『消炎鎮痛剤は悪魔が天使の仮面を被っている』① ~なぜ痛みが出るのか~

日頃から患者さんには、痛み止めの服用、あるいは湿布の使用を出来るだけ控えるように指導させていただいています。
それはいったいなぜだと思いますか?

理由は二つ

◇一つ目、「痛み止め(消炎鎮痛剤と呼びます)」というのは、からだの修復する過程で起こる現象(痛み)を無理やり抑えている。つまり、からだが壊れた組織を修復させる現象を止めてしまっています。これでは治るものも治らず回復するまでの時間が長くなってしまいます。

◇二つ目は、交感神経優位になるために顆粒球(白血球の一種)が増えリンパ球が減少します。顆粒球が増えることで、血流障害が起き組織を破壊してしまうからです。顆粒球が増えると活性酸素が増加します。活性酸素は細胞を破壊し、粘膜を傷つけ炎症させます。そうなることで、さまざまな病気が発生することになるのです。
※自律神経である交感神経と副交感神経の働きについてはまたあらためて紹介したいと思います。

消炎鎮痛剤というのは一時的に短期間で使用するのであれば非常に有効ではあります。
ところが長期間服用することで今度は体の修復機能の低下がおこります。これが最大の問題なのです。

「痛み」は身体の修復時に起きる

「痛み」というのはとても不快で嫌なものですね。
でも、この「痛み」がある時には体を修復している状態なのです。ではなぜ「痛み」が出るのでしょう。

「痛み」は、組織が炎症を起こしている状態です。この時に痛み物質であるプロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリンなどが作られます。(産生されるといいます)特にこのプロスタグランジンというのは血管の拡張を起こし、発熱させて組織の修復を助ける物質で、この熱を発生させている状態が炎症を起こしている状態ということになります。

プロスタグランジンの産生阻害剤である消炎鎮痛剤は、医療の現場で最もよく使われている薬です。消炎鎮痛剤は別名「消炎剤、解熱剤、痛み止め」とも呼ばれています。また、風邪薬にも使われています。人類はいろいろな障害を受けた時に出る、腫れ、熱、痛みに悩まされてきたために、この消炎鎮痛剤を重用するようになったと思われます。

しかし、腫れ、熱、痛みを伴う炎症は病気を治す体の反応として出ている面も考えなければなりません。では、なぜ「炎症」が起こるのでしょうか?

炎症(痛み)という現象は

①ストレスによる血流障害を解消するため
②破壊された組織を修復するため
③リンパ球の機能を高めるため

大きくはこれらの現象が「痛み」や「発熱」として発現します。
副交感神経が優位になって血管を開き、血流を増やして傷ついた組織を
修復する
のですが、この時に作られるのがプロスタグランジンという
ホルモンです。

「痛み」が出ている時には、「腫れ」、「炎症」が起こっているのですが、この時に重要な働きをするのがプロスタグランジンなどの発痛物質です。

プロスタグランジンの3つの働き

①血管を開く
②痛みを起こす ※正確に記すと、痛みを起こすのではなく痛みに対する反応性を高める増強作用。
③発熱させる

という大きく3つの働きがあります。

そのほかにも

①腸管収縮(消化機能の亢進)
②子宮筋収縮(生理痛を引き起こします)
③血小板凝集(傷口を修復する)

といった働きもあり、すべて副交感神経優位の状態で起きます。

プロスタグランジンという名前の由来は

羊の精嚢腺(せいのうせん)に平滑筋を収縮させる生理活性物質が含まれていることが発見され、当時は前立腺 (prostate gland) 由来であると考えられたために prostaglandin (プロスタグランジン)と名付けられました。

動物に見られる必須脂肪酸から生合成される一群の有機化合物で、生理作用はそれぞれ異なる。

◇ プロスタグランジンはほとんどの組織や器官で見られる
◇ 非常に低濃度で平滑筋の収縮を起こす作用がある
◇ 天然 or 合成プロスタグランジンはヒトや家畜の流産、分娩を誘発するのに使われる
◇ アレルギーによる炎症とその他の疾患でも、プロスタグランジンの関与が考えられる

痛みや熱はなぜでるのでしょう?

プロスタグランジンとは、別名“子宮収縮”ホルモンとも呼ばれていますので、例としてまずは生理痛で説明しましょう。

生理時には子宮が強く収縮することで、はじめて血液が子宮から押しだされます。例えば、体が冷えて血行が悪くなると、子宮が収縮しにくくなります。その結果、生理の血液を子宮外に押しだすために、より多くのプロスタグランジンを分泌させて、血流のよくない子宮をより強く収縮させなければなりません。その結果、生理痛がひどくなるわけです。

もう一つ身近な例でカゼを挙げましょう。
カゼを引くと、のどがイガイガして、鼻水が止まらなくなり、しまいに体がゾクゾクして来たと思ったら急に熱が上がります。
これらの症状は大変つらい症状です。熱が出るのは、白血球のうちのリンパ球がカゼのウィルスを闘っている状態です。

カゼのウィルスは熱に弱いため、ウィルスを追い出すために体は体温を上げます。つまり熱が出てしまったのでは無く、わざわざ熱を出しているのです。悪寒を感じるのも、早く熱を上げるための体の反応です。鼻水も下痢も体内のウィルスを追い出そうとする反応です。こうしてウィルスと闘って勝利が見えてきたら、熱を上げる必要がなくなるので、自然に平熱まで下がります。

つらい症状は、治るための治癒反応であると理解することが大切です。

これらのことを知り、消炎鎮痛剤(痛み止め、解熱剤)は、症状が強く現れているときに症状の勢いがおさまるまでの一定期間(短期間 )のみ使用するようにしましょう。

☆次回は、消炎鎮痛剤の長期服用によって起こる病気についてお話したいと思います。
次を読む・・・

 

※初掲「いやさか通信」2013年6月号&7月号 特集記事より

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