線維筋痛症などの慢性疼痛疾患の根本原因は腸内環境の悪化

「脳内にある神経伝達物質に対する反応によって、私たちの精神と身体の状態をつくり出している。」

のですから、その神経伝達物質が腸内細菌によってつくられているわけでもあり、

結局のところ腸内環境の善し悪しが「原因不明の病気と痛み」をつくり出している。

といってもいいのかも知れません。

そうであるならば今回ご紹介するこの記事も、驚くにはあたらないのではないでしょうか。

原因不明の病気や痛みも神経伝達物質が起こしてしているのであれば、線維筋痛症のような慢性疼痛を伴うような疾患も、腸内細菌叢の変化によって起こる、というのもうなずけますし、

「特に自己免疫系の関係している疾患には、この腸内細菌が棲む腸内環境に大きく関係している」のだと思っています。

発症のきっかけそのものは、ストレスや身体と関係する何らかの原因があって起きるものかもしれないですが、その根本的な要因は腸内環境なんだと思います。

線維筋痛症というのは、

線維筋痛症

線維筋痛症(せんいきんつうしょう、英: Fibromyalgia, 略:FM)とは、全身に激しい痛みが生じる病気である。英語では、症候群であることを表現して、Fibromyalgia Syndrome:略FMSとも記される。原因不明の全身の疼痛を主症状とする。疼痛は腱付着部炎や筋肉、関節などにおよび、体幹や四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる。

似たような症状を呈するものに、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、化学物質過敏症、シックハウス症候群、顎関節症、間質性膀胱炎、湾岸戦争症候群、複雑性局所疼痛症候群、エーラス・ダンロス症候群などがあげられるが、異なる疾病概念である。

症状

骨格筋の激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状であるが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」などと形容される。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

と、あるように痛みの激しさが特徴の病気です。

中年女性に多いとされますが、男性や小児期または高齢者にもみられ、関節リウマチよりも発病率が多く、それほどまれな病気ではないそうです。

線維筋痛症と腸内細菌との関係性が初めて示された


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ここからです。



科学者たちは、慢性疼痛を伴う疾患と腸内微生物叢の変化との相関関係を発見した。

線維筋痛症とは慢性疼痛を伴う疾患であり、人口の2~4%に影響を及ぼしているとされており、治療法はまだ分かっていない。

この症状には、疲労、睡眠障害、認知障害などがあるが、この病気の最も顕著な特徴は、広範囲にわたる激しい慢性疼痛だ。

医学誌「ザ・ジャーナル・ペイン」に発表された論文で、カナダのモントリオールに拠点を置く研究チームは、線維筋痛症の患者の胃腸管内に棲む細菌に違いがあることを初めて示した。

約20種類の異なる種の細菌が、健康な比較対象グループよりも病気で苦しんでいる参加者の微生物叢に、より多いまたは少ない量として検出された。

特定種の細菌の存在有無

カナダのマギル大学とモントリオール大学のモントリオール神経科学研究所(MUHC)の研究者達によるものだ。論文の最初の著者であるアミール・ミネルビ博士(Dr.Amir Minerbi) は、以下のように述べている。

「私たちは、人工知能などのさまざまな手法を使用して、線維筋痛症患者の微生物叢に見られた変化が、食事、投薬、身体活動、年齢などの要因によって引き起こされたものではないことを確認しました。

ミネルビ博士は次のように付け加える。

「また、患者の症状の重症度は、特定の細菌の存在の増加、またはより顕著な欠如と直接相関していることがわかりました。これは、これまで報告されたことのないものです。」

細菌の変化は単に病気のマーカーなのか?

この時点で、線維筋痛症患者に見られる腸内細菌の変化が単に病気のマーカーなのか、それとも、腸内細菌の変化そのものが病気を引き起こす原因になるのかは明らかではない。

病気は単なる痛みではなく一連の症状を伴うため、研究の次のステップは、腰痛、頭痛、神経障害性疼痛などの慢性痛を伴う他の状態で、腸内微生物叢に同様の変化があるかどうかを調べることだ。

研究者はまた、細菌が痛みや線維筋痛症の発症に因果的な役割を果たしているかどうかを調べることに興味がある。そして、それらの存在が最終的に治療法の発見に役立ち、診断プロセスをスピードアップできるかどうかに注目している。

診断を確認し、治療法を見つけるための次のステップ

線維筋痛症は、診断が難しいことが証明されている病気だ。患者の中には、最終診断を得るまで4~5年待たなければならないこともある。

しかし、今回の研究で変わる可能性がある。

カナダ計算ゲノム研究センターおよびマギル大学人間遺伝学部のエマニュエル・ゴンザレス(Emmanuel Gonzalez)氏はこのように言う。

「大量のデータを分類し、線維筋痛症の患者の腸内で増加または減少した細菌19種を特定することができました。

「機械学習を使用することにより、研究所のコンピューターにおいて87パーセントの精度で、微生物叢の組成のみに基づいて、線維筋痛症の診断を行う事ができました。この最初の発見に基づいて、より多くの研究を重ねるにつれて、さらに精度が改善され、診断に段階的な変化をもたらす可能性があります。」

疼痛治療の専門家であり、モントリオール神経科学研究所のヨラム・シャー(Yoram Shir)以下のように述べている。

「線維筋痛症の人々は、病気の症状だけでなく、家族、友人、医療チームなどが症状を理解するのが難しいことにも苦しんでいます。」

「痛みを専門とする医師として、線維筋痛症の患者の人たちを十分に助けることができないことに不満を感じています。この医師たちの不満が、さらに研究を続ける動機になっているといってもよいでしょう。」

「今回の結果は、少なくとも人間の場合では、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)がびまん性の痛み(広がる痛み)に影響を与える可能性があるという最初の証拠であり、今後線維筋痛症を含む慢性疼痛に対する新しい方法が本当に必要になると思います。」

研究の方法

この研究は、モントリオール地域の156人のコホートに基づいており、そのうち77人は線維筋痛症に苦しんでいる。 研究の参加者は問診を受けた後、便、血液、唾液、尿のサンプルをとり、それを健康な対照被験者と比較された。

研究者の次のステップは、世界の異なる地域の別のコホートで、同様の結果が得られるかどうかを確認し、さらに動物を使って、細菌の変化が病気の発症に関与しているかどうかを研究をすることだ。



ここまでです。

細菌19種も特定され診断確度も8割以上まで向上しているそうなので、治療法が早く確立されると良いですね。

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