炭水化物を摂った後の運動はせっかくの運動効果を相殺する

適度な運動、特に有酸素運動は心肺機能を高め、みなさんの気になる脂肪を代謝する効果があり、体重を落とすダイエットには欠かせない運動の一つです。

しかし、時間を割いて一生懸命運動したとしても、その効果があまりないと知ったらガッカリ・・・です。

せっかくの運動効果を最大かつ効率よく得るためには、運動をするタイミングも大事だということが研究で明らかになってきました。

運動のタイミングには、

朝の運動
昼休みなどでの運動
仕事が終わった後の運動
夜の運動

など、時間におけるタイミングがありますね。

それと、食事の前後や食間といった食事の時間と運動のタイミングも関係しています。

食事をすると、血液中の糖分が上がる、すなわち血糖値が上がります。

そして今度は、その血糖値を下げようとしてインスリンというホルモンが分泌されます。

このインスリンの分泌が追い付かなくなると、食後しばらく経っても血糖値が下がらず高血糖が続きます。このような血液中の糖濃度が慢性的に高い状態を「糖尿病」と言うのはご存じですね。

血糖値を急激に上げる食品ほどGI値が高いといい、血糖値を緩やかにあげる食品はGI値が低いといいます。

高GI値に分類される食品の代表といえば、私たちの主食である

ご飯(白米)
パン

ですよね。

炭水化物などの糖質を摂った食事の後の運動、特に有酸素運動を行っても、せっかくの運動効果を落としてしまう、否、ほとんど効果が出ないかも知れないという研究報告をご紹介したいと思います

血糖値が高いと運動の効果を打ち消してしまう

High Blood Sugar Levels Cancel Out the Benefits of Exercise 
 Gilmore Health News(2020/07/31)



ここからです。



運動は健康に不可欠だが、血糖値が高いと、運動の効果が低下したり、相殺されてしまう可能性がある。

 身体活動は士気を高めるだけでなく、健康を高める。多くの研究で、有酸素運動が全身の健康に重要であることが示されている。

 しかし、慢性的な高血糖症、すなわち血糖値が異常に高い場合には、これらの利点は大幅に減少する可能性があるため、健康的な食事によってサポートされる必要がある。

 これは、ボストンにあるジョスリン糖尿病センターで行われた研究の結果で、ネーチャー・メタボリズム(Nature Metabolism)誌に掲載された。

  ラットとヒトで有酸素運動による効果の減少を観察した著者らによると、血糖値が高いと体力に悪影響を及ぼすという。また、高血糖症の人は平均以下の体力しかないことも判明した。

体力アップの難しさ

 これらの結論に到達するために、科学者たちは遺伝子操作によってインスリンの生成が少ないマウスを使い、血糖値の高くなったマウスを2つのモデルで行った。

 最初のグループのマウスには、糖分と飽和脂肪酸を豊富に含む西洋式の食事を与えられた結果、血糖値の上昇に加えて、体重増加をもたらした

 もう一方のグループは、糖分や脂肪分の少ない食事が与えられ、正常な体重は維持していたが、最初のグループと同様に血糖値の上昇がみられた

 両方のグループともその後、ケージの車輪の上を走るトレーニングを行い、有酸素状態を改善させた。

 研究期間中、マウスは合計で約500キロ走ったが、非高血糖(通常)マウスと比較して(高血糖値マウスは)有酸素運動能力を向上させることはできなかった。

血管新生が少ない筋肉

 これらのマウスの骨格筋を詳しく調べたところ、研究者らは筋組織の血管が少ないことを発見した。これは、有酸素運動のレベルが上昇しなかった理由を説明している。したがって、研究の著者らは、血糖値が高いと筋肉の再形成(リモデリング)が妨げられる可能性があると結論付けた。

 この結論は、若者を対象とした臨床試験で確認された。ブドウ糖摂取後の血糖値が高かったボランティアは、有酸素運動の能力も低かった。

「良いニュースは、私たちの高血糖マウスモデルでは、有酸素運動による全身の健康は改善しなかったが、体脂肪の減少や糖代謝の改善など、他の重要な健康効果が得られたことです。」

 と研究の主著者であるサラ・レッサード(Sarah Lessard)氏は述べた。

 したがって、定期的な有酸素運動は、高血糖の有無にかかわらず、人々の健康を維持するための重要な推奨事項であることに変わりはない。

 これらの結果は、慢性高血糖症の人でも、特に低血糖の食事を摂ったり、血糖値を正常範囲に保つための抗糖尿病薬を服用したりすることで、有酸素運動の能力を高めることが可能であることを示している。

「私たちはしばしば、食事と運動は健康を改善するための別々の方法だと考えています。」とサラは言う。

 しかし、私たちの研究では、この2つ生活習慣因子の間には、これまで知られていた以上の相互作用があることが分かっており、有酸素運動の健康効果を最大化するためには、この二つの因子を一緒に見ていくべきであることを示している。


 

ここまでです。

この研究を見ると、糖尿病などで血糖値をコントロールされている人ほど、運動をすることは非常に大事ですが、それに加えて運動および食事をするタイミングも重要なのだと思います。

血糖値を急激に上げない食事の順番というのがあります。

その順番とは、

  1. 食物繊維の豊富な食品
  2. たんぱく質を多く含む食品
  3. 炭水化物を多く含む食品

サラダなどの野菜やキノコ類、または海藻類などの副菜を最初に食べて、そのあとに肉や魚などの主菜、最後に主食であるご飯を食べるといった順番が血糖値を緩やかに上げるそうです。

個人的には、空腹時の有酸素運動の方が脂肪を燃焼しやすいと考えていますが、否定的な意見があるのも事実です。

個人による体質の違いや生活習慣なども影響しますので無理のない範囲で行ってくださいね。

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