朝食を抜き、脂肪の多い食品を摂り夜食を食べる生活は、肥満になるだけでなく認知機能を衰えさせストレスにも弱くなる・・・つまり良い事は何も無い

コロナに感染する不安や恐怖、家庭内や仕事に関してイライラを感じたりストレスが溜まりますよね。

外出自粛で生活リズムも乱れてしまい、すっかり夜型にシフトしてしまった人もいるのではありませんか?

その結果、朝食を抜き、その代わりに深夜に食事をする。

スーパーでも、スナック菓子や家飲み用のおつまみが売れていると聞きます。

スナック菓子もお酒のおつまみも、どちらも脂肪分がたくさん含まれているものが多いでしょう。

その結果、気がつけば、体重が増えてしまった・・・

そんな方も多いのではないでしょうか。

というわけで、今回は食事をテーマにした記事を二つご紹介します。

一つ目は、食べるタイミングで脂肪の燃焼量が違う、というもので寝る前の食事はやっぱり太りやすくなるという研究。

二つ目は、脂肪の多い食事は認知機能に影響し精神的な疲労を増やす、という研究。

どちらも、今のタイミングで読みたいテーマではないでしょうか。

寝る前に食べると脂肪燃焼が遅れる 
Eating before bed delays fat burning Medical News Today (2020/4/23)

ここからです。



朝食を食べること、そして深夜の間食を避けることは脂肪を燃やし体重を落とすのに最適であることが、新しい研究で明らかになった。

米国の成人のほぼ半数が体重を減らそうとしており、多くの人が減量する簡単な方法として、毎日、間欠的に断食を行なっている。

このダイエット法は、1日のうち一定時間の断食と、残りの時間で摂取したすべてのカロリーを消費させる。たとえば、1日のうち16時間は何も食べず、残りの8時間だけ食べることを、16:8断食として知られている。

間欠断食は、米国の成人1,009人を対象とした2018年の調査で、これが最もポピュラーなダイエット法であることが判明するなど、ますます一般的になってきている。

しかし、断食する時間帯は関係無いのだろうか?

テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学の研究者によると、体重増加に影響を与える可能性があるのは、人が消費するカロリー量だけでなく、いつ消費するかも重要だ

調査結果は、オープンアクセスジャーナルPLOS Biologyに掲載された。

体内時計に従う

この調査結果は、科学者が概日リズムと呼ぶ体内時計に関連している。体内時計は、睡眠や食事から体温やホルモンレベルまで、何百ものプロセスを調節している。

研究では、シフト勤務者が経験する概日リズムの乱れは、肥満を含む健康への悪影響と関連付けられる。

これらの健康への影響は、食事時間の乱れが原因である可能性があり、食物摂取のタイミングが身体へ影響していることを示唆する。

「動物と人間の両方について多くの研究が行われており、食べる量だけでなく、食べるタイミングも重要であることを発見しました。」

と研究の主著者であるカール・ジョンソン教授(Prof. Carl Johnson)および生物科学のコーネリアス・ヴァンダービルト教授(Cornelius Vanderbilt)は説明する。

この仮説を検証するために、研究者たちは、1日の異なる時間帯に食事をしたときの6人の代謝をモニターした。

代謝のモニタリング

参加者はすべて50歳以上で、代謝障害のリスクがあるグループに属していた。彼らはそれぞれ、一晩に同じ絶食期間を持つ56時間のテスト期間中、1日3食の食事が与えられた。

あるセッションでは、参加者は朝食、昼食、夕食を食べさせられ、別のセッションでは、参加者は朝食を抜かされ、その代わりに夜遅くに夜食としておやつを与えられた。

朝食(午前8時)と夜遅くのおやつ(午後10時)はいずれも700カロリーあり、栄養的に同等であった。また参加者が行った身体活動の量も両方のセッションで同じだった。

研究者らは、ヴァンダービルト大学の人間代謝室(human metabolic chamber)を使用して参加者の代謝をモニターし、代謝率と炭水化物と脂肪の分解を継続的に測定した。

朝食抜きvs夕食抜き

カロリー摂取量と活動量が一定であるにもかかわらず、食事を摂取するタイミングが、参加者の脂肪燃焼量に大きな影響があることを発見した。

参加者が夜遅くにおやつを食べたとき、朝食で同じカロリーを摂取したときよりも少ない脂肪を分解した。

言い換えれば、午後10時のおやつは、体が脂肪を分解する能力を遅らせ、代わりに炭水化物を分解していた。平均して、朝食を食べた参加者は、夜のおやつを食べた参加者に比べて、24時間で15グラム多く脂質を燃焼した。

時間が経つにつれて、これはかなりの脂肪の蓄積につながる。

「これは、昼と夜の間の食事のタイミングが、摂取した食物がどのように使用され、保存されるのかに影響し、就寝前に摂取された食物は、睡眠中の脂肪の燃焼を遅らせることを確認しています。」

体内の概日リズムが脂肪燃焼を調節しているという発見は、食習慣に重要な意味を持ち、夕食から朝食までの断食は、朝食を抜くよりも減量に優れていることを示している。



ここまでです。

実験のような生活を続けるとしたら一日に15gの脂肪増加になるわけですから、計算すると以下のようになりますね。

脂肪150g=10日
脂肪100g=6.6日
脂肪1kg=66.7日

約1年で5kg増える計算になります。これはヤバいです。

高脂肪の食事には精神的な疲労感が伴う
High-fat diet consequences include mental fatigue Neuro Science News(2020/4/27)

 

ここからです。



高脂肪食を与えられたラットは、より健康的な食餌を与えられたラットよりも、ノベルオブジェクト探索試験(新規物体検索)の後、精神的に疲弊していた。この結果は、高脂肪食が肥満の一因となるだけでなく、精神的疲労や認知能力にも影響を与えることを示唆している。

訳注:ノベルオブジェクト探索試験は、認識記憶を検証するテストで、 記憶増強化合物の有効性、他の化合物の記憶への(ネガティブ)効果、遺伝学または年齢の記憶への影響などを試験するために使用する。

肥満は身体的ストレスを与えることが示されてきたが、新たな研究では、過剰な体重は精神的疲労の原因にもなる可能性があることが示された。FASEB Journalの4月号に掲載された。

肥満は高血糖(ブドウ糖)のリスクを高め、治療しなければ2型糖尿病やその他の代謝障害に発展する可能性がある。運動能力や体力の低下も、太りすぎの人にとっては問題だ。

しかし、認知機能の低下は、身体的な制限ほど肥満と関連付けられていなかった。

南イリノイ大学エドワーズヴィルの研究者は、2つのグループのラットを研究することにより、肥満の発症と身体的能力および精神的能力の両方に及ぼす影響について詳しく知ることを目指していた。

1つのグループには高脂肪の食餌を与え、もう1つのグループには標準食を6週間与え、それぞれのグループのラットの体重、血糖値、ケトン値を週2回測定した。

ケトン体は、ブドウ糖をエネルギーに変換するのに十分なインスリンがない場合に肝臓によって作られる化学物質である。

5週目に、研究者らは、オープンフィールドテストを実施した。オープンフィールドテストとは、動物が所定の時間枠内に迷路を移動するときの速度と距離を測定し、肉体的な疲労を測定するものだ。

試験の最終週に、ラットが新しいものや見慣れたものを調べるのに費やす時間を分析し、精神的な疲労を測定するノベルオブジェクト探索試験が行われた。

どちらのラット群も試験中に体重が増加したが、当然のことながら、高脂肪食群は対照群よりも体重が増加した。血糖値は高脂肪食群のほうがより変動が大きかったが、平均グルコースレベル及びケトン値には両群の間で有意な差はなかった。

高脂肪食群は、対照群と比較してノベルオブジェクト探索試験での成績が悪かった。

「我々は、この発見にそれほど驚いたわけではありませんでしたが、これは私たちの知る限りでは、高脂肪食で誘発された肥満ラットの精神的疲労を報告した最初の研究だと思う」と主任研究者であるチャヤ・ゴパラン(Chaya Gopalan)博士は説明した。

「この研究からのメッセージは、高脂肪食を避けることです。高脂肪は人を肥満にするだけでなく、認知能力にも影響を及ぼすのですから」

と著者らは書いている。



ここまでです。

肥満は世界的な健康問題として様々な研究や取り組みを行っていますが、どの国においても克服している国はありません。

元々人類には、食べられるときに栄養を溜め込み、食べもの少ない時期を乗り越えてきた遺伝的な記憶があるのですから、今のような飽食の時代にはその記憶が邪魔をするんです。

特に遺伝的に過度に肥満になりやすい人というのも存在します。

 

遺伝的に肥満になりやすい人でも肥満を防げるエクササイズがある?

肥満は炎症を引き起こす事が分かっており、炎症もまた様々な病気の原因と考えられています。

 

高脂肪食は私たちの体のサイズを変えるだけでなく脳にも悪影響を与える

その炎症を引き起こす原因はどうも脂肪にあり、高脂肪食によってミトコンドリアが小さくなったことを発見した、という内容のものです。

以下に上の記事の抜粋を載せておきます。

「ミトコンドリアは、私たちの細胞にある一つの器官で、細胞全体の10~20%を占めています。細胞によって100個から3000個もの数が含まれる器官でさまざまな役割を担っています。そのなかでももっとも重要なはたらきが、体を動かしたり基礎代謝を促したりするための「エネルギー」を作り出すことなのです。」

このミトコンドリアというのが、私たちが生きていくために必要なエネルギーを作り出す非常に大事な細胞であり、このミトコンドリアの働きが弱くなれば病気になるという訳ですから、このブログの大きなテーマにもわけです。

「疲れるから、体力がないから、体を休めてばかりいると、ミトコンドリアが極端に減り、エネルギーのつくれない「老いた体」になってしまいます。そうすると、「老いと不健康の悪循環」に陥ります。」


このような最新の知見を積極的に取り入れて、当院をご利用される患者さんには生活指導をさせて頂いております。

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