高脂肪食は私たちの体のサイズを変えるだけでなく脳にも悪影響を与える

・Image by RitaE from Pixabay 

私たちの大好きな高脂肪食はジャンクフードとも呼ばれています。

前回「チーズが塩の摂りすぎによる血管の損傷を抑えてくれる」という記事を書きました。

私の大好物でもあるチーズですが、思いのほか脂肪分が多いのも事実です。
脂肪は私たちの身体に必須の栄養素ではありますが、太るイメージが強く敬遠される方も多いでしょう。

しかしほとんどのチーズは高脂肪でありながら、脂肪以外の栄養素も豊富に含まれており、カルシウム以外にも、ビタミンAやB2、それにタンパク質も豊富ですから少量でも一日の栄養量の半分くらいは取れるのでおすすめです。

*タンパク質の摂取量は一般の成人男性で60gと言われています。100gのチーズで40g程度が含まれています。もちろんチーズの種類によって含有量は違います。

いけない、今回はチーズの話しではなく“脂肪”の摂りすぎがテーマでした。

高脂肪の食品というのはおいしいものが多くないですか?
脂肪は糖同様、摂取すると幸せホルモンであるエンドルフィンが作られるのですが、このエンドルフィンが脳を満足させてくれるようです。

みなさんもきっと大好きなハンバーガーやポテトチップなど、いわゆるジャンクフードは麻薬のような食品ですね。

これらジャンクフードは相当高いカロリーですが、そのほとんどが脂肪です。

そんなジャンクフードを食べ続ける行き先は・・・。

・・・・・肥満ですよね。

しかし、身体のサイズが変わるだけでなく、脳にも影響が出ると知ったら、それでもあなたは食べ続けますか。

高脂肪食は、肉体的な外観だけでなく脳にも影響を与える

Neuro Science News

ここからです。


要約:高脂肪食はウエストラインに悪いだけでなく、脳の健康にも悪い影響がある。この新しい研究では、肥満の症状がでるずっと以前から発生する、視床下部の炎症に高脂肪食が寄与することが明らかに。

出典:イェール大学医学部

多くの研究は、不健康な食事が肥満とどのように関連するかを指摘しているが、食事がどのように脳の神経学的変化を引き起こすか、については調査されていない。最近のイェールの研究では、高脂肪食が脳の視床下部の不規則性に関与し、体重の恒常性と代謝を調節していることを発見した。

神経科学と比較医学の教授であるサブリナ・ディアノ( Sabrina Diano)が率いるこの研究では、高脂肪食、特に多量の脂肪と炭水化物を含む食事が視床下部の炎症を促進する方法、肥満と栄養不足に対する生理学的反応を評価した。

研究者らは、体が肥満の兆候を示し始める前であっても、高脂肪食を摂取してから3日後には視床下部に炎症が起こることを再確認した。

「これらは体重が変化する前であっても非常に速い変化である、という事実に興味があり、その上で基礎となる細胞メカニズムを理解したかった」

と、統合細胞シグナル伝達および代謝の神経生物学のイェール大学プログラムのメンバーでもあるディアノは述べた。

研究者らは、高脂肪食の動物で視床下部の炎症を観察し、動物のミクログリア細胞の間で物理構造の変化が起こっていることを発見した。

これらの細胞は、炎症を調節する中枢神経系の最初の防御線として機能する。ディアノの研究室では、ミクログリアの活性化は、私たちの体が消費する食物からエネルギーを引き出すのを助ける、細胞小器官のミトコンドリアの変化に起因することを発見した。

このミトコンドリアは、高脂肪食の動物ではかなり小さくなっていた。ミトコンドリアのサイズの変化は、エネルギー利用を調節するタンパク質、脱共役タンパク質2*(UCP2)によるもので、視床下部のエネルギーおよびグルコース恒常性の制御に影響を与える。

ミクログリアのUCP2を介した活性化は脳のニューロンに影響を与え、高脂肪食による炎症シグナルを受信すると、高脂肪食グループの動物を刺激してより多く食べるようになり、結果肥満になる。

しかし、ミクログリアからこのUCP2タンパク質を除去すると、このメカニズムがブロックされ、高脂肪食にさらされた動物は食べる量が減少し、体重を増やすことがなくなった。

研究では、高脂肪食が肉体にどのように影響するかを示すだけでなく、不健康な食生活が食物摂取を神経学的にどのように変化させるかを示している。

「特定の種類の食物にさらされると活性化する特定の脳メカニズムがあるが、これは進化の観点からも重要なメカニズムです。 しかし、脂肪や炭水化物が豊富な食品が常に利用できる場合、それは有害となるのです。」

ディアノの長年の目標は、私たちが消費する食物の量を調節する生理学的メカニズムを理解することであり、活性化ミクログリアがアルツハイマー病などの脳のさまざまな疾患にどのように影響するかについての研究が続けられている。 脳のミクログリア細胞は、肥満者の間で発生率が高いことが示されている。


ここまでです。

「脱共役タンパク質」というのは初めて聞く言葉だったので、以下ウィキペディアをそのまま引用しました。

*脱共役タンパク質:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

脱共役タンパク質(英:Uncoupling protein)は、酸化的リン酸化のエネルギーを生成する前に、膜間のプロトン勾配を浪費することができるミトコンドリアの内膜のタンパク質である。脱共役タンパク質は、Uncoupling proteinの頭文字を取ってUCPと略されることが多い。

哺乳動物では5つのタイプが知られている。

UCP1:サーモゲニン(en:Thermogenin)として知られている
UCP2
UCP3
SLC25A27:”UCP4″ として知られている
SLC25A14:”UCP5″ として知られている

ATPを生産する替わりに、エネルギーが熱を生成するために使用されるため、脱共役タンパク質は冬眠時の運動を伴わない熱産生のような正常な生理機能を果たしている

UCP1は褐色脂肪細胞にのみ存在し、UCP2は白色脂肪細胞、免疫系細胞、神経細胞などに認められ、UCP3は主に骨格筋、心臓などの筋組織において多く存在する。糖尿病患者の骨格筋においてUCP3タンパクの合成が著明に低下していることから、熱産生あるいは脂肪代謝に関連していると考えられている。

ノルアドレナリンが褐色脂肪細胞上のβ3受容体に結合すると、UCP1が生成され、ミトコンドリアで脱共役が起こり熱が産生される。日本人を含めた黄色人種ではβ3受容体の遺伝子に遺伝変異が起こっていることが多く、熱を産生することが少ない反面、カロリーを節約し消費しにくいことから、この変異した遺伝子を節約遺伝子と呼ぶことがある。

ミトコンドリアは肥満だけでなく病気にも大きな影響を与える

専門用語ばかりで、難解ですね・・・。

門外漢の私の理解度も読者のみなさんとそれほど変わらないかも知れません。

実は私の関心があったところは冒頭の

「肥満の症状がでるずっと以前から発生する、視床下部の炎症に高脂肪食が寄与することが明らかに。」

そっか、「視床下部の炎症」が「肥満」と関係する。

ということです。

色々調べていく内に、私は、「結局すべての病気は炎症で起こる」と言うことを知ったのです。

腰痛も肩こりも関節痛なども、「部位が炎症する」ことで痛みを起こします。

なので、炎症を起こさない習慣を身に付けることが必要なのです。

ここで、炎症の話しをするのはテーマが違いますので、また機会がありましたら書いてみたいと思います。

それと、もう一つ気になった箇所は、

「ミトコンドリアは、高脂肪食の動物ではかなり小さくなっていた。」

このミトコンドリアも私の関心のあるテーマで、つい先日(9/8)の講演に聴きに行ったのも、腸内細菌研究の第一人者である藤田紘一郎教授と、もう一人はこのミトコンドリア研究の第一人者の太田成男教授でした。

太田成男教授の代表作は、ベストセラーになったこの本ですね。

『からだが若くなる技術』サンマーク出版

「ミトコンドリアは、私たちの細胞にある一つの器官で、細胞全体の10~20%を占めています。細胞によって100個から3000個もの数が含まれる器官でさまざまな役割を担っています。そのなかでももっとも重要なはたらきが、体を動かしたり基礎代謝を促したりするための「エネルギー」を作り出すことなのです。」

「身体が若くなる技術」 p.22 


このミトコンドリアというのが、私たちが生きていくために必要なエネルギーを作り出す非常に大事な細胞であり、このミトコンドリアの働きが弱くなれば病気になるという訳ですから、このブログの大きなテーマにもわけです。

「疲れるから、体力がないから、体を休めてばかりいると、ミトコンドリアが極端に減り、エネルギーのつくれない「老いた体」になってしまいます。そうすると、「老いと不健康の悪循環」に陥ります。

「身体が若くなる技術」 p.39


この本は、とても分かりやすい書かれた本だと思います。
ミトコンドリアを増やして健康になる秘訣が書いてありますので、興味のある方は是非読まれることをおすすめ致します。

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