変形性関節症は心血管疾患のリスクを増加させる

変形性関節症は、軟骨がすり減ったり、なくなって関節の骨の形が変形し、痛みや腫れをきたす状態をいいます。
膝や股関節の変形性関節症が多く、軟骨などがすり減ることなどのイメージから高齢者の病気と思われがちですが、若い世代でもかかる病気です。
 
変形性関節症は確かに高齢者に多い病気のなのは間違いないのですが、私個人的には加齢だけでかたづけられる問題ではないとは思っています。

関節症5倍に、超高齢社会で重要性増す

■23万8000人から125万人に※

 厚生労働省の平成26年患者調査(疾病分類編)によると、平成の間に最も患者数が増加した整形外科疾患は、変形性膝関節症(OA)や老年性股関節症、ヘバーデン結節などの関節症で、1990年(平成2年)には23万8000人だった患者数が、2014年(同26年)には125万人へと5倍以上に増えている(図1)。

図1. 関節症の総患者数、平成の推移

・(図1)厚生労働省(患者調査)から作成

引用元:https://www.m3.com/open/clinical/news/article/659395/

※筆者注:データに関して確認したところ、1990年のみ数値は438,000とあり、その他の年はグラフ表記通りでした。
ここからダウンロードできます。 ⇒ 厚生労働省 平成26年 患者調査(傷病分類編)PDFダウンロード
調査表のP60に「関節症」の患者数の記載があります。
この表から、総患者数は1990年(平成2年)43万8000人から2014年(平成26年)125万の増加ですので、約3倍となります。としても、増加速度は急ですね。

変形性関節症は心血管疾患のリスクを増加させる

日本では、上のグラフで見て分かるとおり、かなり早い速度で増加していますが、これは日本だけの傾向ではなく世界でも同じようです。
 
これら関節症の中でも変形性関節症とその患者の死亡率を調査した記事がありましたので、ご紹介します。
この記事で、心血管疾患(狭窄症・心筋梗塞・動脈硬化などの心臓・血管の病気)による死亡リスクが変形性関節症を持っている人のほうが、一般のひとよりも高いという報告です。
 
スウェーデンのランド大学の研究者は、疫学的研究において変形性関節症と死亡率との関連性を調査。
 

 心血管疾患で死亡するリスクは、変形性関節症の人の方が他の人よりも高いことが示されました。
研究者はスウェーデンのスコーネに住む約469,000人を45歳から84歳までの人達、2003年から2014年まで追跡調査しました。調査グループの中には膝関節炎の患者16,000人、股関節炎9000人、手首関節炎4000人、その他変形性関節症5500人が含まれており、患者はすべて2003年以前にすでに診断されていました。

「2004年から2014年の間に死亡し、以前に変形性関節症と診断されていた人々の死因を調べ、その結果を同じ地域のその他の人々と比較しました。これらのグループはほとんどの死因の点で違いはありませんでしたが、変形性関節症と診断された人の方が心血管疾患による死亡のリスクが高いことがわかりました。変形性関節症の診断後、短期間でのリスクは増加しませんでしたが、たとえば、変形性関節症にかかっている時間が長いほど、背景人口と比較して心血管疾患による死亡のリスクが高くなりました。 例として、膝関節炎の診断を受けた人が9~11年の場合、リスクは16%高くなりました。」ルンド大学の教授であり、スコーネ大学病院の医師であり、研究を率いたマーティン・エングルンド(Martin Englund)は言います。

これは、9~11年間変形性関節症を患った100,000人の住人ごとに、変形性関節症のない人口(性別および年齢分布)と比較して、年間40人以上の患者が心血管疾患で死亡することを意味します。

この研究では、変形性関節症と心血管疾患の背後にあるメカニズムは調査されておらず、因果関係は完全にはわかっていません。 ただし、マーティン・エングルンド(Martin Englund)には、結果の背後にある理由についての理論があるとしています。

変形性関節症は痛みを引き起こすので、その結果、多くの場合、人々は動き回らず、座りがちになります。それにより、体重増加のリスクがあり、これが心血管疾患を含む二次疾患につながることがわかっています。変形性関節症および心血管疾患に共通する他の背景因子もあります。炎症は、変形性関節症の原因となる可能性があり、心血管疾患のリスクの増加にもつながる可能性があります。とにかく、身体をよく動かし、体重を抑えることが重要になります。
多くの国では、変形性関節症に苦しむ人々のための特別な教育プログラムがあり、病気に関する情報を得ることができます。また、援助や運動のアドバイスも得られます」とマーティン・エングルンド(Martin Englund)氏は結論付けています。

medicalxpress.com/osteoarthritis-linked-higher-dying-cardiovascular.html

考えてみれば、関節症で痛みが有れば動きに制限がでますし、座りぱなしになったり、横になっている事が多くなるとは容易に想像できるのでので、その結果として、肥満となり心血管症のリスクになるのは、なんとなく予想できますね。

痛みがあって歩くことができなくても、工夫をすれば運動する事もできます。動かさなければ身体はその部位を不用と考えますので、動かさない部位から衰えてきます。心血管症のリスクだけでなく、将来寝たきりになってしまうリスクもあります。
できない言い訳を考えるより、今自分で最大限やれる事を考えるようにしたいものです。

 

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