慢性疾患の改善にはやっぱり運動が最もリスクが少なくかつ安全で効果が高い療法だといえるだろう

運動は病気の予防や治療に優れた効果があり、私の整体院でも利用者のみなさんに出来る範囲内で、個別に指導させて頂いております。

私は、ほとんどの慢性疾患の原因は「生活習慣」と捉えており、整体院で関わるような腰痛、肩こり、膝痛などすべてを生活習慣病と呼んでいます。

ですから、一時的な悩みの解消で終わることなく、心身の健康を今後も維持するためには、今までのご自分の生活スタイルをもう一度(というか何度でも)見直すことが大変重要なのだと、お話しさせて頂いています。

そのひとつが、このブログでも何度も取り上げているテーマが「運動」なのです。

しかしながら、「運動」が健康にとって非常に良い影響を与える場合もあれば、逆に健康に悪影響を与えることもあるため、必要な人にその人に合ったベストの運動やその量や強度なども指導することも必要であろうと感じております。

さらには、運動と食事もセットとして考えるとなるとその必要な知識範囲はさらに広くなるため、それらを提供するのが難しくなってくるのは致し方ないのかも知れません。

このブログで紹介するそれらの知識や情報が、みなさんの助けになればと思っております。

それでは、複数の慢性疾患を抱えた患者も運動によって、それら病態が改善されたという研究記事を紹介しましょう。

 

治療としての運動:複数の慢性疾患を持つ人々を治療する驚くべき可能性


Exercise as therapy: its surprising potential to treat people with multiple chronic conditions 
  The Conversation(2020/09/14)


ここからです。


世界中のあらゆる年齢層の何億人もの人々が 2つ以上の慢性疾患を抱かえて生活している。一般的に多疾患罹患(多発性患者)と定義されている、これらの慢性疾患を持つ人々は、一つの慢性疾患だけを持っている人々に比べて、心身の健康状態が悪く、入院するリスクが高く、早期に死亡するリスクが高いことが分かっている。


 多発性患者の数は将来的に増加すると予想されており、より良い治療法を見つけることが、次の主要な健康上の優先事項と考えられている。しかし、多発性疾患が障害の主な原因であるにもかかわらず、治療法に関する研究はまだ黎明期にある。

 治療法の選択肢を調査した研究はほとんどなく、残念ながらこれらの研究の結果はほとんどの場合、ごくわずかな改善しか得られていない。

 多発性疾患の人々は、身体的、精神的、感情的、社会的な健康を改善する治療法を望んでいる。我々の調査によると、運動は実際に多患性疾患のある人にとって驚くべき治療法である可能性があり、患者が望むこれらの改善の多くを提供している。

 現在、多発性疾患は、利用可能な医薬品を使用し、それぞれの慢性疾患を個別に治療することによって管理されている。しかし、これでは症状が十分に軽減されず、多くの健康被害をもたらす可能性がある。

 多くの人が複数の医療従事者に相談し、また、複数の薬を服用することになり、有害事象のリスクを伴い、患者にとって不便で満足のいかないものとなる。

薬としての運動

 運動は、変形性関節症、うつ病、2型糖尿病などの26の慢性疾患に効果的な治療法であることが研究で明らかになっている。

 また、運動は35の慢性疾患の発症を予防する可能性があることも示されている。

 健康に対する総合的な効果(血圧の低下、関節の健康、認知機能の改善など)のおかげで、運動療法はさまざまな慢性疾患に効果が有る。また、薬物療法に比べて副作用のリスクが低いのも特徴だ。同時に、運動には肉体的な努力が必要があり、薬理学的治療と同様に、運動をやめれば効果は薄れる。

 しかし、運動療法は複数の慢性疾患を持つ人々にも効果があるのだろうか?

 これこそが、我々が最近のレビューを調査する目的だ。

 次の慢性状態のうち少なくとも2つの慢性疾患を持つ人々の身体的および精神的健康に対する運動療法の効果を評価した。

  • 変形性関節症(膝または股関節)
  • 高血圧
  • 2型糖尿病
  • うつ病
  • 心不全
  • 虚血性心疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患

 すると、50~80歳の成人を対象とした23件の研究が見つかった。

 研究で使用された運動療法の介入は、少なくとも部分的に理学療法士または運動生理学者が監督していた。ほとんどは平均して12週間で、運動は週に2~3回行われ、低強度から始まり、中程度から高強度へと進行した。

 運動療法は、水中運動、筋力トレーニング、有酸素運動、太極拳が含まれていた。

 私たちのレビューでは、運動療法は生活の質を向上させ、不安や抑うつ症状を軽減させることが示された。この効果は、若年者や運動療法を開始する前にうつ病の症状が高かった患者で高くなっていた。

 このことは、重度のうつ病(うつ病の重症度が高いために運動をすることができないと考えられることが多い)が運動療法の恩恵を大きく受ける可能性があることを浮き彫りにした。

 運動療法に参加した患者は、より長く歩くことができた。参加した患者は、運動介入に参加しなかった患者よりも平均して6分以上、43メートルも多く歩くことが出来た。この改善は患者にとって重要であると思われ、障害が軽減された。

 ま運動療法は、膝、腕、腰の痛み、転倒や疲労などの重篤でない副作用のリスクを増加させなかった。さらに、入院、肺炎、極度の疲労のリスクも減少した。

 このように運動は、複数の慢性疾患を持つ人々の薬物処方を増やす代わりに、安全で効果的な治療法になる可能性がある。この効果は、本研究に含まれるすべての慢性疾患の組み合わせにおいて同様の結果が得られた。

 しかし、これらの知見は、より明確な答えを得るために、今後の調査で確認する必要があるだろう。

 患者や医療専門家と協力し、モビライズ(MOBILIZE)プロジェクトで運動療法と自己管理プログラムを開発し、テストを行っている。この試験は、個別化された運動療法と自己管理が多発性疾患の管理と治療に有効かどうかを理解するのに役立つ。

 一方、多発性疾患のある人は、週に2~3回運動することで、心身の健康状態を改善することができる。有酸素運動、筋力トレーニング、またはそれらを組み合わせた運動は、その人がどのような状態で生活しているのかに関わらず、同様の健康効果を促進することができる。

 ただし、運動療法セッションは監督されており、患者の能力に基づいてセッション強度が変化することが重要だ。

論文原典)Lancet
Epidemiology of multimorbidity and implications for health care, research, and medical education: a cross-sectional study


ここまでです。

 

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