腸内環境を良くする10の方法

私たちに共生している微生物は、いろいろなところで活躍または暗躍(?)しているわけで、彼らの行動(と言ってよいのか分かりませんが)が、私たちのあらゆるものを支配していると言っても過言ではないかもしれません。

以前書いたブログには、腸内細菌が私たちの性格(性質)や行動にも関与している可能性を示唆されていて、自分の思考だと思っていた事も、じつは彼らに操られているのかも知れないという事を書いています。

私たちの性格や行動を決めているのは腹の虫!?(2020/03/17)

私たちの性格や行動を決めているのは腹の虫!?

そのような腸内に棲む微生物は、私たちにとっての善玉菌、悪玉菌、日和見菌の勢力や種類の変化次第では、健康等に大きな差がでてくるのもある意味当たり前なのでしょう。

できれば、腸内に棲む微生物の環境を良くし、私たちにとって都合の良い状態を作ってくれるようにお願いしたいものです。

そんなわけで今回は、腸内環境を良くする10の方法と題して紹介したいと思います。

なお記事の中に出てくる、プロバイオティクスプレバイオティクスというのは、本ブログでも最近良く使う言葉になりました。

しかし名前がそっくりなので分かりにくいかも知れません。

プロバイオティクス : ヒトの健康にとって有用な働きをする微生物のこと。
プレバイオティクス : 有用な働きをする微生物の餌になる成分のこと

つまり、プロバイオティクスは(有益な働きをする)微生物そのもの、それに対してプレバイオティクスは、プロバイオティクスつまり微生物の餌になるもの、という事です。

プレバイオティクスとは?

① 消化管上部で分解・吸収されない
② 大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する
③ 大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
④ 人の健康の増進維持に役立つ

参考)ヤクルト中央研究所

上記の条件を満たす食品成分を指します。

腸の健康を改善する10の方法


10 ways to improve gut health  Medical News Today(2020/05/28)


ここからです。



腸の健康とは、消化管内に生息する微生物のバランスを指します。腸の健康を見守り、これらの微生物の適切なバランスを維持することは、心身の健康、免疫力などに不可欠です。

 これらのバクテリア、酵母、およびウイルスは何兆もの数がありますが、「腸内微生物叢」または「腸内フローラ」とも呼ばれています。

 多くの微生物は人間の健康に有益であり、中には不可欠なものさえあります。その他は、特にそれらが増殖すると有害なものになることもあります。

 この記事では、腸内微生物叢を改善し、全体的な健康を高めるための科学的に支持されている10の方法をリストアップしました。

1. プロバイオティクスを摂取して発酵食品を食べる

キムチは腸の健康を改善するのに役立ちます。

 

 腸内の有益な細菌、またはプロバイオティクスを高めるために、一部の人々はプロバイオティクスのサプリメントを摂取することを選択します。

 これらは、健康食品店、ドラッグストア、オンラインで入手できます。

 プロバイオティクスを摂取することで健康的な腸内微生物叢をサポートし、腸の炎症やその他の腸の問題を防ぐ可能性があることを示唆している研究もあります。

 発酵食品はプロバイオティクスの自然な供給源です。

 以下の食品を定期的に摂取することで、腸の健康を改善することができます。

 *  発酵野菜
 *  ケフィア
 *  キムチ
 *  コンブチャ
 *  味噌
 *  ザワークラウト
 *  テンペ

訳注:
ケフィアは「ヨーグルトきのこ」と呼ばれ、一時ブームになりました。コンブチャは昆布茶を連想させますが、昆布とはまったく関係が無く、「紅茶きのこ」と呼ばれているものです。どちらも、種は乳であったり茶葉であったりしますが、それを発酵させることである微生物(菌)が繁殖し、その菌が有用な働きをするものだそうです。
テンペというのは、インドネシア発祥の大豆発酵食品でテンペ菌を発酵させた食品。日本の納豆に近いもののようですが、私は食べたことがないのですが納豆とはかなり違う味のようです。

2. プレバイオティックの食物繊維を食べる

 プロバイオティクスは、プレバイオティクスと呼ばれる難消化性の炭水化物を餌にします。このプロセスは、腸内で有益な細菌が増殖することを促します。

 2017年の研究では、プレバイオティクスが、pHや温度の変化など特定の環境条件に対するプロバイオティクスの耐性を高める可能性があることが示唆されています。

 腸の健康を高めたい人は、以下のプレバイオティクスを多く含む食品を食事に取り入れると良いでしょう。

 *  アスパラガス
 *  バナナ
 *  チコリ- 
 *  ニンニク
 *  キクイモ(菊芋)
 *  玉ねぎ
 *  全粒穀物

3. 砂糖と甘味料を減らしましょう

 砂糖や人工甘味料をたくさん食べると、腸内細菌のバランスが崩れて腸内環境が悪くなることがあります。

 2015年に動物を対象にした研究の著者らは、糖分と脂肪分が多い標準的な欧米の食事が、腸内微生物叢に悪影響を及ぼすこと示唆した。その結果、脳や行動に影響を与える可能性があるという。

 別の動物研究では、人工甘味料のアスパルテーム代謝性疾患と関連するいくつかの細菌株を増加させることが報告されています。

 代謝性疾患とは、糖尿病や心臓病のリスクを高める一群の疾患を指します。

 人工甘味料の人間による使用は、腸内細菌叢への影響のために血糖値に悪影響を与える可能性があることも研究により示されています。つまり人工甘味料は、実際には砂糖ではないにも関わらず、血糖値を上昇させる可能性があるということです。

4. ストレスを減らす

 ストレスを管理することは、腸の健康を含む健康の多くの面で重要です。
 動物実験では、たとえ心理ストレスが短時間であっても、腸内の微生物を破壊する可能性があることを示唆しています。

 人間では、以下のようなさまざまなストレス要因が腸の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

 *  心理的ストレス
 *  極端な暑さ、寒さ、ノイズなどの環境ストレス
 *  睡眠不足
 *  概日リズムの混乱

 ストレス管理のテクニックには、瞑想、深い呼吸法、段階的な筋弛緩などがあります。

 定期的に運動し、よく眠り、健康的な食事をとることもストレスレベルを下げることにつながります。

5.不要な抗生物質を避ける

 細菌感染症に対抗するために抗生物質を服用する必要が有ることが多いが、過剰な使用は抗生物質耐性につながる公衆衛生上の重大な懸念事項となっています。

 抗生物質はまた、腸内細菌叢と免疫力にもダメージを与え、使用後6か月経っても腸内に有益なバクテリアが不足しているという研究報告があります。

 疾病対策センター(CDC)によると、米国の医師は抗生物質の約30%を不必要に処方しています。

 その結果CDCは、抗生物質や代替案について、使用前に医師と相談することを推奨しています。

訳注)原因が不明とされてきた、パーキンソン病発症の原因が「抗生物質による腸内環境の破壊」である可能性がフィンランドの研究で分かったという記事のリンクを下記に書いておきましたので、こちらもどうぞ。

次々と明らかになってくる腸内細菌叢の破壊がもたらす原因不明の病気 (2019/12/02)

6. 定期的に運動する

 定期的な運動は、心臓の健康と体重減少または体重維持に貢献します。また、腸の健康を向上させることで肥満を抑制できる可能性があることも示唆されています。

 ワークアウトは種の多様性を高めるかもしれません。2014年の研究では、アスリートは非アスリートよりも腸内細菌叢に大きな多様性を持っていたことが分かりました。

 しかし、アスリートたちは対照群とは異なる食事を摂っていたため、微生物叢の違いを説明することができます。

 アメリカ人のための身体活動ガイドラインでは、成人は週2日以上の筋肉強化トレーニングに、週150分以上の中程度の運動を行う事が推奨されています。

7. 十分な睡眠をとる

睡眠不足は腸の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

 十分な質の高い睡眠をとることで、気分や認知力、腸の健康を改善することができます。

 2014年の動物研究では、不規則な睡眠習慣と睡眠障害は、腸内細菌叢に悪影響を及ぼし、炎症性疾患のリスクを高める可能性があることが示されました。

 毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することで、健康的な睡眠習慣を確立しましょう。成人は一晩あたり少なくとも7時間の睡眠をとるべきです。

8. 洗浄剤を使い分ける

 抗生物質が腸内細菌叢を破壊するのと同じように、ある研究では、消毒用洗浄剤*も同様に腸内細菌叢を破壊する可能性があります。2018年の研究では、生後3-4ヶ月の700人以上の乳児の腸内細菌叢を分析しました。 *訳注:商品名で言えば「ブリーチ」や「ハイター」のこと

 研究者は、少なくとも週に一度は消毒洗浄剤を使用する家庭に住んでいた人は、2型糖尿病と肥満に関連するタイプの腸内微生物(ラクノスピラ科)のレベルが2倍高いことを発見しました。

 3歳の時点で、これらの乳児は、このような高レベルの消毒剤に曝されていない子供よりも高いBMIを持っていました。

訳注)ハイター、ブリーチなどの漂白剤を週に1回使うだけでも慢性肺疾患(COPD)のリスクが30%も増加するという報告もあります。

週に1回漂白剤を使うだけで慢性肺疾患のリスクが30%増加する(2020/01/10)

9. 喫煙を避ける

 喫煙は腸の健康だけでなく、心臓や肺の健康にも影響します。また、がんのリスクを大幅に高めます。

 2018年に16年間に渡って研究したレビューでは、喫煙は、潜在的に有害な微生物を増加させ、有益な微生物を減少させることによって腸内細菌叢を変化させることが明らかになりました。

 これらの影響は、炎症性腸疾患(IBD)などの腸や全身状態のリスクを高める可能性があります。

10. 野菜を食べる

ベジタリアン食を食べることで、腸の健康を改善するかもしれません。

 ベジタリアンの腸内微生物叢と、肉を食べる人の腸内微生物叢との間に有意な差があることが研究で明らかになっています。

 ベジタリアン食は、プレバイオティクス食物繊維が多く含まれているため、腸の健康を改善する可能性があります。

 たとえば、ある小規模な研究では、肥満の人々は、肉、乳製品、卵を含むすべての動物性食品を排除する厳格な菜食を1か月間続けました。

 研究の終わりには、参加者は、腸内微生物の種類の変化により、腸内炎症のレベルが低下しました。彼らはまた、体重が減少していました。

まとめ

 腸を健康に保つことは、全体的な健康と免疫機能の向上に貢献します。

 適切なライフスタイルや食生活を変えることで、腸内の微生物の多様性や数をより良い方向へ変化させることができます。

 プロバイオティクスの摂取、食物繊維が豊富なベジタリアン食、抗生物質や消毒剤の不必要な使用を避けるなどのポジティブな変化があります。

 その他のシンプルなライフスタイルの変化としては、十分な睡眠をとることと定期的に運動することが含まれます。

 ただし、食事を大幅に変更する前には医師に相談する必要があります。これは、過敏性腸症候群や他の病状、一部の人にとっては、プロバイオティクスや繊維豊富な食事やベジタリアン食が有用ではない可能性があるためです。



ここまでです。

 

腸内環境と免疫力は大きく関係しています。

こちらも以前書いたブログですが、免疫力を高めるのは腸内環境を良くする事が非常に大事であり、その他のヒントも書かれています。

コロナに関係なく免疫力を高める16のヒント(2020/03/27)

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また、私たちの腸内に棲む微生物に変化を与える、普段口にするような食品が特定できた、という論文は以下の記事で紹介しています。

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本記事の8項にもありますが、消毒・殺菌効果の高い生活用品も避けた方が良いですね。

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