拡散し、より長い距離を移動できるかどうかを調べようとしている。
大気汚染は、私たちの健康を脅かしている。長距離に渡ってコロナウイルスの循環を促進し、多数の個人を汚染させるのであればなおのことだ。
4月24日にMedRxi(未査読の論文を集めたサイト)で公開され、英国の新聞ガーディアンによって放送された研究では、大気汚染粒子にコロナウイルスの存在があったことをイタリアの科学者が明らかにしている。
汚染された空気のサンプルにおけるコロナウイルス遺伝子の特異性
この研究では、研究者は分析の最初の結果を提示した。細かい汚染粒子に含まれるコロナウイルスを特定するために、イタリアの科学者たちは、2月21日から3月13日までの3週間の中断のない期間に、Covid-19の影響を強く受けたイタリアのロンバルディア州ベルガモ県の工場から、2種類の異なる収集法で、34個の汚染空気サンプルを採取した。
「2つの並列PCR分析で、8つのフィルターに含まれる特異的なRtDR遺伝子を検出することにより、ウイルスRNA(分子)SARS-CoV-2の存在を合理的に検出したことを確認した。」
「これは、SARS-CoV-2のRNAが外部粒子に存在する可能性があることを示す初めての予備的証拠であり、SARS-CoV-2が大気中の安定性と粒子濃度が高い条件で外部粒子とクラスターを形成し、拡散係数を低下させることで大気中でのウイルスの持続性を高める可能性を示唆しています。」
と述べている。
汚染された空気粒子中のコロナウイルス
研究は、この予備的証拠のさらなる確認が進行中であることを指摘しており、
「粒子に付着したときのSARS CoV-2の生命力とその病原性のリアルタイム評価を含めるべきである。」としている。
現時点では、粒子中のウイルスの存在とCovid-19の進行との関係については推測できていない。
「私は科学者であり、知らないとなると心配になるのです。私たちが知ることで、解決策を見つけることができますが、知らなければその結果に甘んじるしかないのです。」
と研究を主導したイタリア・ボローニャ大学のレオナルド・セッティは英紙に語った。
ガーディアン紙は、汚染に有利な空気感染の可能性は、すでに他の2つの研究グループによる科学的研究の対象となっていると指摘している。
どちらの研究も、汚染された微粒子にウイルスが存在することを証明しており、これまでの研究では、空気中の微粒子には微生物が潜んでおり、汚染によって鳥インフルエンザや麻疹の原因となるウイルスをかなりの距離にわたって搬送した可能性があることが示されている。
ここまでです。
余談ですが、世界主要都市のロックダウンにより、地球の大気はキレイになっているようです。
・世界の都市の大気汚染、ロックダウンで異例の改善(CNN 2020/4/25)
記事によると、
世界で最も汚染の深刻なインドのデリーで3月23日~4月13日のPM2.5濃度が昨年より60%も低下。期間中、汚染指数が「不健康」なレベルにあった時間数の合計は、全体の68%から17%に激減した。 CNN.co.jp より
人間の活動が制限されるだけでも、こんなにも地球がきれいになるんですね。
ところで、世界の大気汚染の度合を調べるサイトもあります。
(私も、ヒマな時にたまにのぞきに行くサイトです)
ある日の環境指数(2020/04/30現在)
日本では、埼玉県の深谷市がこの日一番大気汚染度が高く、大気汚染値は139、汚染レベルは不健康レベルでした。
ついでなので、この日、世界中で一番大気汚染が深刻な地域を探すと(その時点でのワーストランキングとベストランキングも一覧で見る事が出来ます)、一位はインドにある北東部にある都市(Kusdihra, Gaya)ガヤに位置する場所で、なんと汚染指数は834の危険レベル(300以上が危険レベルなのでその基準値の約3倍!恐るべしインド!!)となっていました。
ガヤという都市は、インド全図で見るとココです。
インドのガヤ地区は観光都市のようで、私は名前こそなんとなく聞いたことがあったので調べてみると、仏教とヒンズー教の聖地だったんですね。
マハーボディ寺院があることでも有名だそうです。
このマハーボディ―寺院は、釈迦が悟りを開き仏陀(悟りを開いた人)となった場所で世界遺産に登録されています。
まさかタバコからブッダに行き着くなんて、思いも寄らず大変面白かったです。
ブログには載せませんでしたが、関連の写真もたくさん見る事が出来、まるでガヤに行って観光した気分になりました。
実際には、事務所(整体院)から一歩もでていないのですが。
まぁ、こんな日があっても良いかなと。
それではまた。