線維筋痛症の最新の事実

私たち人類(ホモ・サピエンス)が誕生してから15万年くらい。

生物の寿命はDNAに書き込まれていてそれを解析した結果、人間の寿命は38年。

とはちょっと悲しい・・・。

それ以前、たしか体の設計上(?)は120歳だとか、そんな話しをどこかで聞いた気がしますが。

調べてみたら、以下の記事を見付けました。

「人間の寿命の限界は115歳(くらい……かもしれない)」

どちらにせよ、人類が誕生してから、基本的に私たちの体はほとんど変化はしておらず、変わったのはその周りの環境だけ。

私たちの住む地球環境そのものの悪化や社会環境の変化の方がはるかに大きいと考えられます。

その結果、原因不明の病気や感染症で苦しめられている。

それらの根本的な問題は、恐らく私たちの体内環境の悪化がもたらしているのではないでしょうか?

この問題は過剰な消毒や殺菌・抗生物質などによって有益な微生物をも殺してしまった結果なのだと思います。

次々と明らかになってくる腸内細菌叢の破壊がもたらす原因不明の病気(2019/12/02)

次々と明らかになってくる腸内細菌叢の破壊がもたらす原因不明の病気

線維筋痛症などの慢性疼痛疾患の根本原因は腸内環境の悪化 (2020/01/31)

線維筋痛症などの慢性疼痛疾患の根本原因は腸内環境の悪化

人の腸内細菌叢が感染症の重症化に大きく関与している事が分かった(2020/06/12)

人の腸内細菌叢が感染症の重症化に大きく関与している事が分かった

プラセボは「心」と「体」の関係性をつなぐ新たな科学になる可能性(2020/08/07)

プラセボは「心」と「体」の関係性をつなぐ新たな科学になる可能性

私の整体院でもたまにこの線維筋痛症の疑いが考えられる患者さんが見えられることもありますので、ここでこの病気に関する最新のレポートを紹介したいと思います。

線維筋痛症の最新の事実:病因、原因、危険因子、診断および治療

Fibromyalgia Latest Facts: Etiology, Causes, Risk Factors, Diagnosis and Treatment 
 Gilmore Health News(2020/08/14)


ここからです。



線維筋痛症とは

 線維筋痛症は、慢性的な、しばしば誤診される女性に多い神経疾患です。広範におよぶ痛みと圧痛を引き起こすのが一般的な問題です。線維筋痛症はリウマチ性疾患と関連しており、一般的に中年期に始まりますが、どの年齢でも発症する可能性があります。稀に10代または老齢期に始まることがあります。リウマチ性疾患と関連していますが、線維筋痛症は炎症性疾患や自己免疫疾患ではないことに注意が必要です。

 最近の研究では、線維筋痛症は神経が過敏に反応する結果であると考えられており、線維筋痛を中枢性疼痛増幅障害(CAPD)と表現しています。神経は、痛みの信号に過剰に反応し、誇張された反応を引き起こすと考えられています。

線維筋痛症の原因

 線維筋痛症の正確な原因は分かっていません。しかし線維筋痛症の発症と進行を説明するためにいくつかの理論が提案されています。

 最近の研究では、線維筋痛症は遺伝的素因や感染症、ストレスなどの引き金がセットになって絡んだマルチヒット理論に起因すると考えられています。

 特徴的な痛みの要因には、下記のような多くの影響があると考えられます。

  •  興奮性神経伝達物質の増加(サブスタンスp、グルタミン酸)
  •  抑制性神経伝達物質の減少(セロトニン、ノルエピネフリン)
  •  ドーパミンの神経障害
  •  痛みの閾値(しきいち)を下げる ※訳注:痛みを感じやすくする

 サブスタンスpの増加とセロトニンの減少が同時に作用し、体内の痛みの感受性を高める。線維筋痛症に見られるこの過敏化は、痛みの異常な中枢処理をよりよく説明するために、さらに研究が進められています。

 線維筋痛症患者のCSF(脳関髄液)中のサブスタンスp濃度は正常値より2~3倍近く高く、疾患の病態生理に重要な役割を果たしていることが示された。しかし、サブスタンスpだけでは線維筋痛症の発症に責任を持つことはできないと考える研究者もいる。彼らによると、CAPD(中枢性疼痛増幅障害)はセロトニンとサブスタンスp濃度の調節障害の二重作用の結果であるという。

 さらに、最近の研究では、線維筋痛症患者では視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の機能不全が発見されています。HPA軸は、ストレスホルモンであるコルチゾールの放出を介してストレス適応に関与している。線維筋痛症患者ではコルチゾールのレベルが低いことが判明し、HPA軸の機能不全説が証明された。 HPA軸の活性が低下すると、セロトニンがさらに低下し、上述のようにサブスタンスpを上昇させ、痛みに対する感受性を高める可能性があります。

 線維筋痛症は家族内で発生し、研究者はその遺伝的特徴を説明するいくつかの遺伝子変異を発見しているが、決定的な結果は得られていません。インフルエンザ、肺炎、赤痢菌、サルモネラ菌のような感染症は、個人の線維筋痛症を悪化させる可能性があります。

 線維筋痛症は、重度の身体的または精神的な外傷の後に発症することがあるため、PTSDとの関連性も指摘されています。より最近では、ストレスに関連するホルモンの変化は、個人が線維筋痛症を発症させる可能性を高めることが示されています。

線維筋痛症の危険因子

 上述したように、感染症、ストレス、および外傷などが線維筋痛症を引き起こす可能性があります。

 その他の危険因子としては以下のようなものがあります。

  •  エリテマトーデス(紅斑性狼瘡):線維筋痛症は、自己免疫疾患ではないが全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患の存在は線維筋痛症を発症する可能性を高めることがある。
  •  年齢:通常、35~45歳前後に診断される
  •  家族歴
  •  性別:男性より女性に多い。罹患者数の違いとは別に、線維筋痛症の特徴的な特徴は、男女で異なります。男性は通常、女性よりも症状が軽い傾向にあります。

線維筋痛症の症状

 線維筋痛症には、痛みの領域とトリガーポイントがあり、痛みなどの症状を把握し、診断に役立てています。この2つの領域が重なっている場合もあります。線維筋痛症の他の症状には、次のものがあります。

線維筋痛症の圧痛ポイント

 * 倦怠感
 * 睡眠障害
 * 休息を感じないまま長時間寝ること(非回復性睡眠)
 * 頭痛
 * うつ病
 * 不安
 * 集中力または注意力に問題がある
 * 下腹部の鈍痛
 * ドライアイ
 * 膀胱の問題

 線維筋痛症の認知機能障害は、「線維筋痛症の霧」または「脳の霧(ブレインフォグ)」と呼ばれる集中力の欠如、記憶障害、注意力の欠如として現れることがあります。

 線維筋痛症は、男性と女性では異なる形で現れます。女性では、線維筋痛症は通常IBS(過敏性腸症候群)に関連し、より痛みを伴います。線維筋痛症に罹患した女性は、月経困難症や更年期障害が誇張されたような痛みを伴う場合もあります。

 男性では、線維筋痛症の軽い身体的症状に直面しますが、それは彼らの精神的な健康に跡を残す場合があります。線維筋痛症が誤って「女性の病気」として知られるようになったため、男性がそれに診断されると偏見の目で見られることがあります。ほとんどの男性は、症状が現れてもそれを不名誉なことと感じ、医師を訪ねないことが多いです。

 痛みは線維筋痛症の特徴です。通常、痛みは鈍く、うずくような痛みを伴う感覚であると表現されますが、このような痛みから、極度の耐え難い痛みまで様々な範囲があります。

線維筋痛症の診断法

 3か月以上の広範囲にわたる痛み(体の両側の痛み、および腰の上下の痛み)があることから、医師が線維筋痛症を疑った後、医師は、他の類似した症状を除外するために、徹底的な身体検査を行う必要があります。

 医師は、基礎的な生化学検査と尿検査とともに、全血球値(CBC値)や白血球値の検査を依頼することができる。CBCはESR(赤血球沈降速度)の上昇を示すことがあり、この場合は、痛みの原因が線維筋痛症ではなく炎症性疾患である事が示されている。線維筋痛症の場合には、この数値は正常である。

 甲状腺機能検査、ビタミンD、ビタミンB12、鉄、マグネシウムのような特定の臨床検査は、他の診断の可能性を除外するために行われます。

 線維筋痛症の診断は、以下の基準を用いて行われます:

  1.  症状が少なくとも3か月以上続く
  2.  他の病気で症状を説明できず、すべての診断が除外されている。
  3.  特徴的な症状と体質、それに過去1週間の痛みも考慮する。さらに、正確な診断のためには、痛みの部位と重症度も考慮する必要があります。

線維筋痛症の治療法

 残念ながら、線維筋痛症の治療法はありません。ただし、非薬物療法または薬物療法に基づく介入によって疼痛管理は可能です。
欧州リウマチ学会によれば、線維筋痛症の初期管理は患者教育と非薬物治療に重点を置くべきとされています。

非薬物療法
  1.  運動:低負荷の運動は、痛みを和らげ、線維筋痛症の症状を緩和します。ヨガのような運動は通常、線維筋痛症の治療と組み合わせて行う必要があります。
  2.  認知行動療法(CBT):多くの患者が苦しんでいる認知機能障害や線維筋痛症の霧を助けることを目的としています。マインドフルネスとともに、これらのテクニックはストレスを軽減し、患者の一般的な状態を改善することができます。
  3.  カイロプラクティック、マッサージ療法、鍼治療も線維筋痛症の症状を和らげるのに役立ちます。
  4.  不安、うつ病、またはPTSDに苦しんでいる人に対するセラピストと精神科の助けは、非常に有益です。
薬物療法
  1.  プレガバリン(リリカ):この薬は、ガバペンチンと一緒に、線維筋痛症の病因の1つとして仮説が立てられている神経の過剰活動をブロックします。この薬は、線維筋痛症の治療のためにFDAの承認を受けており、副作用としてめまいを引き起こします。
  2.  デュロキセチン(シンバルタ):この薬は、選択的セロトニン・ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SSNRI)であり、通常、不安障害や線維筋痛症の抑うつエピソードの治療に使用されます。
  3.  ミルナシプラン(サベラ):同じくSSNRIで、線維筋痛症の治療のためにFDAの承認を受けています。これら3つの薬剤のみが、線維筋痛症の治療のためにFDAに承認されています。FDAによると、疼痛管理療法としてのオピオイド麻薬の使用は避けるべきです。これは、痛みに対する感受性が高まり、患者の全体的な状態が悪化する可能性があるためです。

 また、市販のNSAIDsは、線維筋痛症の痛みの治療には効果がありませんが、関節炎や線維筋痛症の患者に使用することができます。

 さらに、睡眠障害は上記の3つの薬で治療することができます。睡眠障害の治療のためのベンゾジアゼピン系の使用は禁忌です。

 線維筋痛症の患者は、食事の変更とともに、ライフスタイルを変更することも奨励されるべきです。これらの変更は非常に有益であり、線維筋痛症の再燃を防ぐことができます。

私見

 線維筋痛症の病態生理はまだ完全には解明されていません。痛みの閾値(しきいち)の低下と全体的な痛みに対する感受性の増加に関連して、様々な仮説が立てられていることを理解するために、新しい研究が行われています。

 最近の研究では、脳内グリア細胞の活性化が増加していることが示されており、線維筋痛症患者で最近示された神経炎症におけるグリア細胞の役割が示唆されています。さらに、線維筋痛症におけるサブスタンスpの役割はすでに確立されています。線維筋痛症患者のCSFでは、NGF(Nerve Growth Factor:神経成長因子)が通常の3~4倍に増加していましたが、新たな研究ではサブスタンスpのレベルを高めることができる神経成長因子に注目が集まっています。



ここまでです。

線維筋痛症をお持ちの患者さんは確かにお辛いことと思います。

欧米では、代替医療・補完医療としてカイロプラクティックやマッサージ療法なども医療として認められていますが、残念ながら日本では認められてはいません。

しかしながら、整体には骨や筋肉を調整するだけでなく、血液・リンパ液などの体液、脳脊髄液系、神経系、内臓系ならびに気の流れ(経絡)など全身の調整を行うことができる、素晴らしい療法の一つだと思っています。

我々のような整体院がそのお悩みを少しでも楽にして差し上げることができるのではないかと考えております。

当院のような情報も参考にされてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA