関節炎の最新の事実:2020

日本の昨年度(令和元年度)の概算の医療費が8月に発表されました。

その総額43兆6千億円。

平成30年度は上記の額より1兆円少ない、42兆6千億円でした。

・厚生労働省HP 令和元年度医療費の推移

 

10年前の2000年(平成12年)では、約30兆円だったので、年間1兆円ずつ増加しているようです。

この報告からは、どのような患者が医療費を使ったまでは分かりませんが、1年ほど前に書いたブログでは、以下のようなことを書いてます。

関節症5倍に、超高齢社会で重要性増す

23万8000人から125万人に※
 厚生労働省の平成26年患者調査(疾病分類編)によると、平成の間に最も患者数が増加した整形外科疾患は、変形性膝関節症(OA)や老年性股関節症、ヘバーデン結節などの関節症で、1990年(平成2年)には23万8000人だった患者数が、2014年(同26年)には125万人へと5倍以上に増えている

 

変形性関節症は心血管疾患のリスクを増加させる(2019/08/12)

変形性関節症は心血管疾患のリスクを増加させる

そこで、今回は関節炎の最新の事実という記事をピックアップさせて頂きました。

関節炎の最新の事実:原因、種類、症状、診断、治療、合併症

Arthritis Latest Facts: Causes, Types, Symptoms, Diagnosis, Treatment, and Complications Gilmore Health News(2020/09/07)


ここからです。



関節炎とは何ですか?

 関節炎は、個人の関節の炎症や硬直を説明するために一般的に使用される用語です。
 関節炎は、高齢者や女性に多く見られる疾患です。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、2013年から2015年の間に、5,000万人以上の米国人が関節炎を患っていました。

関節炎にはどのような種類があるのでしょうか?

 関節炎にはさまざまな種類がありますが、最も一般的なものは、関節リウマチと変形性関節症の2種類です。

 関節リウマチは自己免疫疾患であり、免疫系が関節を包んでいる膜を攻撃し、炎症を引き起こし、軟骨の破壊につながる疾患です。主に手や手首、膝や足首などの関節に発症します。

 変形性関節症は、通常、加齢によって引き起こされる軟骨の損傷を伴い、可動域の低下や痛みが生じたりします。主に膝や股関節など、動作に関与する関節で起こります。

 その他のあまり一般的ではない、次のような形態が含まれます。

  •  痛風:関節の腫れや発赤を特徴とする炎症性関節炎の一種。
  •  若年性特発性関節炎:炎症を特徴とする小児関節炎ですが、原因は不明です。
  •  反応性関節炎:体内の感染によって引き起こされる関節炎。
  •  乾癬性関節炎:自己免疫疾患の乾癬によって特徴づけられる関節炎。
  •  敗血症性関節炎:関節内の感染症による関節の炎症が特徴の関節炎。
  •  親指の関節炎:親指の痛みと可動域の低下を特徴とする関節炎。

関節炎の徴候と症状

 関節炎の一般的な症状は次のとおりです。

  •  炎症
  •  硬直
  •  発赤
  •  倦怠感
  •  動作制限または動作中の痛み
  •  筋力低下や痛み

 関節炎は筋肉の動きに影響を与えるため、世界的に障害の主要な原因の1つになっています。

 関節炎は、個人の日常業務を遂行する能力に影響を及ぼし、生活の質を低下させ、最終的には肥満や心血管系の疾患などの長期的な疾患につながる可能性があります。

 関節炎はまた、うつ病や不安などの心理的な問題の増加につながる可能性があります。

関節炎の診断

 関節炎の診断は通常、身体検査と家族歴の確認から始まります。医師は患者に炎症や発赤がないか調べます。また、関節の動きが低下していないかどうかを確認するために、患者に一連の動作を行ってもらいます。

 身体検査が完了すると、医師は画像検査と臨床検査の両方を含む一連の検査を通じて診断を確認できます。

 臨床検査には、サンプルを採取し、関節液、血液、尿などのさまざまな種類の体液を分析して、患者の関節炎の種類を特定することが含まれます。画像検査には、X線、MRI、CTスキャン、または超音波検査が含まれます。

 変形性関節症の診断では、通常、関節腔の狭窄、局所的な骨硬化、軟骨下嚢胞などの放射線学的変化を確認します。
 訳注:X線写真を使って、組織の変化の有無や変形などを確認すること

 対照的に、関節リウマチでは、通常、骨びらん(訳注:関節周囲の骨が壊れること)の放射線学的変化と、貧血やCRP(訳注:C反応性蛋白のことで、炎症反応を調べる)、リウマチ因子の上昇などの検査所見の両方によって診断が確定されます。

関節炎の治療

 関節炎の治療は、関節炎の種類によって異なります。これらの治療は、非外科的治療と外科的治療があります。

 非外科的治療には投薬と治療があり、最も一般的な治療法は次のとおりです。

  •  薬物療法:鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド、疾患修飾性抗リウマチ薬、およびクリーム。
    変形性関節症の治療のための最初の選択肢は、パラセタモールのような鎮痛剤が含まれます。
    FDA承認の治療には、膝の痛みに使用されるジルレッタ(Zilretta)という薬剤などの注射剤が含まれます。

 現在、FDAは2020年に、中等度から重度の変形性関節症による痛みの治療薬として、タネズマブの生物学的製剤の申請を受理しています。

 ※訳注:日本では2019年6月に治験第三フェーズが終了していますが、まだ未承認のようです。

 FDAは、2020年末までにこの薬を承認するかどうかを決定したいと考えています。タネズマブは、痛みの信号が脳に到達するのを抑制する神経成長因子を標的としたモノクローナル抗体です。

 関節リウマチの治療には、副腎皮質ステロイドと抗体があります。FDAによって関節リウマチの治療のために承認された薬は、ヤヌスキナーゼ阻害剤と呼ばれるクラスを含みます。
 2019年8月に、FDAは、中等度から重度のRA(リウマチ)の治療に使用される薬剤ウパダシチニブを承認しました。
 ※訳注:ウパダシチニブについては、日本でも2020年1月に承認されています。

 外科的治療には次のようなものがあります。

  •  関節の修復:この治療法は侵襲性が低く、関節鏡下で行われ、関節可動域の改善と症状の軽減を図るために関節を小さく切開して再調整します。
  •  関節の融合:この治療法は通常、小さな関節を融合させて癒させるために使用されます。
  •  関節置換術:この手順は侵襲性があり、極端な場合に使用され、長い治癒プロセスを必要とします。損傷した関節を除去し、人工関節と交換します。

 一般的に使用されている自然療法は他にもありますが、症状の緩和に成功していることを裏付ける証拠はほとんどありません。これらの療法は次のとおりです。

  •  ヨガ
  •  鍼治療
  •  マッサージ

 研究者たちは、関節炎の治療のための新しい代替的な選択肢に努力を向け続けています。まだ大きな成功を収めているわけではありませんが、これらの選択肢には次のようなものがあります。

  •  レーザー療法:このタイプの治療法は、痛みとこわばりを和らげる方法として、低レベルのレーザーを身体に当てます。
  •  パルス電磁場療法:このタイプの治療法は、電磁場を使用して関節の可動域を改善します。FDAは、関節炎の治療についてこれを承認していません。しかし、カナダ保健省は、関節炎に関連する痛みの治療のためにこれらの機器を承認しました。
  •  経皮的電気神経刺激:このタイプの治療法は、変形性関節症の痛みを和らげるために神経の電気刺激を使用します。

関節炎に関連する危険因子

 ある種の危険因子は、個人を関節炎にかかりやすくします。これらには次のようなものが含まれます。

  •  年齢:年齢が上がると、軟骨が劣化します。
  •  性別:関節炎、特に関節リウマチを発症している男性と比較して、女性はリスクが高くなります。
  •  ボディマス指数(BMI)の増加:太りすぎか肥満の人は、関節にストレスを増加させ、関節炎を発症する可能性が高くなります。
  •  遺伝:ある種の関節炎の家族歴がある人は、関節炎にかかりやすくなります。

関節炎の合併症

 一般的に、関節炎は生命を脅かす合併症とは関連していません。ただし、特定の状況では、重度の関節炎によって動きが制限されたり、日常的な作業ができなくなったりすることがあります。

私見

 関節炎は、腫れや痛み、発赤、可動域の低下を特徴とする衰弱性疾患です。関節炎には多くの種類がありますが、最も一般的なのは変形性関節症と関節リウマチです。

 関節炎の診断は身体検査によって行われ、さまざまな検査所見や画像所見によって確認することができます。

 関節炎にかかりやすい素因は、年齢、ボディマス指数、以前の家族歴、性別などの特定の危険因子があります。関節炎は、個人の肉体的健康と精神的健康を犠牲にする可能性があります。これらの長期的な合併症は、永続的な障害につながる可能性があります。したがって、彼らができるときに助けを求めることは不可欠です。



ここまでです。

 

上には書かれていませんが、関節リウマチと間違いやすいのが、ヘバーデン結節やブシャール結節があります。

ヘバーデン結節は第一関節(拇指は除く)に、ブシャール結節は第二関節(拇指は第1関節)に症状がでます。

しかし、症状のでる部位が違うだけで原因はどちらも同じでしょう。

医学的には原因不明とされている炎症性の病気で、40代以降の女性に多いです。

遺伝性は少ないと考えられていますが、体質や生活習慣は親子関係にあっては似る傾向がありますので、親の代に発症されている場合には注意が必要です。

指の使いすぎと良く言われますが、必ずしも指の酷使で発症するわけではなく、更年期前後の発症時期が多い事で、ホルモンバランスとの関連性も考えられます。

変形してしまった骨を元に戻すことは出来ませんので、症状が出てから長い間放置せずに専門医に診てもらう事を第一選択肢としてください。

その後、関節炎全般にも言えますが、痛みのコントロール方法の一つとして整体なども選択肢の一つと考えています。

『なぜ今まで良くならなかったのか?』関節痛編 (2018/6/28)

『なぜ今まで良くならなかったのか?』関節痛編 

現在の医療では、対処療法の選択しかありません。

関節が炎症を起こす理由を考えると、健康の三要素、すなわち、栄養(食事やサプリメントなど)、身体(運動や睡眠など)、精神(心、思考、感情(物事に対する受け止め方))これらすべてをそのひとにとっての適切な領域に保つこと(前述の健康三要素をバランス良く)が根本的な解決につながると思っています。

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