セロトニンと一般的な抗うつ薬が腸の細菌叢に与える影響

整体院とうつ病の関係

私の整体院には、腰痛、首痛、肩痛、股関節痛、膝痛などの関節痛の利用者が多いのですが、痛みの期間が長い方ほどうつ病などの精神疾患など、軽微ものから中程度のものまで様々ではありますが、その傾向が良く見られます。

ほとんどのケースでは、ご自身も気がつかない程度の軽微なものであり、病院で診断されている方は多くはありません。

たまに、かなり症状の重い方が来られるケースもありますが、そういったケースの場合、ご本人の希望で利用されることは少なく、普通は家族の方の要望が強くあって、本人は気が進まないながら通って頂くほうが割合的には多いです。

やはり、こういった方の場合、体調の状態によって、予約されていてもキャンセルや、日にちの変更が多く、なかなか計画通りの治療プログラムを進めることができなかったり、残念ながら、治療途中でご利用をやめてしまうケースもあります。

家族の方には、変化の徴候が見られたり、毎日の活動に良い変化が出ているのを観察されているのですが、それをなかなか本人は気がつくことができず、私も歯がゆい思いで問診、施術にあたっています。

一般的の方には、整体院といえば関節痛の改善・治療。特に腰痛や肩こりに良いという認識がほとんだと思います。

しかし、整体というのはそんな表面的なことで終わるのではなく、このブログの大きなテーマである、ホールボディ、ホールマインド、ホールスピリットを診ていくのものだと考えています。

なので、主訴が身体なのであれば、診るべきところは心から、逆に主訴が心に関する事であれば、それは身体から見て行く方が治りが早いのではないかと思っています。
とはいえ、痛みを抱えている患者さんに、「あなたの痛みは、実はあなたの心になんらかの問題を抱えているからなのですよ」とは、よほど信頼関係ができていないと話すことはできませんし、実際に伝えるケースは稀です。

それでも、うつ病などの精神疾患の場合には、身体を先に診て、身体が軽く感じられるようになっていけば、本来の病も回復していきますよ、と言うふうには伝えるようにしています。

病の源病は、日頃の食生活、運動習慣や姿勢習慣(クセ)、思考の習慣(クセ)にあると考えています。なので、これらを変えていくことが、健康への近道だと信じております。

前置きが長くなってしまいました。
それでは今回の首題である、抗うつ薬と腸内細菌叢の話しに移ります。

私は、ほとんどの化学薬品(ここでいう化学薬品とはおもに西洋薬のこと)は、なんであれ私たちの腸内に住む細菌に必ず何かしらの影響があると考えています。

ですから、今回の研究で一歩真実に近づいたように感じています。

セロトニンと一般的な抗うつ薬は腸の微生物叢にどのように影響するか

Neuro Science News

ここからです。


要約:セロトニンとプロザックのようなSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、腸内細菌に大きな影響を及ぼす事が分かった。セロトニンにさらされると、特定の腸内細菌はより高いレベルで成長した。しかし、SSRIにさらされると、細菌はマウスモデルではるかに低いレベルの成長にとどまった。

出典: UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

UCLAの生物学者が率いるマウスの新しい研究では、抗うつ薬などセロトニンを標的とする薬物が、腸の細菌叢、つまり人体の腸に住む、100兆あまりの細菌や他の微生物に大きな影響を与える可能性があることが強く示唆された。

セロトニン(神経伝達物質または細胞間での信号を送信する化学物質)は、感情や幸福感を感じる役割を果たすなど、人体において多くの機能を担っている。体内のセロトニンのうち約90%は腸で生成され、腸の免疫に影響を及ぼす。

上級著者のエレイン・シャオ(Elaine Hsiao)とトーマス・ファン(Thomas Fung)特別研究員が率いるチームは、セロトニンを検出して細菌細胞に取り込む腸内細菌を特定した。

マウスに抗うつ薬フルオキセチン、またはプロザックを投与すると、セロトニンの細胞内への取込が減少することを発見した。この細菌についてはほとんど知られていないが、ツリシバクター・サンギニス(Turicibacter sanguinis)と呼ばれている。
この研究は、ネイチャー・ミクロバイオロジー(Nature Microbiology)誌に掲載された。

UCLAカレッジの統合生物学および生理学、微生物学、免疫学、分子遺伝学のUCLA助教授であるシャオは、次のように述べている。

「私たちの以前の研究では、特定の腸内細菌が腸のセロトニンを産生するのを助けることを示していました。」

シャオと彼女の研究グループは、2015年にジャーナル・セルで、マウスでは、主にツリシバクター・サンギニスとクロストリジウム(Clostridia)からなる特定の細菌の混合物が、セロトニンの産生を増加させる腸細胞にシグナルを送る分子を生成することを報告している。

シャオのチームがバクテリアなしでマウスを飼育したとき、腸のセロトニンの50%以上が失われていた。その後、研究者は主にツリシバクターとクロストリジウムの細菌混合物を追加すると、それらのセロトニンは正常レベルに増加した。

この研究により、なぜ細菌が腸細胞にセロトニンを作るように信号を送るのか、もしそうならばそれは何のためなのか、という疑問が湧いた。

そこで、研究者たちはセロトニンを一部のマウスの飲料水に加え、他のマウスには、腸内のセロトニンのレベルを増加させる突然変異(特定のセロトニントランスポーター遺伝子を変更することで作成)をさせて育てた。

すると、研究者たちは腸内により多くのセロトニンが存在すると、バクテリアのツリシバクターとクロストリジウムも著しく増加することを発見した。

これらの細菌がセロトニンの存在下で増加する場合、おそらくそれらはセロトニンを検出するためのいくつかの細胞機構を持っているはず、と推測した。研究の共著者であるルーシー・フォレスト(Lucy Forrest)と国立衛生研究所の神経障害・脳卒中研究所のチームとともに、哺乳類のセロトニンを輸送するタンパク質と構造的に類似したツリシバクターの複数種のタンパク質を発見した。

研究室でツリシバクター・サンギニスを育てたとき、研究者らは細菌がセロトニンを細胞に取り込むことを発見した。

別の実験で、研究者らは、通常は哺乳類のセロトニン・トランスポーターを遮断する抗うつ薬フルオキセチンを、ツリシバクター・サンギニスを含むチューブに注入した。そうして、細菌が著しく少ないセロトニンを輸送したことを発見した。

チームは、ツリシバクター・サンギニスをセロトニンまたはフルオキセチンにさらすこととで、それらの細菌が胃腸管でどれだけうまく増殖できるかを観察した。
すると、セロトニンの存在下では、細菌はマウスで高レベルに成長したが、フルオキセチンに曝露すると、細菌は低レベルにしか成長できなかった。

「以前の研究では、特定の細菌が腸内のセロトニンレベルを促進することを示したが、私たちの新しい研究では、特定の腸内細菌がセロトニンと抗うつ薬のようなセロトニンに影響を与える薬物にも反応したことを示しました。これは、伝統的に神経伝達物質として認識されている物質を介して、バクテリアと私たちの細胞との間で独特なコミュニケーションを行っているということです。」とファン氏は述べた。

ツリシバクターに関するチームの研究は、抗うつ薬が腸内細菌叢を変える可能性があることを報告する研究の増加と一致している。

「将来のために、抗うつ薬と微生物の相互作用が健康と病気に影響を与えるかどうかを知りたいのです。」とシャオ氏は語った。

ここまでです。

訳者注:
SSRIの代表薬・商品名「プロザック」は日本では処方薬として認可されていませんが、インターネットで調べると簡単に購入できるもののようです。
日本では、商品名「デプロメール」「ルボックス」「パキシル」が一般的に処方されているようです。配合される薬品が少し違いますが、どちらも同じ効果です。

フルボキサミン:「デプロメール」「ルボックス」
パロキセチン :「パキシル」

セロトニン不足がうつ病になる

うつ病は、体内で作られるセロトニンが少なくなることで、起こる病気とされています。
SRRIはこの少なくなったセロトニンを、再利用させるために細胞に取り込まれないように阻止する薬ですので、根本的な解決にはなっていないのですね。

セロトニンを増やすには、以前のブログにも書きましたが、

1.リズム運動と早起き
2.太陽光
3.グルーミング(動物の毛繕いやのみ取りなどの意)

が効果的だそうです。

以下にセロトニンと痛みに関連した記事もリンクしておきましたので、是非お読み頂ければと思います。

『幸福物質セロトニン』 ~うつ病と精神疾患の関係~


『最新!痛みのバケツ理論』② ~『痛み』を起こす要因 外的要因と内的要因 ~ 

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