コロナも怖いけど外出自粛は健康リスクを大幅に高めます
4/8午前0時をもって7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)に緊急事態宣言が出されました。
この場で宣言のタイミングがどうとか、効果がどうかなどを言うつもりはありません。
市民の不要不急の外出を避けるように要請されている訳ですので、自宅で過ごす時間が普段に比べ大幅に増えることになります。
そうなると、様々な健康リスクも増加することになると考えています。つまりコロナで死ぬリスクは少なくなるかも知れませんが、(コロナ原因以外で)死ぬことなどを含めて、健康被害は今後確実に増えてくると思うのです。
恐れている事のいくつかは以前の記事に書きました。
消毒液の過剰な利用は肺疾患を増加させることにつながります。
殺菌・消毒は私たちの身体の内外に棲む微生物を殺す。
私たちの免疫システムを破壊することにつながって行くかも知れません。
これはテレビ、新聞などのニュースではまず報道されないでしょう。
なぜなら、それ以上にコロナウイルスの拡大を食い止めるのが先決なのですから。
さらに問題なのは運動不足による疾患。
家の中に居れば、普段と同じような身体活動が出来にくくなるわけです。
当然イスなどに座っている時間は普段では考えられないほど大幅に増えるはずです。
これが、どんな被害をもたらすか?
飛行機などで長い間座る事によって起こると言われる、いわゆるエコノミー症候群と呼ばれるような心血管系の疾患が増えるでしょうし、身体活動の低下は心臓血管系の病気だけでなく、うつ病など発症に関わってくるでしょうし、筋骨格系に関する疾患、特に腰痛、膝痛などの関節痛の症状が増えてくると考えられます。また、肥満にもつながります。
Youtubeなどでは室内でできる様々な運動などがたくさん紹介されていますので、ご関心のある方は検索されて動画を見ながら実行されると大変良いと思います。
そこで、今回は座る生活が長い人には是非読んでいただきたい記事を紹介したいと思います。
座るな、しゃがめ:アフリカの部族の研究は、1つのポジションがより健康である理由を示す
ここからです。
「座り過ぎは喫煙と同じくらい健康に悪い」(Sitting is the new smoking)という言葉が欧米では流行している。しかし、座っていることの何がそんなに有害なのか?
新しい研究によると、座っていれば体の筋肉をあまり使う必要がないからであるとしている。
この研究では、アフリカ・タンザニアの狩猟採集民族のハッツァ族と呼ばれる人達の日常活動を比較した。ハッツァ族は、一日中、工業化社会に住む我々と同じくらい、座りがちな時間を過ごしていたが、彼らがしなかったことは座ることだった。その代わり彼らは座らずに、しゃがんだりひざまずいたりしていたのだ。
「しゃがむかひざまずくには、軽いレベルの筋肉活動が必要です」と研究著者である南カリフォルニア大学の生物科学教授、デヴィット・ライクレン(David Raichlen)教授は述べている。
その軽いレベルの筋肉活動は、血管と心臓を介して血液を送り続けるのに役立つ。また、余分な血糖を燃やすのを助け、代謝系を維持し、インスリン抵抗性を低下させる。一定の筋肉活動は悪玉コレステロールの低下にも役立つかもしれない。
「椅子は素晴らしく快適ですが、筋肉の活動を奪ってしまいます。これは、過去と現在の運動不足との間のミスマッチにつながっています。私たちの体は、長い間椅子に座っていることにうまく適応できていないのです。」
と彼は説明した。
しかし、だからといって、ライクレン教授がしゃがんだりひざまずいたりして毎日を過ごす必要があると勧めているわけではない。
「もしあなたが一日中しゃがんだ生活で育っていないのであれば、今から始めるのは良い考えではないかもしれないが、より多くの筋肉を動かす方法を見つけることは良い考えだと思います。とにかく頻繁に立ち上がりなさい」と彼は提案している。
最近の多くの研究では、2型糖尿病と死亡率が高くなるリスクがあり、長時間座っているとと健康状態が悪いことが関連付けられている。米国医師会の医学誌で先月公開された研究では、座っている15分ごとにインスリン抵抗性が高まり、インスリン抵抗性が2型糖尿病の発症に関連していることがわかっている。
ライヒレンと彼のチームは、座っていることによる健康上の悪化が、人々があまり頻繁に活動していなかったためなのか、それとも何か他の原因があるのかを知りたいと考えた。
彼らは、工業化社会での人々の生活と、人間の祖先がしたであろう生き方に近い社会と比較するまたとない機会を得ていた。
ハッツァ族は狩猟採集民族である。彼らの食生活のほとんど(研究期間中97%)は、彼らが狩りをしたり、自分たちで集めたりした食料からなっている。
この研究に参加することに同意したのは28人。彼らは18~61歳までであり、そのうち16人は男性だった。
8日間、一日の動きを追跡するために彼らには太ももにデバイスを装着してもらった。また、携帯機器を使用して血糖値とコレステロール値を測定した。
ハッツァ族は、工業化社会に住む多くの人々よりも、1日中活発に活動していた。
しかし、彼らはまた非活動のレベルも高かったのだ。彼らは毎日9時間から10時間は座りっぱなしだった。このような長時間の非活動にもかかわらず、彼らは、工業化社会に住む人々と同じような心臓病などの慢性疾患のリスクが見られなかった。
ハッツァ族は、座っている時間の約18%をしゃがむ姿勢で座っており、12.5%はひざまずいて座り、それ以外のほとんどの時間では、地面に(直接)座っていた。彼らは椅子に座ることはほとんど無かった。
米国心臓協会の広報担当であり、ダラスにある心臓病学の学部長であるジョン・オズボーン博士(Dr. John Osborne)は、この研究をレビューし、その結果は理にかなっていると述べている。
「もしあなたがしゃがんでいるのなら筋肉は収縮し、心臓から筋肉へ、そしてまた心臓へと戻るための血液を動かし続けています。あなたはまた、そのためにエネルギーを使っていることになります」とオズボーン博士は言った。
しかし、多くの時間をしゃがんだり、ひざまずいたりしていない大人が、それを始めるとは考えにくいので、これらの発見を自分の生活にどのように統合できるか確信が持てないでいた。
「少なくとも、長時間座っていることは健康にとって悪いです。ですから、できるだけ動いて下さい。サメのように常に動き続けることです」
とオズボーン博士はアドバイスする。
この研究は全米科学アカデミーの議事録で 3月9日に発表された。
ここまでです。
しゃがむことが出来なくなった日本人
しゃがむ生活というのは、以前の日本人の生活にはごく普通にあったはずです。
しゃがむという字は漢字で書くと
「蹲む」
です。
日本には相撲や剣道などの武道では「蹲踞(そんきょ)」という座法があります。
この座り方は、相撲では爪先立ちで踵(かかと)の上に尻を載せて腰をおろし、膝を開いて上体を起こした状態を指し、これはみなさんにもおなじみの姿勢だと思います。
ところで、しゃがむ姿勢ですが、面白いことにこの姿勢はアジアの人々にとっては一般的なのですが、欧米ではこのしゃがむ姿勢が苦手な人が多いそうです。
しかし、かかとを付けたままでしゃがむ姿勢となると、今や日本人でも出来ない人が増えています。
なので、欧米人と同じようにしゃがむ場合にはかかとを上げて座る方が非常に増えているのです。
一説には、和式トイレから洋式トイレに生活スタイルが変わった事や、畳の上に座る生活からイスに座る生活に変化してきた為とも言われています。
子供たちにもその影響は大きく、今やしゃがむことが出来ない子どものほうが圧倒的に多いようです。
今の大人以上にロコモティブシンドローム(運動器症候群)が広がって行く事が心配されます。
しゃがむことが出来ないのは、足首、股関節が固くなっている事が原因です。
関節の動きの制限はケガや骨折などの大きな原因ともなります。
あなたは、両方のかかとを付けたまましゃがむことが出来ますか?