外出自粛で衰え始めるのは筋肉?それとも脳から?

緊急事態宣言から1週間がすぎ、発令後初の週末の人出はその前の週の土日よりも心なしか少なくなっていたように感じました。

私は神奈川県の海老名市に住んでいますが、駅周辺の大型商業施設(ビナウォークとららぽーと海老名)を始め、駅前のパチンコ店も休店となり、以前は夜でも非常に明るかったのですが、暗く少し寂しい感じになっています。

私は現在、電車やバスに乗る生活をしていないので、通勤ラッシュ時の状態は分からないですが、昼間利用される当院の患者さん(知らない人もいるかも知れませんが私は整体院を経営しています)に聞くと、1車両に数人しか乗っていないところもあって、車両によってはほぼ貸し切り状態になるほど少ないそうです。

海老名駅は私鉄(小田急小田原線と相鉄本線)とJR線(相模線)の3線が乗り入れるターミナル駅なので、これらの電車の乗り換えなど普段は人でかなり混雑しています。

院の周りの飲食店などもほとんどの店が休店しており、通行人も普段と比べて8割以上は少ないのではないでしょうか。

まぁ近況はこのくらいにして本題に入りましょう。

外出自粛とテレワークなどで自宅にいる時間は相当増えているのではないでしょうか。
小さなお子さんや子どものいる家庭では、お母さん達はむしろ普段よりも仕事が増えて大変な思いをしているかも知れませんね。

いつもなら、通勤だけでもそれなりの運動量だったかも知れませんが、自宅にずっといるような状況だと、一日中座りっぱなしで運動不足という方も結構いるのではないでしょうか?

老化は足からとも言われ、運動不足が老化を早め、認知能力も低下していくというのが通説のようですが、その逆かも知れないという研究結果がでたようです。

脳や筋肉、最初に失うものは何か?


Science Daily (2020/03/24)


ここからです。



世界保健機関(WHO)によると、世界中で年間320万人もの人々が10秒ごとに運動不足で無くなっている。50歳を過ぎる頃から、身体活動だけでなく認知能力も徐々に低下していくが、この二つには相関関係がある事が分かっている。

しかし、それらのうちのどれが他方に影響を与えているのだろうか。身体活動が脳に影響を与えるのか、それとも脳が身体活動に影響を与えるのか。この疑問に答えるために、スイスのジュネーブ大学(UNIGE)とスイス国立研究能力研究センター(NCCR Lives Swiss National Centre of Competence in Research)の研究者は、2年ごとに身体能力と認知能力を12年間に渡って測定した、50歳から90歳の10万人以上のデータベースを利用した。

ヘルス・サイコロジー(Health Psychology)に掲載された調査結果は、以前考えられていたことに反して、認知能力は、物理的な活動が認知能力の低下を防ぐよりもはるかに多くの(身体活動の)不活動を回避することを示した。つまり認知能力の低下を妨ぐには、脳の運動を優先する必要があるということだ。

この分野の文献では、身体活動が認知能力に与える影響を数年前から調べてきた。しかし、ジュネーブ大学の感情科学研究センター(CISA)の研究者であるボリス・シュヴァル(Boris Cheval)氏は、次のように述べている。

「この二つの要因の間には、特に記憶力だけでなく、新しいニューロンの成長と生存に関連した、相関関係は確立されています。しかし、これまで正式に検証したことはありませんでした。身体活動が認知能力の低下を防ぐのか、あるいはその逆なのか、それを検証したかったのです。」

鶏が先なのかそれとも卵が先なのか

身体活動と認知能力の相関関係基づく以前の研究では、身体活動は認知能力の衰退を防ぐと仮定されていた。

「しかし、この研究が話の半分のみしか説明していないとしたらどうでしょうか。最新の研究では、身体活動に従事することは、私たちの脳が関与していることを示していると、最近の研究は示唆しています」と研究者は述べる。

ジュネーブ大の研究者は、25か国以上をカバーするヨーロッパ全体の社会経済データベースであるSHARE調査(ヨーロッパの健康、高齢化、退職に関する調査)のデータを用いて、2つの可能性のある選択肢を正式にテストした。

「50歳から90歳までの105,206人の認知能力と身体活動のレベルを、12年間を通して2年ごとに検査されました」と、研究者の一人であるマシュー・ボワゴンティエ(Matthieu Boisgontier)氏は説明する。

認知能力は、言語流暢性テスト(60秒間にできるだけ多くの動物の名前を挙げる)と記憶テスト(10語の単語を記憶し、後でそれを暗唱する)を使用して測定された。身体活動は、1(「なし」)から4(「週に1回以上」)のスケールで測定した。

ジュネーブ大の研究者たちは、このデータを3つの統計モデルに分けて採用した。

第一に、身体活動が時間の経過とともに認知能力の変化を予測するかどうか
第二に、認知スキルが身体活動の変化を予測するかどうか
第三に、この2つの可能性を双方向で検証

「統計的指標のおかげで、2番目のモデルが最も正確に調整されることがわかりました」とシュヴァル氏は言います。

この研究は、認知能力が主に身体活動に影響を与えることを示しており、これまでの文献で想定されていたものとは逆であった。

「もちろん、身体活動も私たちの認知能力にも影響を与えるので、それは好循環には違いないが、これらの新しい知見に照らすと、それは比較的規模が少ないのだろう」とボワゴンティエは指摘する。

避けられない老化を遅らせる

50歳を過ぎる頃から、身体能力や認知能力の低下は避けることはできない。しかし、今回の結果は、かつて考えられていたのとは対照的に、私たちの認知能力を高めるために行動すれば、この両方の能力の衰退を遅らせることができることを示している。

「この研究は、脳が座りっぱなしのライフスタイルから抜け出すためには、本当に努力しなければならず、認知能力に取り組むことで身体活動は後から付いてくる、という私たちの理論を裏付けるものです。」とシュヴァル氏は結論として述べている。



ここまでです。

この研究結果は、認知機能の低下を抑制させることで、身体活動も多くなるという報告ですが、正直私は少し否定的です。

認知機能を低下させないための具体的な活動や、身体活動の内容も具体的に書かれていないためです。(論文には書いてあるのでしょうが)

「もちろん、身体活動も私たちの認知能力にも影響を与えるので、それは好循環には違いないが、これらの新しい知見に照らすと、それは比較的規模が少ないのだろう」

 

確かに認知機能が衰えてくると、身体活動も少なくなるので、お互いが相関してどちらの機能も更に低下していきます。

つまり、認知機能が高い人は運動しなければといった意識も高くなる傾向があり、認知機能が衰えてくれば運動しようという意識も低くなるのではないかと。

私は専門家ではありませんので異論を述べるほどの能力はありませんが、脳と身体双方の能力の低下を少しでも防ぎたいとは思うので、どちらの能力もできるだけ使っていくように努力していこうと思います。

今回なぜこの記事を選んだのか?

個人的にはこの外出自粛が長引けば、つまり家に閉じこもる時間が増えることで、認知症の方が増加する可能性があると考えているからなのです。

また、座りっぱなしの生活はロコモティブシンドロームのリスクが高くなります。先日も以下のような記事を書きました。

新型コロナウイルスの流行が一段落しても、その後間接的な被害がさらに続くことが懸念されます。

 

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