骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後
先日(6/12)に投稿した記事の冒頭にNHKスペシャル『人体II』遺伝子シリーズを一気見した話を書きました。
・「人の腸内細菌叢が感染症の重症化に大きく関与している事が分かった」
人の腸内細菌叢が感染症の重症化に大きく関与している事が分かった
この流れで骨についてももっと知って頂ければと思いまして(筆者は整体師なので関心は非常に高いです)、今回はその代表的な病気でもある『骨粗しょう症(骨粗鬆症)』についての記事をご紹介したいと思います。
その前に、骨粗しょう症は高齢者と女性に多い病気と思っている方は多いと思います。
実は、骨粗しょう症は高齢者だけの病ではないのです。
「骨粗しょう症」といえば、閉経後の女性やお年寄りの病気と誤解されがちです。しかし、男性や20代の若者であってもかかる可能性がある病気なんです。
今回番組で取材したのは、自転車選手として全米選手権でも準優勝したブレイク・コールドウェルさん、33歳。日常生活での軽い転倒で大腿骨を骨折し、念のためにと受けた骨量検査で、重度の骨粗しょう症が発覚しました。25歳で80歳代の骨量しかありませんでした。
この番組では、若くして「骨粗しょう症」になった原因は「スクレロスチン」という物質が「骨芽細胞」(骨を新しく作る細胞)という細胞を減少させてしまう、と続きますが、今回のテーマとずれてしまうので、これについてはまた機会がありましたら書きたいと思います。
それでは、今回の記事はかなり文章量が多いので、早速いこうと思います。
骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後
・Osteoporosis Latest Facts: Causes, Diagnosis, Complications, Treatments and Prognosis Gilmore Health News(2020/06/11)
ここからです。
骨粗しょう症の特徴は、骨の強度が低下し、骨折のリスクがを高くなることです。ほとんどの場合、カルシウム、リンなどのミネラルが不足することで、骨がもろくなります。骨粗しょう症になると、骨が多孔質になり、通常であれば起こらないような転倒でも骨折する可能性が高くなります。
注意:骨粗しょう症は病気ではなく、加齢に関連した自然なプロセスによって起こります。
骨粗しょう症の影響を受けるのは誰ですか?
骨粗しょう症は65歳以上の人に多く見られますが、それよりも早く発症することもあります。女性の4人に1人、男性の8人に1人が生涯を通じて骨粗しょう症を発症すると推定されています。50歳から人生の最後まで、女性の10人に4人が骨粗しょう症に関連した骨折をしています。股関節、手首、脊椎(背骨)は、最も多い骨粗しょう症に関連した骨折です。
目的:骨折を防ぐ
新しいガイドラインによれば、医師は骨粗しょう症を全力で治療するのではなく、骨折予防に力を入れるべきだという。
この新しい方向性は、最新の科学的証拠に基づいています。骨粗しょう症は骨折の多くの危険因子の1つにすぎません。つまり、骨粗しょうであっても骨折のリスクはそれほど高くない可能性があることを意味します。逆に言えば、骨粗しょう症でなくても骨折を経験するリスクが高くなる可能性があるということです。
したがって、医師は患者の健康状態、服用している薬、家族歴、生活習慣などを総合的に評価を行う必要があります。必要と判断した場合にのみ、骨のミネラル密度を測定する骨密度測定検査を提案します。以前は、治療を実施するかどうかの判断は、主にこの検査の結果に基づいて行われていました。
収集されたすべてのデータは、今後10年間に骨折が発生する確率を決定するために使用されます。医師がこのリスクを評価できるように、いくつかの質問票が開発されています。これらは国によって若干の違いがあり、大規模なサンプルを用いてテストされました。
骨粗しょう症の診断は、次の状況のいずれかが当てはまる場合に行われます。
- X線検査または骨密度検査
- 骨折
骨粗しょう症と診断され治療を受ければ、骨折のリスクが50%減少する程度まで骨の状態を安定させたり、改善させることが可能です。
骨ミネラル密度測定検査
骨ミネラル密度(BMD)は、骨を構成するさまざまなミネラル(カルシウム、リンなど)の量のことです。
骨密度を測定にはさまざまな方法があります。最も一般的なのは、二重X線吸収測定法です。この検査は痛みを伴わず、ほとんど放射線を浴びることもありません。この検査の結果(Tスコア)は、若年成人の平均骨密度と比較されます。
ただし、この検査では骨の構造の質が明らかになるわけではないことに注意が必要です。骨の強度は密度だけでなく、構造の質にも左右されるからです。
年齢による骨量の変化
すべての人が同じ骨の「資本」を持っているわけではありません。この骨資本の4分の3は遺伝的なものです。良い生活習慣(運動、カルシウム摂取など)は、この「資本」の維持し、成長させるのに役立ちます。
骨量のピークは35歳頃に達し、これは通常40歳まで続きます。その後、骨量は年間1~2%程度減少していく傾向があります。
(女性の場合)閉経後の10年間は、エストロゲンの分泌量が減少するため、骨量の減少が1年あたり2~3%ずつ加速します。その後、減少は年間1%程度で安定します。
男性の場合では、骨量の減少はより緩やかです。しかし、65歳になると骨粗しょう症を発症するリスクが高まり、骨折する可能性が高くなります。
起こりうる合併症について
骨折を制限または予防しようとする場合、主な目標は、痛み、自律性の喪失、生活の質(QOL)の低下(特に股関節骨折の場合)などを回避することです。股関節骨折をした人の20~25%は、1年以内に死亡すると言われています。
その年代の男性は、女性よりも健康状態が悪化する傾向が多く、結果的に深刻な状態になってしまうことが多いです。
症状と骨粗しょう症のリスクのある人
・骨粗しょう症は通常、症状が出ないことが多く、「沈黙の泥棒(サイレントシーフ)」という愛称で呼ばれています。多くの場合、転倒時に骨折して初めて骨量の減少に気がつきます。
・最初の症状の1つとして、身長の減少(4 cm以上)です。この減少は通常、椎骨(※背骨の骨)の崩壊による腰痛に関連していることがあります。
重症化しやすい人について
- 65歳以上の人
- 椎骨の崩壊または脊椎の骨折を経験したことがある人
- 骨粗しょう症に関連した骨折の家族歴がある人。
- 自然な理由や卵巣摘出後に、早期に(45歳より前に)閉経した女性。骨量を維持するのに役立つエストロゲンの分泌量は、閉経期に著しく減少します。体がエストロゲンの分泌が長いほど、骨粗しょう症のリスクは低くなります。また、いわゆる性腺機能低下症によるエストロゲン欠乏の女性もリスクが高くなります。
- 腸でのカルシウム吸収を妨げる疾患(クローン病など)のある人。
- 無月経(月経不順)が6か月以上続いている女性(妊娠中を除く)。
- 経口コルチコステロイド療法を3か月以上続けている人。また、抗てんかん薬やヘパリンを服用したことがある、または服用中の人
- 程度は低いですが、関節リウマチの人、または甲状腺機能亢進症の経験のある人。これらの2つの要因は軽度と考えられています。
骨粗しょう症の危険因子について
以下の要因が骨粗しょう症のリスクを高めます。それらの影響は累積的です。ただし、それらの影響は、リスクのある人に関するセクションで説明されている要因ほど重要ではありません。
- 身体活動の不足
- 生涯カルシウムの少ない食生活
- 日光を浴びる機会が少ない、ビタミンDの少ない食生活によるビタミンD欠乏症。このビタミンは、カルシウムの代謝に欠かせません。
- 25歳以前の大幅な体重減少(体重の10%以上)または体重が60kg未満の場合(※欧米人の場合。日本人の場合はもう少し少ないと思われる)。
- アルコールの過剰摂取。
- カフェインの大量消費(コーヒー、チョコレート、コーラ、エナジードリンク)カフェインは、尿の量を増やすことでカルシウムの損失を増加させると考えられています。専門家は、高齢者にはカルシウムとビタミンDの十分な供給を確保するだけでなく、1日に3杯を超えるコーヒーを飲まないようにすることを推奨しています。
骨粗しょう症の予防について
主な目標は骨折の予防です。予防により、骨粗しょう症に伴う骨折のリスクが半減します。
骨粗しょう症や骨折を予防するためには、早期からのケアが必要です。世界保健機関(WHO)が述べているように、健康的な生活習慣を早く取り入れれば、その効果は大きくなります。
スクリーニング対策について
ほとんどの専門家は、冒頭で述べたように、以下の人は医師による骨折リスクの徹底的な評価を受けることを推奨しています。
- 65歳以上の男女
- 閉経後の女性は潜在的にリスクがある
- リスクがある場合、50歳以上の男性
特定の特殊なケース、たとえば関節リウマチがある場合、50歳より前にスクリーニング検査を依頼できます。
基本的な予防策
以下の3つの対策が最も重要です。また、上記のようなリスク要因は極力避けるようにしましょう。
身体運動:身体を運かすことは生涯を通じて骨に良いことを研究で示されています。幼少期および思春期に活発に活動することは、特に重要であり、より強い骨格を形成し、成人期に使用するための骨量の蓄えを構築することになるからです。身体的に頑健な人は、バランスと協調性が向上し、転倒のリスクが減ります。
少なくとも週に3回、最低でも30分の身体活動を行うことが推奨されています。最も重要なことは時間と期間ではなく、その頻度です。
ここでは、おすすめの運動の種類をご紹介します。
- 耐荷重関節運動は、骨格に重力の影響を与えます。体全体の重さを負担させるように強制的に行います。これらには、ランニング、ジャンプ、テニス、サッカーなどのチームスポーツが含まれます。
- 激しい活動(サイクリング、カヤック、水泳)は、心血管の健康と筋肉量の維持に優れていますが、骨量に影響は与えません。
- レジスタンス・エクササイズ(※いわゆる筋トレ)は、抵抗が発生するような方法でオブジェクトまたは自分の体を動かすことで構成されています。これらは、ウェイトまたはジムで一般的に使用されるウェイトマシンを使用して行われます。
- ただし、重い荷物を扱ったり、押したり(引いたり)する必要がある日常的な作業でも、同じ結果が得られます。たとえば、週に1時間以上のガーデニングは、ウェイトに次ぐ2番目に良いエクササイズとなるでしょう。
- 必要に応じて、転倒の危険性を避けるために、太極拳や正しい歩行姿勢を回復させるトレーニングなどのバランス改善運動を検討する必要があります。
カルシウムとビタミンDが豊富に含まれる食品
カルシウムが豊富に含まれる食品を食べる。体内のほぼすべての細胞が正常に機能するためには、カルシウムを必要とします。カルシウムを豊富に含む食事は、骨に蓄えられているカルシウムに頼らずに、体のニーズを満たすことができます。
乳製品、鮭(骨付き)、イワシ、濃い緑の野菜(ブロッコリーなど)、大豆製品(豆腐、カルシウム入り豆乳)などを定期的に摂取することで、十分なカルシウムの摂取が可能です。
ビタミンDを十分に摂取しましょう。このビタミンは健康な骨と歯に欠かせないものです。腸内でのカルシウムの吸収を高め、骨へのミネラルの定着を助けます。活性型のビタミンDは、太陽の紫外線を浴びることで皮膚で合成されます。活性型のビタミンDは、ほとんどの食品に含まれていません。なので北米では、牛乳とマーガリンの両方にビタミンDが強化されているのはこのためです。また特定のシリアル、米、大豆飲料もビタミンDで強化されています。
その他の予防策
カルシウムとビタミンDのサプリメント
- 50歳未満の健康な人の場合:
1日400IU~1,000IU(10~25μg)のビタミンDと1200mgのカルシウムを必要に応じて補給する。 - 50歳以上の場合:
1日あたり800IU~2000IU(20~50μg)のビタミンDと1200mgのカルシウムを補給する。
骨粗しょう症の治療
基本的な治療法は、サプリメントや薬の摂取と、それに合わせた運動プログラムを組み合わせたものです。ただし、治療を中止すると骨量減少が再発することがあります。
薬物療法(ステロイド療法など)が長引いた結果、骨粗しょう症になってしまった場合は、速やかに原因を排除する必要があります。
骨粗しょう症の薬
骨吸収を遅らせ、骨折のリスクを大幅に軽減できるいくつかの薬があります。また、失われた骨量の一部を回復させることも可能な場合が多いです(骨量が安定している状況では、骨折のリスクも低下することに注意してください)。薬物療法は骨折のリスクが高いと判断される場合にのみ使用されます。
最も重要なものは次のとおりです。
ビスホスホネート:
これらの薬は骨量の減少を遅らせます。最も一般的に使用されているのは、アレンドロネート(フォサマックス®)およびリセドロネート(アクトネル®)で、週1回または1日1回、錠剤の形で服用します。アクトネルRの新錠剤により、月1回の服用が可能になりました。エチドロネート(ディドロカル®)も1日量で使用され、年に1回ゾレドロン酸を1年に1回静脈内注射されます。イバンドロネート商品名:(ボニバ®)も骨粗しょう症の治療薬として人気のある薬です。
副作用:ビスホスホネートを5年以上に渡って長期間使用すると、非定型(普通ではない)大腿骨骨折のリスクが高まります。非定型骨折は、骨粗しょう症によって引き起こされる骨折とは異なる骨の部位に発生します。特に免疫系が弱っている女性では、顎の骨壊死のリスクも高まります。これらの副作用は稀ではありますが深刻なものです。
2011年に発表された研究によると、ビスホスホネートの治療を5年間続けていると、女性の0.4%が非定型骨折を経験しています。
専門家は、これらの薬剤は骨粗しょう症に関連した骨折のリスクが高い女性にのみ使用すべきであると述べています(単なる骨密度検査だけでなく、総合的な医学的評価に基づいて)。このような女性ならば、ビスホスホネートの利点は明らかに副作用のリスクを上回っています。5年間の治療を行った後、1年~2年の休薬を勧めるところもあります。
カルシトニン(ミアカルシン®):甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を遅らせる作用があります。また、鎮痛効果があります。経鼻または注射で使用します。
ラロキシフェン(エビスタ®):この薬は、エストロゲン受容体に作用することにより、エストロゲンの作用を模倣します(ホルモン依存性がんを発症するリスクを高めることはありません)。
タモキシフェン:乳がんの治療に使用されるこの合成ホルモンも、エストロゲンと同様に骨に作用します。
合成副甲状腺ホルモン(PTH):このホルモンは副甲状腺から分泌されるもので、重度の骨粗しょう症の場合に使用されます。注射の形で投与されます。体内のカルシウムとリンの交換に役割を果たし、骨吸収を遅らせます。
注意:急性または慢性の痛みには鎮痛剤を使用してください。痛みが強くなった場合は、コルセットが必要になることがあります。
更年期のホルモン補充療法(HRT)は、骨量の減少を遅らせ、骨折のリスクを軽減するのに役立ちます。しかし、リスクがあるため、この目的でのみ使用されることはほとんどありません。ホルモン療法を中止すると、閉経前の女性に自然にみられるように、骨量の減少が加速することに注意する必要があります。男性の骨粗しょう症の原因がテストステロン欠乏症(性腺機能低下症)によるものである場合には、アンドロゲンホルモンで治療することができます。この種のホルモン療法は、前立腺がんのリスクの増加が伴います。
外科手術
股関節骨折の場合、股関節を再建するために手術が必要になることがよくあります。
副甲状腺機能亢進症の場合、副甲状腺を摘出することにより骨密度が改善されます。
カルシウムとビタミンDのサプリメント
医師から、カルシウムとビタミンDのサプリメントの服用を勧められることがあります。
カルシウムの摂取量は、必要に応じて食事やサプリメントで1日あたり1200mgを目安にしてください。
ビタミンDの推奨摂取量は、状況に応じて、1日800IU~2,000IU(20~50μg)です。
骨粗しょう症の薬理学的治療を受けている人には、血中のビタミンD(25-ヒドロキシコレカルシフェロール)の測定が一般的に推奨されています。これにより、医師は必要なビタミンDの理想的な投与量を知ることができます。
予防のための食品
予防でも述べたように、カルシウムとビタミンが豊富な食品の摂取量を増やすと良いでしょう。十分なタンパク質の摂取量を確保し、アルカリ性の食事(果物や野菜を多く含む)を積極的にとることも重要です
身体活動
身体運動の利点は多く、得られる効果は多岐にわたります
- 機動性とバランスを維持
- 転倒防止
- 骨量の減少を遅らせる
- 骨折による痛みを軽減
骨粗しょう症に悩まされている方は、どんな種類の運動であってもその前に医師または理学療法士に相談してください。運動プログラムは、個人の能力に合わせて段階的かつ適切なものでなければなりません。
転倒予防
以下に挙げるようないくつかの要因が高齢者の転倒リスクを高めます。
・筋力の低下
・バランスの問題
・視力障害
・特定の薬(睡眠薬、不安薬、一部の抗うつ薬、一部のアレルギー薬など)の使用
良好な筋肉量を維持し、柔軟性とバランスを改善することは、転倒を防ぐための最良の方法です。作業療法士を探すことで、このリスクが軽減されるように生活空間を設計することができます。
毎日従うべきアドバイス
姿勢を良くしましょう:頭をまっすぐにして、背中の上部をまっすぐに保ち、肩を後ろにして、腰をアーチ状に保ちます。
首のサポート:椅子に座ったり車を運転するときは、小さな枕で首を支えます。
重い荷物を正しく扱う:上半身を曲げて荷物をつかんで持ち上げるのは避け、その代わりに膝を曲げて、上げる時には背筋をなっすぐにしておきましょう。
転倒を防ぐ:浴槽の中には滑り止めマットを使用し、かかとが平らで滑りにくい靴を履き、カーペット、滑りやすい表面、緩んだ電気ケーブルなどに注意してください。
ペットなどの動物:犬や猫の予測できない行動が思わぬ転倒につながる可能性があるので、注意しましょう。
骨粗しょう症治療のための補完的アプローチ
太極拳: 2008年、1,972人が参加した7件のランダム化臨床試験の系統的レビューが発表されました。著者らは、太極拳は60歳以上の人の転倒やそのリスクを軽減できると結論付けています。しかし、効果を上げるには、太極拳を定期的に練習する必要があります。予防効果は高齢者や体の弱い人ではあまり顕著ではありません。
イプリフラボン:いくつかの臨床試験のデータによると、1,000 mgのカルシウムサプリメントと一緒に摂取することで、閉経後の女性の骨粗しょう症を予防することができます。また、特定の病気を患っている人を含め、骨粗しょう症の人の骨量減少を遅らせたり、逆転させたりすることもできます。
用法・用量
1日600mgを2~3回、1,000mgのカルシウムサプリメントと組み合わせて服用します。
警告
イプリフラボンは北米で市販されていますが、その使用には免疫抑制作用があるため、一部の人では医療専門家によるフォローアップ治療が必要です。
ビタミンK:疫学研究では、食事によるビタミンKの摂取量の低さと骨密度の低下および骨折リスクの増加との間に関連があることが明らかになっています。これらの研究のほとんどは日本で行われたものです。この結果は有望ですが、欧米の女性を対象とした研究ではまだ確認されていません。
用法・用量
治療用の用量を提案するのに十分なデータがありません。欧米人を対象としたいくつかの研究では、ビタミンK1を1日200μg~1000ug(1 mg)が使用されました。日本の研究では、1日あたり45mgのビタミンK2(非常に高用量)がしばしば使用されました。
ホウ素:閉経後の女性を対象とした3つの予備研究(合計30人)の結果から、ホウ素サプリメントがカルシウムの吸収を改善し、骨密度の低下を減少させることが示唆されています。
コラーゲン:コラーゲンの補給は、骨粗しょう症に対して通常処方されるホルモンであるカルシトニンの骨量に対する有益な効果を増加および延長することができます。
DHEA:デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、人の副腎がコレステロールから合成するステロイド同化ホルモンです。加齢とともに、体内で生成される量が少なくなっていきます。これまでに行われたいくつかの研究では、DHEAの補給は骨量の維持に役立つことが分かっています。
亜麻仁(アマニ):更年期の骨量減少に対する亜麻仁の有用性には、いくつかの関心が寄せられていますが、その結果は一般的には結論が出ていません。
マグネシウム:マグネシウム摂取量(食事やサプリメント)と骨密度の関係が示されています。研究は、マグネシウム不足が骨粗しょう症に寄与することを示唆しています。しかし、栄養補助食品の効果に関する臨床研究はまれです。
イソフラボン:骨粗しょう症の予防におけるイソフラボンの役割については、いまだに多くの議論があります。疫学的データは、イソフラボンの食事摂取と骨密度との間に相関関係があることを示していますが、正の効果は更年期と閉経直後に最大になると考えられています。研究プロトコルのばらつき、被験者数、および研究期間の変動性により、結果の解釈が難しいのが現状です。
レッドクローバー(Trifolium pratense):レッドクローバー・イソフラボンは、更年期および閉経後の女性の骨密度の低下を減少させる可能性があるようです。
スギナ(Equisetum arvense):伝統的に、この植物の地上部分は骨量減少を防ぎ、緊張や骨折を治すために使用されてきました。
参考文献)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5768298/
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/osteoporosis/symptoms-causes/syc-20351968
ここまでです。
骨の骨密度は、思春期に高まり、およそ20歳で最大値に達し、40歳代前半までそれが持続し、閉経の前より低下する事が分かっています。
また骨密度の遺伝率は40-80%と言われ、家族間の遺伝の影響度は大きいです。
骨粗しょう症性骨折の危険因子は、
・女性
・高齢
・低骨密度
・既存骨折
・喫煙
・飲酒
・ステロイド薬使用
・関節リウマチ
・骨折家族歴
・運動
・体重
・BMI
・カルシウム摂取
・転倒に関する因子
上記の該当する数が多いほどリスクは高いと言えるでしょう。
母娘間の骨密度に関する遺伝の影響はおよそ70%。
- 前腕骨骨密度で72%
- 大腿骨近位部骨密度で67%
両親のいずれかに骨折歴があると骨粗しょう症骨折のリスクは1.18倍。
大腿骨近位部骨折のリスクは1.49倍。
両親の骨折歴を大腿骨近位部骨折に限ると骨粗しょう症骨折のリスクは1.54倍
大腿骨近位部骨折のリスクが2.27倍と上昇し、より強い影響を示す。
参考)
・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版
・日本骨粗鬆学会