『痛みを起こす原因は何処にあるのか?』

「痛み」という刺激は、まず受容器(センサー)が最初に受け取りますが、ではそのセンサーは何処にあるのでしょうか?

痛みを感知するところ

◎「痛み」を感じるセンサーはからだのどこにあるのか?

①筋膜(筋肉)
②関節包
③皮膚(真皮)
④神経
⑤骨膜

以上のような場所に存在し、体の内外からの情報を集めそれを脳に伝えています。

解説)

【②関節包】

関節組織を覆っている滑膜組織。
この関節包には、関節を良く動かすために滑液が満たされており、骨同士の摩擦を軽減し、関節を滑らかに動かすのに役立っています。代表的な部位はみなさんもよくご存じの膝関節です。
目を閉じていても、関節がどのような角度を保っているかなどを瞬時に判断できるのは、この関節包にセンサーが在るおかげです。膝の軟骨がすり減って痛むと思っている方もいると思いますが、軟骨には痛みを感じるセンサーや神経が通っていないので、痛みを感じる事はありません。

膝の痛みはこの関節包で、感じられます。(軟骨成分グルコサミン、コンドロイチンなどのサプリメントが効く、と謳っている広告をよく見かけますが、医学的に証明されている訳ではありません。ただ整形外科などでヒアルロン酸を注射するのは、医学的に効果が認められています。これは関節包内の滑液が増えることで痛みが緩和したと考えられ、軟骨の摩耗が痛みの原因とは、私は考えていません。)

【⑥骨膜】

硬骨の外側にある強靱な膜で、血管や神経に富んでいる組織。内層には造骨細胞があり骨の保護・栄養補給・成長・再生などを行っています。骨折すると痛むのはこの骨膜が傷ついたからであり、骨の組織そのものには痛みなどを感じるセンサーはありません。

ところで上のリストの中でセンサーが一番多くあるところは、どれだと思いますか?

知っている方も多いと思いますがそれは・・・・

皮膚です

皮膚には痛みを感知するセンサー以外にも、温度(温覚、冷覚)や圧力(触覚、圧覚)など、外部の環境や自分の置かれた状況を知ることができます。そのため、脳に伝わる情報もとても多いので、受けた感覚を正確に把握することができます。ただし、皮膚もその部位によって敏感な場所(たとえば手のひら)、鈍感な場所(お尻や足の裏)によって感じ方に差があります。(昔、学校の理科の授業で、鉛筆の先などで皮膚を刺激し、温かく感じる場所や冷たく感じる場所などを調べたことがありましたよね?)

ただ、今回テーマにしている、みなさんが悩まされている「痛み」以外の情報も含まれるので、ここでは主な痛みの発生原因と考えられる 【①筋膜(筋肉)】について説明していこうと思います。

■筋膜とは?

筋膜というのは聞き慣れない言葉かも知れませんね。よくスーパーの精肉コーナーにある鶏肉などを見ると、肉の表面に薄くて白い膜があるのに
気付かれたことが有ると思います。あれが筋膜です。

この筋膜の働きは、筋肉の伸び縮みをモニターしていて、その筋肉がどのような状態になっているのかを脳に伝える役割を果たしています。そしてこの膜が身体中を覆っています。
たとえるなら毛糸で編んだ服を全身に着ていて、その服の編み目すべてが位置センサーになっており、その一部をひっぱったりして形が変われば、それがどのように変化したのかを知らせる役目をしています。

また、筋肉どうしがくっつかないよう、お互いの動きの邪魔をしないような役目もあります。

体が歪むのは筋膜のせい

筋膜は弾力性に富んでいますが、同じ姿勢などをとり続ける事で筋膜がよじれてしまうと弾力性が奪われ、それに伴って筋肉の動きも悪くなり、かたくなります。そうすると、いくら姿勢を気にして正そうとしても、ちょっと時間が経てばいつの間にかまた同じ姿勢を取っていることになります。

これらを繰り返すことで、体がその姿勢を記憶してしまい、元の正常な状態に戻せなくなります。

つまり体が歪んでしまうのです。

筋肉がかたくなるのは酸素不足だから

筋肉がかたくなる(緊張する)と、血管を圧迫し血流を悪くさせます。血流には細胞の活動に必要な酸素を運ぶだけでなく、細胞が活動した後の老廃物を運んでいます。

この老廃物には、痛みを感じさせる物質も含まれており、血流の滞った場所に蓄積されます。老廃物や筋肉を緊張させる成分が溜まっていくので、さらに血流が悪くなり、必要な酸素が供給されなくなる、必要なエネルギーも運ばれなくなる訳で、そこから血液をもらっている細胞は酸素不足による不完全燃焼が起こります。

その結果血液を汚し、さらに筋肉が緊張する。
そして痛みが更に強くなる。といったような悪循環に陥ることになるのです。

筋肉がうまく働かないことでさらに緊張がつづく

筋肉がうまく運動している時は、筋肉の収縮運動によって静脈のポンプ運動を行っているため、老廃物や緊張させる成分が筋肉から正常に排出されます。
ところが筋肉が緊張し、運動できない、うまく伸縮できない状態のときは、老廃物や筋肉の緊張成分が筋肉から正常に排出されません。
このため、筋肉はいつまでも緊張状態を維持してしまう、まさに悪循環ですね。

痛みの原因は血流が悪いから

つまり、血流(酸素不足)を改善すれば、痛みはとれるのです。

体の歪みを正すことで、筋膜のよじれを取る事につながり、筋膜のよじれがとれれば、筋肉へいく血流(酸素)が増え、筋肉も軟らかくなって、もとの弾力性を取り戻すと、痛みも自然と無くなるのです。

※ここで扱っている「痛み」はいわゆる慢性痛のことです。

痛みは神経からも起こる

痛みを伝える神経が伝達障害を起こし、誤った痛みを引き起こすこともあります。

痛みは電気信号であり神経はその伝達回路

痛みは、痛みセンサーから発せらた電気信号を神経を通じて脳に送られます

伝達経路は、末梢神経から脊髄神経を通って脳に送られます。
もしこの時、脊髄神経に圧迫など何らかの障害が起きると、神経回路では、正確な場所を特定する情報が書き換えられたり、情報が遮断されたりして、情報が不十分または不正確な情報のままで脳に伝えることになります。

脳は受け取った情報をもとに、何が有ったのかを知ることになるのですが、この情報が不充分だったり、間違った情報によって、間違った判断をしてしまうことになります。
実際には、痛みの有る場所とは関係のない別の場所に痛みがあると感じたり、痛み以外の感覚を、痛みとして誤認識してしまうのです。

信号は脊髄神経を通って脳に送られます

脊髄神経とは、体全身に行き渡っている神経を束ねている中枢神経です。
脳とからだの信号をやりとりする器官です。
脳は、五感を通して知覚し、体の動きを制御する器官であり、脳は身体の中枢と言えます。

この脊髄神経に何かの原因でダメージが与えられると、そのダメージの場所や強さによっては、下半身不随になったり、全身不随になることは、良く知られていますね。

脳は「からだのコントロールセンター」

脳は、体のあらゆる処から集まる様々な信号を、収集、分析、整理して、必要な判断と指示を与えますが、痛みなどの信号は個人差が非常に大きく、人によっては気にならないような小さな痛みも、有る人には大きく、強く感じることがあります。

また、痛みを正確に識別、判断することは出来ないため、それらの感じ方も個人により全く異なります。

人によって痛みをしびれと感じたり、しびれを痛みと感じたり、くすぐったいといった感覚も、実は同じメカニズムで起こっています。
また、不快な症状はその人の置かれた環境条件(暑い、寒いなどのストレス)によっても変化することが分かっています。

脊柱管狭窄症はこの脊髄神経を圧迫する病気

脊髄神経が通っているのは、脊椎つまり背骨です。
この背骨が歪んでしまうと、その背骨を通っている脊髄神経や血管を圧迫したりして、その神経回路の先に有る末梢神経にも影響を与えますので、その神経の支配されている領域に障害(痛みやしびれなど)が起きる場合もあります。その代表が、脊柱管狭窄症ですね。

この脊柱管狭窄症という病気は、脊柱にある脊髄神経が椎骨の変形などで圧迫され、その結果、腰や脚などに痛みやしびれ、症状が重くなれば、排尿障害や下肢麻痺に至る病気です。
脊柱管狭窄症は、主に腰椎に起こる病気です。

しかし、仮に画像診断(レントゲンやMRIなど)で脊柱管に狭窄が見つかった場合でも、かならずしも上記のような症状が出るという事はなく、またそのような症状が有る場合でも、それが狭窄のために起こっているとは限りません。

手術を勧められた場合でも、神経障害や排尿障害が出ている場合を除き、通常手術が必要なケースは少ないのではないかと、私は考えています。

脊椎の歪みも痛みの原因となる

だから、その脊髄神経が通っている背骨が全身の働きに影響を与えるのです。

そのためにも、体の歪みを見つけそれを整える必要が有るのです。

そうすることで症状が解消、改善していきます。

 

※初掲「いやさか通信」2013年9月号~11月号 より

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