生のサラダを食べるより加熱調理された野菜の方がダイエットには効果あり

腸内細菌叢の多様性が私たちの健康に関わっている

腸内に住む微生物(腸内細菌叢)の大事さがクローズアップされてきています。

腸内細菌叢の多様性が私たちの健康にとって重要ですが、この腸内細菌の悪玉菌、善玉菌、日和見菌のバランスを一旦壊してしまうと、健康的なバランスを回復させるのは困難だそうです。

特に現代は、雑菌は悪いバイ菌として扱われ、私たちの身の回りから排除されるべきモノとして、抗菌グッズや殺菌商品がスーパーやドラッグストアなどで簡単に手に入るようなりました。そして私たちに健康になくてはならない微生物や細菌まで殺すようになってしました。

その結果は、どうでしょう。

いき過ぎの抗菌、除菌、殺菌の生活に慣れ、ちょっとした細菌やウイルスにも簡単に感染するようになってしまいました。私たちの身体に本来備わっていた抵抗力・免疫力がどんどん下がっているということです。特に子供たちの抵抗力の弱さは社会的な問題でしょう。

キレイ・清潔を否定するわけではありませんが、今のやり過ぎの未来は、人間を弱くするだけのように思います。

さて、今回のテーマも腸内細菌叢についてです。

今回は、

9月30日の科学誌ネイチャーで、アメリカのハーバード大学の研究者たちの7年間にわたる研究結果が発表されている記事をご紹介したいと思います。

その記事の内容とは、

・生の食材

・調理(加熱)された食材

のそれぞれの腸内細菌環境に対する影響を調べた初めてとなる研究で、

その結果、

加熱された野菜だけが、腸内細菌に良い影響を与える

というものだったのです。

それどころか、特に「生の野菜」には、

「腸内細菌にダメージを与える抗菌化合物が含まれている」

ことも判明したのです。

私も、野菜不足を補うために「生野菜サラダ」を積極的に食事に摂るようにしていましたので、かなりショッキングな内容でした。

ただ、確かに私の子供の頃は生で野菜を食べる機会はあまり多くなかったように思います。
生で食べるもの代表的な野菜と言えば、「キュウリ」と「トマト」くらいしか記憶がありません。そのキュウリも塩もみされたものが多かったかも・・。

昔(いまから50年以上も前)に食べた「キュウリ」や「トマト」などは結構青臭くなかったですか?

なので、私はあまり野菜好きではなかったと思います。
みなさんの子供の頃も野菜好きよりも圧倒的に野菜嫌いが多かったのでは?

その原因と思われるのが、昔の方が今の野菜の味より全然味が濃かったんじゃないですかね。それが子供の野菜嫌いにつながっていたんではないかと思います。

特に、子供の頃に食べたピーマンなんて苦くて、苦くて・・・・。
当時の子供の苦手な野菜のナンバーワンだったと思います。

次がニンジンでしょうか。
当たり前ですが、あのニンジン臭さが苦手でしたね。

ところが、成長するとともにいつの間にか好物なっているですから、不思議・・・。

あれっ・・・・いかんいかん。
また昔話になってしまいました。

そう、でもあの苦みだったり、野菜特有の濃い味は、今でいう抗酸化物質が多かったのかも知れませんね。

それでは、本題に入ります。

生と加熱した食品では腸内細菌叢の影響に大きな違いを生み出す


Science Daily


ここからです。



出典:カリフォルニア大学-サンフランシスコ校

要約:
食物を加熱調理することで、マウスと、ヒトの両方の微生物叢が根本的に変化することを初めて示した。

この研究結果には二つの意味がある。
ひとつは、「調理」という行為は、腸内細菌を健康に保持するための最適化を起こしていること。

二つ目は、人類の先史時代の調理が腸内細菌の進化をどのように変化させたかを理解することだ。

近年、科学者たちは、慢性的な炎症から体重増加に至るまで、人間の健康の多くの側面が、私たちの人間の微生物叢として知られている、私たちの内外に生息する膨大な数の微生物の生態学的健康に強く影響されることが見出され続けている。

この急成長している分野は近年、より健全な微生物叢を形成することにより、環境と行動がどのように人間の健康を改善できるかについて、よりよく理解するための努力が続けられている。

これまで、研究者たちは、
野菜中心の食事と、肉食を中心とした食事のそれぞれについて、腸内細菌叢がどのように影響を与えるかを研究してきた。

しかし、今まで、「調理」が腸内微生物に影響を与えるかどうかということについては研究されてこなかった上に、誰もそのようなことに興味を持たなかった。

科学誌ネイチャー・マイクロバイオロジーで9月30日に公開された新しい論文は、ハーバード大学の進化生物学者であるレイチェル・カーモディ博士の7年間にわたる研究の成果が述べられている。

この研究は、カーモディ博士が、まだハーバード大学院生だったときに始めたものだ。

研究者たちは、以下のそれぞれの食物をマウスのグループに与えることにより、マウスの腸内微生物環境に影響が出るかどうかが調べられた。

・生の肉
・加熱調理済みの肉
・生のサツマイモ
・加熱調理済みのサツマイモ

調理により、栄養素や生物活性化合物が変化することがわかっているため、加熱が腸内微生物に影響を与えるかどうかを調べることになったのだ。

まずわかったことは、

・生肉
・加熱調理した肉

は、共に、マウスの腸内微生物に識別可能な影響を与えなかった。

対照的に、

・生のサツマイモ
・加熱調理されたサツマイモ

は、マウスの微生物叢の組成、ならびに微生物の遺伝子活性のパターンおよびそれらが生産する生物学的に重要な代謝産物を大幅に変化させた。

その後、サツマイモ以外の多くの野菜を使用し、この発見を確認した。

これらの研究の中で、生の食材と、加熱した食材が腸内細菌に与える以下の2つの重要な要因が特定された。

・加熱調理された野菜は、細菌に働き、小腸でより多くのカロリーを吸収することを可能にする。

・一方、生の野菜には、特定の腸内微生物に直接ダメージを与えると思われる強力な抗菌化合物が含まれている。

「生と加熱調理した野菜の違いは、炭水化物代謝の変化によるものだけでなく、植物に含まれる化学物質によっても引き起こされる可能性があることも見て驚いた。私にとって、これは私たちの食事の成分と、それらが腸内微生物に与える影響を考慮することの重要性を強調しています。」

と、研究者は述べている。

次に研究者たちは、カリフォルニア州ウォルナットクリークにある米国エネルギー省の共同ゲノム研究所の科学者たちと協力して、マウスに与えた各植物で調理が生み出した化学変化の詳細な分析を行い、化合物の短いリストを作成した。

この化合物の分析は現在まだ行われている途中だが、ここに調理が腸内微生物叢にどのように影響を与えたかを説明するものがあるかもしれない。

他の観察結果の中で、研究者たちは、生の食餌がマウスの体重減少を引き起こしたことを見出した。

この体重減少は腸内細菌の変化に起因するのではないかと研究者たちは考えている。

そして、研究者たちは次に、この生の食材と、加熱調理された食材での腸内細菌叢の変化が、ヒトにおいても起きるかどうかを理解するために、ハーバード大学の大学院生と提携し、少数の研究グループに、生の食事のメニューと、加熱調理した食事メニューを準備した。

参加者は生と調理済みの各食事をランダムな順序で3日間ずつ試行し、その後、研究者たちは参加者の糞便サンプルの微生物叢を分析した。

分析の結果、生の食事と調理した食事で、それぞれの参加者たちの微生物叢が大きく変わったことがわかった。

食事が腸内微生物叢に与える影響を理解することは、腸内細菌が、ヒトの体重増加や健康維持と関係しているということから重要な問題となっている。

また、この研究は、腸内微生物叢が私たち人類の料理という文化に適応するために、数千年前からどのように進化してきたかへの問題提起も示している。

今後、研究者たちは、生の食物と調理された食物での長期間にわたってのヒトへの腸内微生物叢への影響を調査したいと考えている。



ここまでです。

加熱することで腸内細菌環境に良い変化を与える

いろいろと書いてありますが、要点をまとめてみると、以下の3点になるでしょう。

・肉は「生」でも「加熱」しても、腸内細菌に良いも悪いも影響を与えない

・野菜は「加熱した」場合、腸内細菌環境に良い変化を与える

・野菜が「生」の場合、腸内細菌環境がダメージを受ける

ということだと思います。

すべての野菜の影響が同じではないかも知れませんが、野菜は「生」の状態では「強い抗菌化合物」が含まれていて、それが腸内細菌を攻撃することになってしまうようです。

ただ、生でなければ摂れない栄養素もあるわけで、一概に生野菜がダメ、加熱調理して食べましょう、というようにひとくくりで述べることはできないとは思います。

しかし、少なくとも

「生野菜をサラダとして食べるよりは、加熱した野菜を食べた方がダイエットには効果がある」

とは言えそうです。

これから秋から冬へと向かう時期です。
夏はレタスやトマトなどの旬の野菜は身体を冷やす野菜でもありましたが、これから出回る旬のもの、白菜、ほうれん草、春菊などの葉物野菜や、サツマイモなどの根菜類、それにキノコ類を鍋で食べるのに美味しい季節です。

日本人は昔から、こういった食べものを素材の良さを活かしつつ美味しく食べる文化があります。そして、大切にされてきた食文化には昔の人の智恵が沢山詰まっています。

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