『痛いところを悪者にしないで!!』

「痛いところは悪くない!?」

☆そんなバカな!

「痛いところは悪いに決まってるだろ!」(怒)
と、お叱りの方がいられるかも知れませんね。
しかもこれが一般的には普通の考え方と思いますが、実はそうではないことのほうが多いんです。(もちろん怪我などで外傷のあるときは別ですよ。)

腰が痛い
首が痛い
膝が痛い

これらはすべて結果であり、からだのある部分に現れている現象にしか過ぎません。
原因はその「痛い」ところには無い場合がほとんどなのです。
ですから、その原因が何かを考えずにその痛めたところを処置しただけでは、一時的には良くなるかも知れませんが、再発するのは当然ですね。

◎記憶が痛みを再現する

人間は学習能力が高く、乳幼児のうちに、ある程度の体の使い方を覚えてしまいます。
子どもは歩き始めの時期が一番体の学習能力が高いそうです。(歩くという動作はみなさんが考えているよりも非常に複雑で、しかも正確な動作が必要になるとても難しい動作なのです。)

この歩き始めのころは、当然のことながらうまく体の機能を活かすことができませんので、足がふらついたりして、しょっちゅう、尻もちをついたり、転んでしまったりします。
この時、体のあちこちを地面などにぶつけ、あざが出来たり、キズを創ってしまうこともありますが当然この時に「痛み」を感じる事になります。
これを繰り返すうちに、キズなどが出来れば「痛い」という記憶がすり込まれるようになります。

こんな、体験はないでしょうか?

いつ切ったのか分からないけれど、指先が切れているのが見つかりました。
いままで痛みなど感じていなかったのにそのキズを見たとたん・・・その指先が痛み始めた。
といったような事がありましたよね。

これは、

キズ=「痛い」

という連鎖が、脳の回路に出来上がっているので、その記憶(意識)どおりに痛みを感じるようになるのです。
つまり、(キズがあるので)痛いのが当たり前という意識がはたらくために起こります。

また非常に強い「痛み」を過去に受けた場合に、体の感覚がそれを覚えていて、その痛みを被った状態に近づくと無意識にその周辺の筋肉を緊張させます。まだ脳には「痛み」の信号が届いていないのにも関わらず、本人の無意識のうちに記憶からこの「痛み」を再現することもあるのです。(幻痛とも呼ばれます。)

たとえば膝を曲げると痛い、腰を曲げると痛い、というようなことで悩んでいる方は、じつはこの心理的メカニズムで発生する「痛み」で悩んでいるケースも多いと考えています。(このメンタルブロックを外すには、ときにはかなり勇気が必要。)

「痛み」は身体からの大事なサイン

身体は、偏った使い方、間違った使い方で酷使されると、その「痛み」で動きを制限しようとします。
つまり身体は、その使い方では自分の身体が壊れてしまうので、その使い方をやめて正しい使い方をして欲しい、という欲求を出しているに過ぎません。

「痛み」が出るのは、原因の部分からとは限りません。いや、むしろ別の場所に起きることの方が圧倒的に多いのです。
たとえば足指の小さなキズが原因で、正常な歩き方がができずにからだが歪み、首や腰が痛くなったりすることもあります。

◎身体は超精密機械であり、すべてはつながっている

身体は非常に精密です。
ちょっとした変化が、他の部分に大きな変化をもたらします。

想像してみてださい。
たとえば、歯にちょっとしたモノが挟まっただけでも、口の感覚器官はその異常に気付き、的確に異物の場所を特定することができます。
それぐらい身体というのは繊細で精密にできているのです。

良く足裏にできる「魚の目」、これも歩き方(新しい靴に履き替えた場合などでも起こります)が変わった事によって、足裏の皮ふの一部分に負担が掛かるようになります。しかもその場所を中心に円を描くような動作が加わっています。なのでその円の中心がサカナの目のように丸くなるわけです。

その魚の目を取った所で、また場所に同じモノが出来てしまうことになります。しかも歩くと痛いものですから、知らず知らずのうちに痛みを感じないような悪い歩き方のクセが身についてしまいます。
そうこうするうちに、悪い歩き方によって身体も歪んできてしまうので、今度は股関節、腰などに痛みが発生するのです。(これを代償作用と言います。)

つま先から膝、腰、胸、首、頭のてっぺんまで。
すべてはつながっているのです。

◎「痛み」を悪者扱いしすぎてませんか?

「痛み」というのは厄介で、とても辛いものです。

ですから、それをすぐに取り去ってしまいたいと我々人間は考えてしまいます。
手術などで痛んでいるところを直接取り除いたり、薬で痛みを押さえつけるやり方もあります。

「臭いものに蓋をする」

「目障りだからどこかに隠す」

でも、そのやり方でいいんでしょうか?

確かに、患部の痛みが無くなれば、その時の気分はよいですね。
しかし、いずれにしても「原因」をとりのぞいた訳ではありませんので、同じ原因で痛みが再発、もしくは別の場所に痛みが出ることもしばしば発生します。

そう、「対症療法」では、「問題の解決にはならない」のです。

◎結果があるからにはかならず原因がある

結果があるからには必ず原因があるのです。

しかし、この痛みの元の元、原因を探し出すのは容易でないことは、あなたが一番良く分かっているかも知れません。様々な要因があり、いくつもの要因が複雑に絡んで、”これ”というのを特定するのは確かに容易ではないのです。

ただ、先人がこの問題を解くために多大な労力と時間をかけてきました。その結果、ある程度症状に対する治療のパターン化をすることが出来ました。そのパターン(症状、部位など)にあった治療を行うことで、治療の精度もあがってきました。

実はどの部位に症状がでたとしても、問題になる箇所はあるていど決まっているのです。
ですから、その部位(当院では、骨盤・股関節・脊椎など)を調整することで、根本原因対して直接・間接的に治療が行い、その結果ご自身の治癒力が自分の身体を治していくのです。

※初掲「いやさか通信」2014年7月号~8月号より

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