子供を清潔なベッドに眠らせる健康上のデメリットを考えた事はありますか?

異常なまでの「潔癖症」とも言える現代社会の衛生観念は人々の健康に大きな影を落としています。

そして、新型コロナウイルスの流行によってそれがさらにエスカレートさせているのではないでしょうか。

確かに私たち人間は、衛生観念が生まれたことで、生死に関わるような恐ろしい感染症などの発症を抑えてきたことは事実だと思いますが、医学がこれだけ進歩してきたにもかかわらず、いまだに様々な訳の分からないような病気にさらされています。

その原因の一つと思われるのが、殺菌・抗菌・消毒社会であり、私たちにとって有益な微生物たちを殺してきた結果なのではないでしょうか。

以前からこのブログでもたくさん取り上げてきました腸内細菌叢ですが、微生物たちは私たちの腸内だけでなく、呼吸器内や皮膚上にも存在しています。

最近では、腸内細菌叢がパーキンソン病始め原因不明の病気との関係性が報告されています。

次々と明らかになってくる腸内細菌叢の破壊がもたらす原因不明の病気(2019/11/29)

次々と明らかになってくる腸内細菌叢の破壊がもたらす原因不明の病気

子供の発達障がいが増えているのは腸内細菌叢の多様性が崩れてしまっている可能も指摘されています。

発達障がいの子供と腸内細菌叢の関連を示す研究報告がつぎつぎ発表された(2020/11/24)

発達障がいの子供と腸内細菌叢の関連を示す研究報告がつぎつぎ発表された

また、口の中にもたくさんの微生物が存在していますが、マウスウオッシュなどのうがい薬もまた、その中に住んでいる微生物を殺してしまいますから、その奥に潜む腸内細菌にも影響が無いわけがありません。

健康を考えるとすべての「殺菌効果のある日用品」を遠ざけるべき(2020/1/27)

健康を考えるとすべての「殺菌効果のある日用品」を遠ざけるべき

前置きが長くなりそうなので、これくらいにして本題に入りたいと思います。

今回ご紹介する記事は、子ども(研究では生後6カ月までの乳児)のベッドのほこりにたくさんいるであろう微生物が、子どものその後の健康に大きく影響する可能性がある事を示した調査報告です。

ベッドのほこりに含まれる微生物が子供の健康に役立つかもしれない

Microorganisms in Bed Dust May Benefit Children’s Health Technology Networks(2020/11/20)

ここからです。


コペンハーゲン大学の研究者は、デンマーク小児喘息センター(ヘアレウ病院とゲントフテ病院)と共同で行ったこの種の最も広範な研究で、子供のベッドのほこりに生息する微生物と、子供自身にすむ細菌との間に関連性があることを発見した。

 この相関関係は、微生物が子供の喘息やアレルギー、自己免疫疾患を発症するリスクを人生の後半で低下させる可能性があることを示唆している。

 ヒトの目には見えないが、私たちのベッドには、微生物の生命に満ちてあふれている。特に幼児期に、私たちの体の微生物がどのように発達し、それによって私たちがさまざまな病気に対してどのように回復力を持つようになるかに影響を与える

 この関係をよりよく理解するために、コペンハーゲン大学の生物学部とデンマーク小児喘息センターの研究者は、この関係をよりよく把握するために、577人の乳幼児のベッドから採取したほこりのサンプルを分析し、542人の小児の呼吸器から採取した(細菌の)サンプルと比較した。

 これはこの種の研究としては最大規模のもので、その目的は、どのような環境要因がベッドのほこりの中の微生物の組成に影響を与え、ほこりの中にいる微生物と子供たちの気道内の細菌との間に相関関係があるかどうかを判断することだ。

 「ベッドのほこりから発見された細菌と、子供たちの体内から発見された細菌の間には相関関係が見つかりました。同じ細菌ではありませんが、これらの細菌が互いに影響し合っていることを示唆する興味深い発見だと思います。後年の喘息とアレルギーのリスクを減らすことができることが証明されるかも知れません。」

 とコペンハーゲン大の生物学部、ソーレン・J・ソーレンセン教授(Soren J.Sorensen)は説明している。

毎回シーツの交換は必要ないかもしれない

 科学はすでに明らかに-家庭内の微生物の多様性が高いことは、病気やアレルギーに対する子供の抵抗力の発達に貢献している。ベッドは、細菌や真菌、その他の微生物を中心的に集める役があるようだ。

 「私たちの体内に生息する微生物が、喘息やアレルギーなどの健康に重要であることは良く知られていますが、2型糖尿病や肥満などの人間の病気にも重要な役割があります。しかし、これらの病気をより良く治療するためには、私たちの人生の初期段階で微生物がどのようなプロセスで出現するかを理解する必要があります。そして、ベッドがその役割を果たしているようです。」

 とソーレンセン教授は付け加えている。

 「ベッドにいる微生物は、細菌の多様性が高いことが有益なのですが、住居の周辺環境の影響を受けています。いつもベッドシーツを交換する必要はないかもしれないということが、シンプルなメッセージです。しかし、確実にそう言えるようになるまでは、もう少し詳しく調査する必要があります。」

田舎暮らしのメリット、ペットそして兄姉のメリット

 生後約6ヶ月の子供たちのベッドから採取されたほこりの中には、合計930種類の細菌と真菌が含まれていた。細菌の種類の豊富さは、採取された住居の種類に大きく依存していた。

 研究者は、農村部と都市部の両方の住居を調査した。農村部の住宅では、都市部の住居と比較して、細菌のレベルが著しく高かった

 「これまでの研究では、都市に住む人の腸内細菌素の多様性は、田舎に住む人よりも少ないことがわかっています。これは一般的に、屋外で過ごす時間が長く、自然との接触が多いことが原因です。私たちの研究は、ベッドダスト中の細菌叢の変化が、この違いの重要な理由であることを示しています。」

 とソレンセン教授は述べている。

 これまでの研究から、ペット、年上の兄姉、田舎の生活もまた、自己免疫疾患を発症するリスクの低下に寄与することが分かっている。

 研究者の次のステップは、ベッドダスト中の細菌叢の違いが、アレルギーや喘息などの病気の発症と直接相関するかどうかを調査することだ。

原典)Environmental shaping of the bacterial and fungal community in infant bed dust and correlations with the airway microbiota (BMC Microbiome Journal)


ここまでです。

 

最後にもうひとつ、以前のブログ記事を紹介して終わりにしたいと思います。

あなたの子どもを生涯健康でいさせたいのであればもっと汚れてもらおう(2020/1/17)

あなたの子どもを生涯健康でいさせたいのであればもっと汚れてもらおう

6歳までの子供の生活環境が、後のその子の健康を決めることになるかも知れません。

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