タバコとアルコールは病気のリスクを上げるだけでなく骨折しやすくなる

喫煙と飲酒は健康に影響するということはみなさんもご存じの通りだと思います。

私の父親は、以前はかなりのヘビースモーカーでして、飲酒量も多かったのを記憶しています。自分自身、子ども時代はタバコも酒もあまり抵抗が無かったように思います。

ただ、母親はどちらも毛嫌いしていましたので、私は、酒はともかくタバコは好きになることはありませんでした。いやむしろ、タバコの煙はすっかり苦手になりました。

飲酒量は少ない(缶ビール500ml1本程度)と本人は思っていますが、ほぼ毎日飲んでいます。

そんな訳で(ってどんな訳だ?)、日本人の喫煙率と飲酒率はどんなものなのかをザッと調べてみました。

成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査) より

  たばこ産業の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は27.8%でした。 これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、約50年間で56ポイント減少したことになります。 年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は21.3%ですが、30歳代から50歳代はまだ35%前後を推移しており、一番高い年代は40歳代で35.5%でした。

 成人男性の喫煙率は、減少し続けていますが、諸外国と比べると、未だ高い状況にあり、約1400万人が喫煙していると推定されます。

 これに対し、成人女性の平均喫煙率は8.7%であり、ピーク時(昭和41年)より漸減しているものの、ほぼ横ばいといった状況です。 喫煙率が一番高い年代は40歳代の13.6%、最低は60歳以上の5.4%です。

 

日本の飲酒率 Wikipediaより

 厚生労働省の定める飲酒率の定義は「1年以内に1回以上飲酒した人の割合」である。また、飲酒習慣のある者の割合(飲酒習慣者率)の定義は「週に3回以上飲酒し、飲酒日1日あたり清酒換算で1合以上を飲酒する人の割合」。飲酒率と飲酒習慣者率は混同しやすいので注意が必要である。

 厚生労働省の2008年の調査によると、飲酒率は男性が83.1%、女性60.9%で、20代前半に限ると男性が83.5%、女性が90.4%であり、女性が男性よりも上回っており、女性の飲酒率は増加していると報告されている。また、2008年の飲酒習慣者率は男性35.9%、女性6.4%、そのうち20代の飲酒習慣者率は男性19.0%、女性4.3%となっている。

 

若い人のアルコール離れが進んでいるような印象を持っていましたが、この結果を見るとそうでもないことを知りましたし、飲酒率も思い違いをしておりました。飲酒率は、1年に1回でも飲めば飲酒したとカウントされるんですね。

飲んべえにとっては、「酒は百薬の長」は飲む言い訳だったりしますが、酒は量に関係なく毒だという記事を以前に書いております。

少量の飲酒でもがんのリスクが高まります(2019/12/23)

少量の飲酒でもがんのリスクが高まります

上の研究は日本人を対象としたもので、元々日本人にはアルコールに対する耐性が低いというのも関係していると思われます。

そもそも8割の日本人はアルコールに弱いそうですから、飲み過ぎに注意しましょう。

それでは、本題に入りましょう。

今回ご紹介するのは、喫煙と飲酒が骨折リスクになる、というアメリカの研究報告です。

研究報告:喫煙と飲酒は股関節骨折の主な危険因子となる

Smoking and Drinking are Major Risk Factors for Hip fractures, Study Reports 
 Gilmore Health News(2020/08/01)



ここからです。


フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)は、心血管疾患、骨粗しょう症、などの疾患の危険因子を分析するために1948年に米国(マサチューセッツ州)で設立された。

フラミンガム心臓研究が行った最も長い研究の一つで、研究者らは股関節骨折率の減少と、多量の飲酒や喫煙率との間に密接な関係があるのを発見した。

骨折の危険因子を調べる長期的な研究

方法論:
 本研究は1970年から2010年まで実施された。研究期間中、インフォームドコンセントを得た後、男性4,918人、女性5,634人が研究参加者として採用された。

結果:
 本研究の結果によると、骨折の発生率は、研究の開始以来、毎年4.4%減少していた。これとは別に、大量飲酒も4.5%減少した。喫煙率も2006年から2010年の間に38%(1970年代)から17%にまで低下していることが分かった。結果は、股関節骨折率と喫煙との間には密接な相関関係があることが示された。(訳注:大量飲酒は1日3回以上の飲酒と定義されている)

 研究は、骨の健康に寄与する生活習慣の重要性が明らかになった。喫煙と大量の飲酒は骨の健康に影響を与える重要な役割を果たしている。この研究では、骨の健康に関する研究には、あらゆる生活習慣因子を考慮に入れるべきであることが強調されている。

喫煙における心血管疾患、呼吸器疾患、骨疾患の危険因子

 喫煙は多くの疾患、特に循環器系や呼吸器系の疾患の原因物質になることが判明している。それ以外にも、喫煙は骨密度に悪影響を及ぼすことも判明した。ビタミンDのレベルが低下するために、カルシウムの吸収率も低下するためである。

骨粗しょう症:
 骨粗しょう症は、骨が弱くなる病気だ。骨は非常にもろく、壊れやすくなり、簡単に折れてしまうようになる。骨粗しょう症に関連する徴候は、主に背骨、股関節、手首の領域で発生する。

 骨粗しょう症とは別に、研究者は骨の健康に影響を与える他の要因に焦点を合わせる必要がある。前述したように、喫煙と大量の飲酒は股関節骨折に向けてまっしぐらに進ませる最大の要因だ。

 今回の対象規模はかなり大きかったが、いくつかの制限要因も観察された。この研究は白人のみを対象に行われたため、他の集団でばらつきがあるかもしれない。もう一つの制限要因は、選択した集団では、肥満の有病率が小さかったことである。さらにもう一つの制限要因がある。それは骨密度測定が利用できないことであった。(訳注:骨密度測定器は1990年代以前にはなかった)

 フラミンガム心臓研究は1948年に設立され、1949年には、国立心臓・肺・血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)がプロジェクトを引き継いでいる。この研究の参加者のほとんどはすでに他界していている。それでもこの研究所では、肺・心臓・血液疾患に関与する要因を探る研究が続けられている。

参考)
Fewer hip fractures may be associated with reductions in smoking, heavy drinking 
National Health Institute News Release (2020/7/27)


ここまでです。

 フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)は、マサチューセッツ州フラミンガム市の住民を対象とした長期的に進行中の心血管コホート研究である。この研究は1948年にフラミンガム市の成人被験者5,209人から開始され、現在は第4世代の参加者となっている。 この研究の前には、高血圧性または動脈硬化性心血管系疾患の疫学についてはほとんど何も知られていなかった。 食事、運動、アスピリンなどの一般的な薬物の効果など、心臓病に関する現在一般的に知られている知識の多くは、この縦断的研究に基づくものである。国立心臓・肺・血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)のプロジェクトであり、(1971年以降)ボストン大学と共同で実施されている。

Framingham Heart Study(Wikipedia 英語版)より和訳

この研究では、白人が主な対象となっているので、私たち日本人のようなアジア系に同様な結果が当てはまるのかは良く分かっていません。

しかし、喫煙もアルコールどちらも骨の生育に関係するビタミンDなどを減少させるようなので、同じような結果がでる可能性が高いかも知れないです。

骨粗しょう症については、以下の記事を読まれると良いと思います。

骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後(2020/06/19)

骨粗しょう症の最新情報:原因・診断・合併症・治療とその予後


骨粗しょう症を防ぐためにカルシウムとビタミンDをサプリメントで摂るリスクについては、以下の記事を参考にしてみてください。

カルシウムとビタミンDを同時に摂取すると脳卒中のリスクが17%増加する可能性が有る。また、それどころかほとんどのサプリメントは役に立たない以上に有害である(2019/08/16)

カルシウムとビタミンDを同時に摂取すると脳卒中のリスクが17%増加する可能性が有る。また、それどころかほとんどのサプリメントは役に立たない以上に有害である

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