めまいで悩んでいる人にはビタミンDとカルシウムが効く
前々回、起立時に低血圧によっておこる立ちくらみやめまいを起こしやすい人は認知症になりやすい、という事を紹介させて頂きました。
・立ちくらみやめまいを起こしやすい人は認知症に注意(2020/08/25)
立ちくらみやめまいを起こしやすい人は認知症に注意
他にも、めまいには耳(内耳)が原因でも起こります。
私の整体院ではめったにいらっしゃらないのですが、体位を変えたときにめまいを訴える方が、いらっしゃったことがあります。
その時には、頭を先に動かした後ゆっくりと体を頭と同じ方向に動かして頂いたことで対応したと記憶していますが、初めての経験でもありドキドキしたのを覚えています。
良性発作性頭位めまい症は内耳にある耳石が剥離して起こるそうで、ハッキリとした原因は分からないものの、頭部打撲や運動不足、長時間の側臥位(横向きで寝る)や骨粗しょう症によっても起こると考えられているようです。
運動不足や骨粗しょう症が原因であるのなら、ビタミンD(やカルシウム)が関係するのも納得できると思いました。
それでは、韓国での研究結果による記事をご紹介します。
1日2回のビタミンDでめまいを防ぐことができる
・Vitamin D Twice a Day May Keep Vertigo Away
Neuro Science News(2020/08/08)
ここからです。
概要: ビタミンDを1日2回補給することで、良性発作性頭位めまい症に苦しむ人々のめまいの症状が軽減される。
ビタミンDとカルシウムを1日に2回摂取することで、めまいを起こす可能性が低くなると、2020年8月5日発行の「Neurology(神経学)」オンライン版に掲載された。
「私たちの研究では、良性発作性頭位めまい症のある人にとって、ビタミンDとカルシウムのサプリメントを摂取することは、めまいの再発を防ぐための簡単でリスクの少ない方法であることを示唆しています。あなたが特にビタミンDの値が低ければ有効でしょう。」とソウル国立大学医学部のキム・ジス(Kim Ji-Soo) 医学博士は述べている。
良性発作性頭位めまいは、頭の位置が変わったときに突然回転するような感覚が生じるもので、めまいの最も一般的なタイプの一つだ。
良性発作性頭位めまい症はよくみられる病気で、頭の位置が変化して内耳にある後半規管が刺激されると、それに反応して、短時間の回転性めまい(動いたり回転したりしているような感覚)が生じます。
治療法としては、めまいを引き起こす原因である耳の中にある粒(耳石)を移動させる一連の頭の動きを医師が行うが、(患者は)この状態が(日常的に)頻繁に発生する傾向にある。このタイプのめまいを持つ人の約86%が、日常生活の支障をきたしたり、仕事を休んだりしている原因となっている。
研究では、良性発作性頭位めまいの韓国人957人を対象に、頭の動きで治療に成功した人を調査した。参加者は、介入群と観察群の2グループに分けられた。
介入群の445人は、研究開始時にビタミンD値を測定した。ビタミンD値が、1ミリリットルあたり20ng/mL未満の348人には、ビタミンDを400IU(10μg)とカルシウム500mgを1日2回摂取するサプリメントが投与されたが、ビタミンD値が20ng/mL以上の人には投与されなかった。
観察グループの512人は、ビタミンD値を監視しておらず、サプリメントも摂取していなかった。
サプリメントを摂取した介入群では、観察群に比べて平均1年後のめまいの再発率が低かった。サプリメントを投与された人の平均再発率は、観察群で1人年あたり1.10回あったのに対し、介入群では1人年あたり0.83回、年間再発率は24%減少した。
研究開始時にビタミンDがより不足していた人には、より大きな効果があるように思われた。
ビタミンDレベルが10ng/mL未満で開始した群では、年間再発率が45%減少したのに対し、ビタミンDレベルが10~20ng/mLで開始した群では14%の減少にとどまった。
介入群では、観察群の47%に対し、38%の人が別のケースのめまいを経験していた。
「これまでのところ、良性発作性頭位めまいの治療には、医師の元で頭を動かしてもらうのが主な方法であったため、私たちの結果は大変興味深いです。私たちの研究は、ビタミンDとカルシウム錠剤のような安価で低リスクの治療法が、この一般的で頻繁に再発する障害を防ぐのに有効である可能性を示唆しています。」とキム博士は述べている。
この研究の制限は、多数の参加者がサプリメントを飲む事をやめてしまい、研究全体を完結できなかったことである。
ここまでです。
良性発作性頭位めまいが日本で知られるようになったのは、元女子サッカー日本代表の澤穂希選手だったそうですね。
以下の記事で知りました。
・めまいの半数、「耳石」の仕業 運動で症状改善 日経ヘルスUP(2016/5/4)
この記事の中では触れられていませんが、おそらく澤選手の場合は以前に頭部に打撲を受けたその後遺症だったのかも知れません。
本記事にある、ビタミンDやカルシウムは安価に入手出来るサプリメントが日本でもたくさんありますね。
しかし、私個人的には、特にビタミンDはサプリメントで補うよりももっと太陽光を浴びることの方が大事だと考えていますので、サプリメントを使うのはどうか、と思っています。
ビタミンDやサプリメントについては以前に以下のような記事を書いています。
・サプリメントが効くか効かないかは個人差が大きくその効果を証明するのが困難なワケ(2020/08/04)
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・太陽光を浴びてビタミンDを増やすことは呼吸器感染症を予防する効果がある(2020/04/20)
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・カルシウムとビタミンDを同時に摂取すると脳卒中のリスクが17%増加する可能性が有る。また、それどころかほとんどのサプリメントは役に立たない以上に有害である(2019/08/16)
カルシウムとビタミンDを同時に摂取すると脳卒中のリスクが17%増加する可能性が有る。また、それどころかほとんどのサプリメントは役に立たない以上に有害である
サプリメントは中身の成分やその成分由来を良く見て購入された方が良いと思います。